君はデビルズ・アドボケートになれるか
(本日のお話 2256字/読了時間2分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は、終日研修プログラムの作成。
夕方からは、キックボクシングジム。
*
さて、本日の話です。
現在、キャリア開発研修を仲間と作成しており、
関連して書籍を読み、まとめておりました。
その中に書かれていた内容が
特にチームで何かを進める上で
とても大切なことだよな、と
学びになるお話がありました。
今日はその話について
学びと気づきをご共有させていただきたいと思います。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは
【 君はデビルズ・アドボケートになれるか 】
それでは、どうぞ。
■(本当は違う意見だったけど)
「みんなが言うから、
なんとなくそんな気がしてきた、、、」
という経験、
皆さまにはありますでしょうか?
、、、たぶん、ありますよね?
場の空気、皆の意見で
意思決定がなされる、、、
これは社会的な生き物である
私達にとって、ごく当たり前の現象です。
・自分は本当は「A」と思っていた。
・でも皆が口を揃えて「B」というから、
あれ、自分が違うのかな?と思い「B」に意見を変えた
これは、『社会的規範への同調』と言われ、
”周囲の多数の人に合わせてしまう
という心理的作用”
と、言われております。
■さて、先日読んでいた
『キャリアデザインガイド』なる本の中で、
上記の「社会的規範への同調」と
それを打ち破る興味深いエピソードが出てきて
面白いなぁと思いました。
こんなおはなしでした。
※以下、私なりの解釈を加えてお伝えいたします。
■2002年にアメリカ経営学会で
キャリアに関するシンポジウムがあり、
「キャリア論の大御所」たちが
集まったとのこと。
ちなみに「キャリア論」では、
キャリアの成功の定義として
2種類あるとされています。
1つ目が、
・「主観的サクセス」=
自分なりに「これはよかった」と
自分のキャリアを自己肯定できること。
自分のアイデンティティーを追求できている
自己実現が目指している、自分らしく生きる、など
そして2つ目が
・「客観的サクセス」=
名声や名誉などの周りからの評価、
数字で表すことができる年収の面などから見える成功の度合い
です。
主観的サクセス、客観的サクセス、
この2つの成功基準があると言う事は
キャリア論の世界では共通認識。
■2002年のキャリアシンポジウムでは、大御所たちが
「キャリアにおいて何が特に大切なのか」
を発表したり、討議したりしていたそう。
世の流れと同じく、大御所たちの意見も
「自分で自分のキャリアを満足できることが
何より大事だな」
という話で盛り上がり、
場がしんみりしていたところに、
あえて1人の教授(ニコルソン教授)が
こう言ったそうです。
「いやいや、
客観的サクセスが大事でしょう」
そして続けます。
「なぜならば、
・精神衛生上も、
・肉体的な健康状態についても、
・寿命の長さや病気にかからない率に関しても、
地位や収入が高い人の方が有利
という各種データが出ている。
主観的サクセスが大事と言うけれども、
客観的サクセスが幸福に関わる諸要素を
占めていることは間違いない」
、、、と、敢えて空気を揺るがす
真反対の意見をぶち込んだそう。
■想像するからに、
このシンポジウムの場はその瞬間、
空気が揺らぎ、ざわつき、
固まる人、反論する人、
何かしらの動きが出たことは、
間違いないかと思います。
著者の金井教授は、このときの
ニコルソン教授について、彼は
【デビルズ・アドボケートに意図してなった】
といいました。
「デビルズ・アドボケート」とは、
直訳すると、”悪魔のような意見提供者”。
議論を深めたり、きれいごとで終わらせないために、
敢えて極端なことをいったり、皆と反対の立場を示す人です。
(このニコルソン教授、
めっちゃいい人&人格者で、
彼の生き様から拝金主義からは
ほど遠い人であったそうです)
■あえて、
みんながイイハナシで、
はい、ちゃんちゃん、
、、、とまとまりそうなところに、
尖った意見を投げ込む。
すると、明確に反応ができれば、
話し合われてきた意見の正しさが証明されるし
逆にそこで吃るってしまうようであれば
まだまだ議論の後があったということ。
いずれにせよ、予定調和でない意見は
場にとってとても貴重なものである、ということです。
■別の視点からは、
こんなデータもあります。
「チームコミニケーション」において
”気兼ねなく反対意見を言える雰囲気”は
チームのアウトプットの質の高さと正の関連がある
という研究データです。
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<反対意見を言える雰囲気のチームはアウトプットの質が高い>
◯「私たちには気兼ねなく反対意見を言い合える雰囲気がある」
=アウトプットの質 .274(正の関連あり)
◯「私たちは、チーム内で議論し関係が悪くなるくらいなら、
チームの関係性を重視したい」
=アウトプットの質 -0.179(関連なし)
※中原淳、田中聡(2021).チームワークキング.
日本能率協会マネジメントセンター p189 より
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こんな事を見てみると、
普段の会議や議論の場でも、
あえて逆のこと、反対意見を言える
「デビルズ・アドボケート」になれるか。
そういう人がチームに
どれくらいいるだろうか。
こんな視点から
自分やチーム行動を見てみると
ただ合わせる、頷くだけではない、
また別の貢献の仕方があるのだろう、
と思います。
違う視点から、切り込むこと。
違って意見を場に投げ込むこと。
場の空気を変える発言をすること。
「君はデビルズ・アドボケートになれるか」
教授の話から、私はそう
問われているように感じました。
勇気を持って、場に飛び込みたい、
そんなことを思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。
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<本日の名言>
少なくとも強い友情というのは
ある不信と抵抗から始まるのが自然らしい。
アラン(フランスの哲学者/1868-1951)
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