メールマガジン バックナンバー

2642号 2021年5月15日

人を動かすには「アカデミックな理論」と「荒削りな情熱」の絶妙なる一点を狙うべし

(本日のお話 2210字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は新入社員フォロー研修、
並びに一件アポイントでした。

また夜は、大学院の講義。



さて、本日のお話です。

4月から大学院にて。人材開発や組織開発を
アカデミックな観点からも学ぶ機会に、
恵まれております。

これまでは、どちらかと言うと
(結構高額な)セミナーやワークショップに
ひたすら時間とお金を投資し、

面白いワークショップ手法などを
拝借しながら、自分自身の持ち玉を
増やしていった感じでした。

今は針が逆の方に振れつつあり
読む本などもややアカデミックな知識に
寄っていると感じます。

(とはいえ、こちらも
本当にまだまだなのですが…)

そんな中、今週、
オンラインの研修が3件あったのですが、

”理論を学べば
研修で受講者に上手に伝わる”

なんてことはなく

理論も大事だけれども、
やっぱり青臭いようですが、

”情熱”ごときものは、
ものすごーく大事なのだろうな、

と思ったのでした。

今日はこの話について、
皆様に思うところをご共有
させていただきたいと思います。

タイトルは、

【人を動かすには「アカデミックな理論」と「荒削りな情熱」の絶妙なる一点を狙うべし】

それでは、どうぞ。

■「理論」とは、
実に説得力があるものです。

〇〇理論によると…とか
〇〇の論文によると…

という枕詞をつけると

それだけで急に説得力が増しますし

実際話を聞いてる聴衆の方で
「おっ」と耳を傾けてくれる様子が
見て取れます。

それは研修でも商談でもそうで、

信頼おける理論や論文を知り、
適切にそれを使うことは、

”相手に物事を説得力持って伝える”

上で、実に大事なのだろう、
と思っております。

■そして、勉強中の身である中ですが

3年前に比べて、
持っている知識や理論、

つまり引き出しは以前より
圧倒的に多くなっています。

ただし、こと

「人の心動かし、影響を与える」

という意味では、

過去を振り返ったときに、
粗削りで情熱一点押しの時のほうが、
むしろ受講者を動かせた、

ということ、あったようにも
思ったのです。

そんなわけで、

「理論をたくさん知っているからといって
受講者の心を動かし、行動を促すことが
できるわけではない」

と思ったのでした。

■思えば、起業当時、

当時のお客様には大変失礼ですが

よくわからないけれども
膝をガクガクさせながら、

「リーダーシップ」や
「強みを活用する」の大切さを

声を張り上げて語っていたとき、

そこに理論や、研修プログラムの美しさは
ほとんどなかったにせよ

”何か感じていただき、
影響を与えることができた”

という感覚が
確かにありました。

■経験をかさねるほど、

プログラムの構造も整理され
そして受講者の反応も予測でき、

安定感も高まっている。

しかし、荒削りな当時と比べて

受講者に対して
圧倒的に価値を与えているかと言えば

「むしろ理論によって
理屈っぽくなった側面もあるのかも」

などと思ったのです。

■これはもちろん私の感覚なので、
実際どうかは、一側面しか見ていません。

ただ、理論や経験という後ろ盾を持つことで

抽象的な表現ですが、
たった一発しかない花火を打ち上げるような

そんな危機迫った雰囲気が
もしかすると弱くなっているのかもしれない

、、、とも思ったのでした。

■以前メルマガでも書きましたが、

学習科学の分野において
心理学者ジェロム・ブルーナーは、

以下のように語りました。

1,人間の根源的な認識には、2つの思考様式がある

2、それは、”論理ー科学様式”と、”物語様式”である

と。

すなわち、人は

「論理的に理解するパターン」と
「物語として理解するパターン」がある、

と言われています。

論理ー科学様式というのは
言葉通り論理の力を使うこと。

物語様式は、
そこに理論なものはないにせよよ
それらしさと言う迫真性がある、

と言うものです。

※参考バックナンバー:
『物語の学習理論 ~”理論と物語のアプローチ”の違いを考える~』
↓↓
https://www.courage-sapuri.jp/backnumber/9753/

■このことを、最近良く感じます。

きれいに整理し、伝えるだけなら、
そこに人の介在はいりません。

理論的に整理すれば良いけれども

こと研修等の言葉で人を動かす、
心に突き刺す、と言うことを考えた時は

それ以上の「何か」があると思います。

それは、

”研修講師との心理的距離の近さが
受講者の研修の理解に影響を与える”

という言葉では表現できない、
もっと深いものがあるように思います。

■青臭いようですが、例えば、

・本当にそれが大事と思って
心から伝えているか

・受講者一人ひとりのことを
真剣に考えているか

もっといえば、

・話す本人が1日1日、
真剣に生きているか、

みたいなことも、
影響するように思うのです。

■同時に、かといって

青臭く「情熱一辺倒」

だけでもいけない。

知性がない、ただの
暑苦しいおじさんになってしまいます。

それを考えると、

人を動かすには

上述の理論ー科学、そして物語のどちらについても
レベルが高い状態を実現していくこと、

それは言い換えれば、

【「アカデミックな理論」と
「荒削りな情熱」の絶妙なる一点を狙う】

という、職人にも似たスタンスで、
目の前の方々と対峙することが必要なのであろう、

と今週研修を続けながら思ったのでした。

■人に伝え、動かすためには

知識も理論も必要。
もっと勉強もしないといけない。

同時に、日々一生懸命生きなければ
それが声や表情に出てしまう、

そんな生っぽいものである、

とも思います。

このメルマガでも、実際の研修でも
語る言葉にずれがないよう、

改めて日々一生懸命、
たゆまず生きていかないといけないな、

そんなことを思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

重要な事は、必ずしも闘う犬の大きさではなく、
犬の闘争心の大きさである。

ドワイト・D・アイゼンハワー(第34代米国大統領/1890-1969)

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