こんがらがった問題を解決するには「システム思考」が役に立つ
(本日のお話 2460文字/読了時間3分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は、東京芸術大学の
某プロジェクトから始まった
新サービスのワークショップづくりの
ミーティングでした。
最近、自分の会社だけではなく
様々なプロジェクトにご一緒させていただく
機会が増えており、実に楽しい限り。
お仕事をさせていただけるご縁に、
改めて感謝でございます。
*
さて、本日のお話です。
最近「組織開発」に関わる機会を
色々と頂いております。
この「組織開発」なる言葉、
人事界隈でのバズワードとなっており
かなり注目されている言葉(らしい)です。
ちなみに「組織開発」とは、
1,人を集めてもてんでバラバラで、チームの成果が出せない場合に
2,あの手この手をつかって、
3,組織を「Work(成果を出せるように)させる」意図的働きかけであり
4,そのことでメンバーにやり取りが生じ
5,チームの共通の目標に動き始める手助けをすること
と説明されています。
(『組織開発の探求』(著:中原純、中村和彦)より)
、、、ただ皆さまもご存知のとおり、
組織というのは
実に様々な問題が絡まったあやとりのように
こんがらがって絡み合っており、
「1つ、これだけ解決すればOK!」
という単純な話ではないのが、
なかなかに難しいところ。
そしてその問題を解決するためのキーワードが
『システム思考』
なのです。
今日はそのお話について、学びと気づきを
皆さまにご共有させて頂ければと思います。
それではまいりましょう。
タイトルは、
【こんがらがった問題を解決するには「システム思考」が役に立つ】
それでは、どうぞ。
■とある本で、こんなお話が
紹介されていました。
「日本の教育改革」について、
然るべき国の関係者が集まって策定された、
教育方針についてのお話です。
まず、以下お目通しください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
”今後における科学技術の発展や産業構造、
就業構造などの変化に対応するためには、
個性的で創造的な人材が求められている。
これまでの教育は、どちらかというと
記憶力中心の詰め込み教育という傾向があったが、
これからの社会においては、
知識・情報を単に獲得するだけではなく
それらを適切に使いこないし、
自分で考え、創造し、表現する能力が一層重視されなければならない。
創造性は、個性と密接な関係を持っており、
個性が生かされてこそ、真の創造性が育つものである”
ー臨時教育審議会編より抜粋
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
というお話。
、、、上記を見ると、
「まあ、最近言われている
当たり前のことだね」
と思いそうです。
私自身もそう思いました。
ただ、興味深いのが、
然るべき教育関係者で握った上記の内容は
「1987年」
のものである(!)のです。
■つまり、
30年以上前に話をされていたけども
(多分未だ)形になっていない。
、、、これどういうことだろう?
という疑問。
■でも、国のような大きなところでも、
組織でも、あるあるの話でもあります。
この問題には
一つのこれだけと言えることはありませんが、
”握りあったことは「タテマエ」であり、
本音では望んではいない多数派がいる”
ため、見えないところで、
逆風、障害、反発が起こっている、
と考えられます。
■実際に、これは私の感覚もありますが、
非常に尖った、個性的な新人がやってくると
現場は困っているように思います。
やはり組織のルールを学び、
馴染んで貰わないと困るし、
その組織のルールや規範を超えて
新しいことをする人は煙たがられたり。
だから、多様性と言いつつ
予測できる仕事を任せやすい新人のほうがいい。
■でも、じゃあ
個性的な人を必要ないと思っているか、
反対なのかというと、
これもまたそういうわけではない。
どちらもまた真なり、です。
未来に向けて、
個性を重視しようとする
経営陣の意見も事実だし、
でも実務似た豆沢rう現場の課長・部長から見ると
優秀かつ従順な社員がいい、というのもまた事実。
■結局、多くの問題は、
多面性があって然るべきだし、
どれもある側面から見れば真実になりえる、
となります。
”要素還元的に、
何かの問題を要素ごとにバラバラにして
一つずつ潰していけば解消される”
という話はないのが現実、
ということ。
ゆえに、特に組織の問題などを考えるときは
”絡み合ったシステム”
として問題に向き合わなければ、
その絡まったあやとりのごとき現状を
前に進めることはできない、
つまり、
”隠された真因の解決にはならない”
と言えるのでしょう。
■、、、とつらつらと
説明チックにお話をしてしまいましたが(汗)、
本当に多くの組織で
上記のような事象が起こっています。
例えば、
・チームで助け合わない問題に対して
「マネジメントスタイルに問題がある」と言っている。
でも実は、個人ベースの徹底された成果主義の仕組みが
助け合いの文化を妨げていた、
とか
・新事業の抜擢人事に誰も手を挙げないことを
「社員の主体性の問題」としていたが、
実は以前、同部署に抜擢人事をされた人が
ものすごく責められ、干されたことを皆が知っていた。
ゆえに誰も行きたがらなかったという
過去のしがらみがあった
とか、
・新マネージャーが機能しない理由は
リーダーシップが足りないとされていたが、
実際は、元マネージャーの右腕と
新マネージャーの意見の対立が、
チームの空気を悪くしていた
など、
”見えている部分ではない問題が真因”
として隠れていたり
あるいは問題を皆が感じているのに
あえて口に出さずに黙認している状態に
チーム全体がある、ということは
実に多くあります。
■そして問題が解決されない理由として
・何かの1つの要素に
問題を帰結させる
とか、
・聞こえのよいタテマエの言葉で
本音を隠している
というとき、
結局、組織が痛みを抱えたまま前に進めない、
デッドロック状態になっていたりします。
■ではどうすればよいか?
そこで大事なのは、第一に
問題を複雑に絡み合ったシステムである
と捉える、
『システム思考』
を身につける事が重要になります。
その上で、問題は複雑に絡み合った
システムと捉えた上で、
”隠された真因を明らかにしつつ
ガチンコで対話をする”
というプロセスを
関わる全員で行っていく必要がある、
と思います。
■正直、実に手間がかかるし
大変なプロセスです。
特に冒頭に紹介した
「国の教育改革」みたいな
その関連する人々のシステムが
非常に広範囲にわたり、
かつ根深いものだと、実に大変。
システムの規模が大きくなるほど
その複雑性は高まりますので、
難易度は高まっていくし、
だから「なんかへんだ」と思いながら
解決されないまま今にいたる、
とも思います。
ただ、結局根本は同じで
「全体を部分ではなく、
システムとして捉えるシステム思考」
を多くの人が持てるかどうか、は
問題解決のため、
よりよい現実を作るための
一つの鍵となると思っております。
■問題の原因を
1つの要素原因に還元しない。
そのままのシステムとしてみる。
そこに絡み合う
様々な視点・意見を捉えて、
スッキリしない答えの中でも
関係する人と合意をとって前に進める。
複雑性が高まる世の中で
とっても重要な思考だな、
と改めて感じている次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。
=========================
<本日の名言>
人生で何より消耗するのは、本心を隠すことだ。
だから社会生活がこれほど消耗するのである。
アン・モロー・リンドバーグ(米国の飛行家・文筆家/1906-2001)
=========================