「組織開発」とは何か ~大切なものは目に見えないんだよ~
(本日のお話 2413字/読了時間3分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は研修の企画、その他打ち合わせなど。
また夜は久しぶりにキックボクシングジムへ。
*
さて、本日のお話です。
現在、大学院にて
「組織開発」を体系的に学んでいます。
とはいえ、人・組織の中でも
「なんだかわかるようで
よくわからない」
とされているこの言葉。
今日はそんな組織開発について、
学びをご共有させていただきたいと思います。
それでは早速まいりましょう。
タイトルは、
【「組織開発」とは何か ~大切なものは目に見えないんだよ~】
それでは、どうぞ。
■「組織開発」。
この言葉、人事界隈では
結構注目されています。
しかし同時に、
なんだかふわっとしていて、
明確に定義を持っている人も少ない、
そんなキーワードの
代表のように感じます。
(…が皆さまはいかがでしょうか?)
■ちなみに、
「組織開発」の学問的定義を調べてみると、
このようにあります。
「計画的で、組織全体を対象にした
トップによる組織有効性と
健全さの向上のための管理された努力であり、
行動科学の知識を用いて組織プロセスに
計画的に介入することで実現される。
Beckhard(1969)」
らしいです。。。
もうひとつあります。
「組織の問題解決過程や、
再生過程を改善するための継続的な努力である。
その特徴は、とりわけ行動科学のセオリーや
テクノロジーのたすけをかりて、組織文化を
効率的かつ協働的なものにしていくことを通して、
目的を達成することである。
French&Bell 1973)」
だそうです(汗)
■、、、もう、嫌がらせとしか
思えませんね(汗)
この文章が登場したところで
読むのをやめようかと思った方も
いらっしゃったのではないかと。
■それもそのはず。
どうやら「組織開発」というのは
「”27通り”の組織開発の定義の中に、
”60個”もの変数が存在している」
(Eagan,T.A)
というのです。
27の定義やら、
60の変数があれば
そりゃあ、わけがわからなく
なりますよね・・・。
■とはいいつつ、
「組織開発の特徴」を整理すると、
4つに絞ることができるようです。
以下の4つです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<組織開発の4つの特徴>
1)計画的な実践である
2)行動科学が適用される
3)人間の成長や変化を信じる実践
4)長期のプロセス介入である
(Worley&Feyerherm(2003))
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
計画的で、
行動科学を使って、
人の成長や変化を信じて、
長期のプロセス介入する。
こうやって、特徴を並べると、
ちょっと整理がされた気もしますね。
■要は、
「組織がうまく機能して、
継続的に成果をあげられるために
あれやこれや、
効果的な方法(行動科学)を使って
長い目で、
”プロセス”に介入し続ける」
ことなのかな、
と私(紀藤)は思っております。
■さて、この組織開発。
重要なキーワードがあります。
それが
『プロセス』
です。
プロセスとは、一言でいえば
”組織の下に隠されている
問題の真因”
のことです。
■例えば、
”会議で誰も発言しない”
という問題。
(”コンテント”といいます)
それを
「本人の積極性の問題だ」
「主体性が足りないのではないか」
と、個人に原因を求める。
よくあるパターンです。
しかし、よくよく見てみると、
その職場に来た皆は、
最初の頃は自分の意見を言うこともあった。
、、、が、やがて
誰も発言しなくなっていったりします。
そしてそこには
”見えない何か(=プロセス)”
が人々に影響している、
ことが多いのです。
■そんな中、
「組織開発」では、
”組織の隠されている真因を
明らかにする”
のです。
組織開発の考え方の
重要キーワード、
『「コンテント」と「プロセス」』
を今一度整理します。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◯『コンテント』・・・
・目に見えているもの
・話題・課題・仕事などの「内容的な側面」
(例:会議で誰も発言しない)
◯『プロセス』・・・
・目に見えてはいないもの
・チーム・職場の中で起こっている「関係的側面」
(例:リーダーの意見が強すぎる、
意見を言っても否定される雰囲気
お互いの信頼関係がない、等)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そして、
目に見えない「プロセス」こそが
”隠されている真因”であり、
目に見える「コンテント」として
問題が表出している、
、、、と考えます。
■そして組織開発を、
もし進めようとするのであれば、
【「目に見えないもの」を大切にする】
というスタンスがなければ、
始めることはできない
と思います。
「問題は彼のパッションが
足りないからだ」
と、個人に原因を求めたり、
あるいは、
「皆が集まって、話せばいいんだ」
と、場さえ作れば
機能するという視点は、
目に見えないものの存在に
着目しているとは言い難いです。
■そこに「隠されている真因」はなんなのか?
・コミュニケーションのパターンなのか
・リーダーシップのスタイルなのか
・上下のヒエラルキーなのか
・暗黙の決まりごとなのか
・目標が共有されていないことなのか
、、、
一見、目に見えないことこそが、
人と組織に影響を与えているのです。
■人と組織は摩訶不思議です。
人と人が集まると、
様々な作用が起こります。
そこには、願いも恐れもあります。
・否定されそうな雰囲気で、
なんとなく発言が怖くなる
・強面リーダーシップの影響で
何も喋らない方が無難という空気が生まれる
・「まとめはあの人が上手」と決まっているから
任せておこうとする、いつものパターンがある
、、、などなど、
「見えないもの」の存在が、
確かに我々の思考に影響を与え、
それが、行動にも繋がり、
結果へと繋がっていく。
■せっかくチームが
集まったのであれば
その人が織りなすダイナミズムを
”グループであるからこそ
生じてしまうパワーダウン(プロセスロス)”
させてしまうのではなく、
隠された真因を見つめ
対話をし、共に未来を作り
”グループであるからこそ
生まれるシナジー(プロセスゲイン)”
を生み出していく、
これこそが、
成果を出すチームに必要な
組織開発の考え方です。
※参考図書:中原淳、中村和彦(2018)『組織開発の探求 理論に学び、実践に活かす』ダイヤモンド社)
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。
いちばんたいせつなことは、目に見えない。
星の王子さまより(サンテグジュペリ)
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