ピアノは肘と脇で弾くんですよ
(本日のお話 2422字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
日曜日は、朝から
大学院のプロジェクトの打ち合わせ。
その後、ピアノのレッスンに行き、
午後は映画『グリーンランド』を観に行きました。
久しぶりの休日らしい休日で、
大変良い時間でございました。
*
さて、早速ですが本日のお話です。
3週間ぶりに行った
ピアノの個別レッスン。
大人の趣味のピアノ以上に
人生における深い学びを得ており、
(、、、は言いすぎかもですが)
大変貴重な機会となっております。
そして今回も、
ピアノの先生から教えてもらった話が
目から鱗であるとともに
ピアノ以外の、多くのことにも通ずる
汎用的な学びだなあ、と感じましたので、
本日はこのお話からの学びと気付きを
皆様にご共有させていただきたいと思います。
タイトルは、
【ピアノは肘と脇で弾くんですよ】
それでは、どうぞ。
■「ここのオクターブのパート、
ちょっと指が苦しそうな感じですね」
数ヶ月前から、
一小節ずつ進めている
「幻想即興曲」(ショパン)。
一通り、最後まで弾いたものの
まだまだ荒く、完成には程遠い状況を、
一合一合少しずつ登っている、、、
そんな感覚で日々積み重ねております。
■そんな中、先生から
指摘された箇所。
その曲の中で1番盛り上がる箇所であり、
高い音階から、
音を上下に散らしつつ
一気に低い音階まで
駆け下りるパートを弾いたときに
「オクターブが
ちょっと苦しそう」
という表現で、
フィードバックをくれました。
■いつものごとく、
コーチングスタイルで、
先生は聞いてくれます。
「オクターブを弾く時、
どこに意識を向けていますか?」
、、、問われて、
考えてみます。
「そうですね、できるだけで
手のポジションをまとまりごとに
固定して進めることでしょうか。
手を開いて、最初から
全ての音をつかめるようにする、とか」
対して先生は、こういます。
「いいですね。
前回もお伝えした通り
とても大切ですよね」
「ちなみに、今日はもう一つ。
”高い音をつかむときに、
肘と脇に意識を向けて弾く”
ことをやってみてほしいです。
自分の体から、遠い音を弾くとき
ちょっとだけ肘と脇を開くような意識で、
弾いてみてください。
、、、どんな感覚がしますか?」
■そう言われて、
実際に肘と脇を開いて弾いてみると、
手が苦しく、なんとか届かしていた
高い「ミ」の音が、弾きやすくなりました。
そして、驚きを覚えました。
思わず、こう口にします。
「肘とか、脇とか、意識したことなんて
これまでなかったですね…」
■それを聞いてか、
先生は少しだけ嬉しそうに
こんな風に解説してくれました。
「ピアノは、確かに指で弾きます。
でも、指だけじゃなくて、
手首の柔らかさや、
肘の角度や、脇の開き方など
体の構造が連動して
”指”に伝わります。」
「骨格が人によって違うので、
これが絶対いいというのはないですが、
肘や脇なども連動して
どういう弾き方がよいのか考えて弾くと、
曲はもっと弾きやすくなるし、
表情もつけて弾けるようになりますよ」
昔ピアノを習っていた時、
『指と肘と脇の連動』
なんて、聞いたこともなかったなあ、
そして、大人になって
自分から興味を持って学ぶからこそ、
こういう話も面白く聞けるのかもなあ、
などと思い、感動をしたのでした。
■そして、この話を聞きながら、
実はもう一つ、
別のことを考えておりました。
思い出していたキーワードが
『システム思考』
なるものでした。
ちなみに、システム思考は
こんな風に定義されています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<システム思考について>
「システムとしてとらえる」とは
事象を体系的に見ることであり、
事象の要素細部を見るのではなく、
全体のシステムを構成する要素間のつながりと相互作用に注目し
その上で、全体の振る舞いに洞察を与える。
※Wikipediaより抜粋
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ここで言う、
”事象の要素細部を見るのではなく、
全体のシステムを構成する
要素間のつながりと相互作用に注目する”
これぞまさに、
”指、肘、脇の連動”
だな…と感じ、
勝手に納得していたのでした。
■木を見て森を見ず、のように、
1つ1つの要素だけ見ていても、
限界があるのです。
今回のピアノの話だけ言えば、
”指先”だけに限定していたら、
技術としては限界を迎えていた、
ということになるのでしょう。
(と語れるほどのレベルでもないですが汗)
指先から、肘と脇、
そして姿勢などの他の要素とのつながり、
要素間の相互作用を意識したからこそ、
新しい視点がもたらされて、
新しい結果も生まれたわけです。
そしてそれは、言い換えれば
ピアノを弾くという行為を、
「人体のシステムが作る
一つのプロセスである」
と捉えることに繋がる…
そんなことを思ったのでした。
■そしてこのことは、
他のあらゆることにも通ずるように思います。
例えば、人材開発でも、
”問題を一つのシステム”として
捉えていないと
「部下のパフォーマンスが上がらない」
という減少を
・本人への能力の問題である、とか
・上司のリーダーシップの問題が悪い、
というように、
一部の要素にだけ原因を求めてしまうこと
しばしば見受けられるのです。
そうすると、
「じゃあ、
本人の主体性研修だね、とか、
上司のリーダーシップ研修だね」
というように、
安易な話に帰結してしまい、
根本的な解決にならないのです。
■これらのことは、
もちろん、他のことにも応用できます。
組織のおける「生産性」だって、
本人の時間に対する意識という
”個人”の話も影響していれば
会議などの時間の使い方等の
”組織”の文化も影響しているし、
どのように仕事をしているかという
”ツール”なども影響したり
実に色々なことが関わってきて、
「生産性が高まる」
ものです。
(当たり前ですけど)
…とすると、
あらゆる問題や課題に対峙する際に、
”部分ではなく全体”
として捉える思考(システム思考)は
とても重要なのだろう、
と思ったのでした。
■要素だけではなく、
全体にも目を向ける。
要素感の間にこそ、
目を向ける。
そんなことを、
ピアノのレッスンを受けつつ
大切なことだな、
と思った次第。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
世界とは一冊の本であり、旅に出ない者は
同じページばかり読んでいるのだ。
アウグスティヌス(古代ローマの哲学者/354-430)
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