「サービス・プロフィット・チェーン」の論文を読み、考えたこと
(本日のお話 2558字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日、宮崎から東京に帰ってきました。
約2週間の滞在でしたが、
大きく気分を変えることができました。
これからも3ヶ月に1回2週間位のペースで、
ちょくちょく宮崎で働きたいと思います。
リモートワークの恩恵を受けられること
ありがたいなあ…と感じた日々でした。
*
さて、本日のお話です。
昨日、
「経営に資するための「従業員満足」を考える」
https://1lejend.com/b/detail/HSfoIRnMfw/3974274/
なるテーマで
メルマガをお届けいたしました。
今日も「従業員満足(ES)」について
続けたいと思います。
(ちょっと硬いのですけど、
「経営戦略論」なるものが授業で始まるので、
準備運動ということで・・・)
それでは早速まいりましょう!
タイトルは、
【「サービス・プロフィット・チェーン」の論文を読み、考えたこと 】
それでは、どうぞ。
■昨日のメルマガでは、
多くの企業で従業員満足度を
測ったりしているものの、
「なぜ、従業員満足度が大事で
力を入れる必要があるのか?」
をどれほど明確に語れるだろうか、
(否、結構語れないのかも?!)
という問いを
投げかけさせて頂きました。
■どんなことでも、
”目的があっての手段”
です。
「経営」という大目的を見据えての
「施策としての従業員満足度」、
という順番が
”経営に資する
人材開発・組織開発”
という視点でも
王道なのでしょう。
■そんな中で、一つ、
「従業員満足度」が
「利益」に繋がるモデルとして
『サービス・プロフィット・チェーン』
という考え方があります。
このお話が、なかなか興味深く、
ビジネスパーソンとして、
知っておいて損はない話だと思いました。
■ちなみに、
『サービス・プロフィット・チェーン(SPC)』とは、
”企業が従業員を大切にすることで、
従業員のサービス品質が向上し、
その結果顧客の満足度、そして企業収益の向上につながる”
という考え方で
1994年にハーバード大学のヘスケット教授とサッサー教授らが
”Putting the Service-Profit Chain to Work”
という論考で発表したものです。
■ということで、
早速この記事を読んでみました。
以下の大きく7ステップです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【サービス・プロフィット・チェーンの流れ】
<1,従業員へのサービス品質>
・職場環境のデザイン
・職務設計
・従業員の採用と開発
・従業員への報酬と承認
・顧客サービスのためのツール
↓
<2,従業員満足度>
↓
<3,従業員の貢献度/従業員の生産性>
↓
<4,サービス品質>
・サービスのコンセプトと
顧客への成果
↓
<5,顧客満足度>
・ターゲット顧客のニーズに対応した
サービスのデザインと提供
↓
<6, 顧客ロイヤリティ>
・リテンション(顧客の保持)
・リピートビジネス
・顧客からの紹介
↓
<7、企業の成長/収益>
↓
(※1,従業員へのサービス品質に戻る)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
とのこと。
■ちなみに、
”Putting the Service-Profit Chain to Work”の論考では、
以下のような事例を出していました。
「顧客のロイヤルティは
25%から85%の利益増加をもたらす」
(フレデリック・F・ライヒヘルドとW・アール
"Zero Defections:Qualities Comes to Services」HBR 9月号1990年)
とし、具体的な事例として
”1991年にゼロックスに
満足度の4点と5点をつけたお客様を分析したところ、
顧客満足度のスコアと実際のロイヤルティの関係は、
「顧客が非常に満足しているか」or「満足しているか」によって
大きく異なった。
ゼロックスに「5」をつけた顧客は、「4」をつけた顧客に比べて、
ゼロックスの機器を買い戻す可能性が6倍高かった。”
など紹介しています。
「顧客ロイヤリティは利益につながる」
ということですね。
■そして、
「顧客ロイヤリティ」を高めるために、
「従業員ロイヤリティ」を高める必要がある、
ことについて、
以下のような事例を出して
更に紹介していました。
◯顧客満足度とサービスマンの関係
”サービスマンが会社を辞めると
顧客満足度が75%から55%に急激に低下することがわかった”
◯経験のある従業員の重要性
”5年から8年の経験を持つ営業担当者を、
1年未満の経験しか持たない社員に置き換えた場合の
平均的な月額コストは、36,000ドルもの売上高になる”
◯従業員満足度と離職の関係
”ある損害保険会社の従業員を対象とした独自の調査では、
不満を持つ従業員の30%が退職の意向を示し、
満足している従業員の3倍の潜在的な離職率となった”
だそうです。
つまり
「従業員を大事にしないと、
企業の利益としてもマイナスの影響がある」
ということでしょうか。
■ちなみに、組織行動論では
サービス業などの
「『感情労働』において
従業員満足度(ES)が
顧客満足度(CS)に影響を与える」
とされています。
『感情労働』とは
”仕事上の対人的やりとり上で
組織に求められる感情を表出すること”
です。
(例えば、笑顔で接する、親切に対応する、
とかですね)
■これらの感情労働が求められる仕事は、
・営業
・カスタマーサポ-ト
・ウェイター
・受付窓口
・客室乗務員
などがありますが、
実際ほとんどの仕事は
人を介在するものであり、
何かしらの形で「感情労働」をしています。
ゆえに、濃淡はありこそすれ、
多くの業界、業種において、
「従業員満足度(ES)が
企業の成長/利益の増大のためにも重要」
となる、と言えそうです。
■、、、と、
論考を元にしたお話のご紹介となりましたが、
読みながら、改めて思ったこと。
それは、
「なぜ、従業員満足度が大事で
力を入れる必要があるのか?」
を明確に語るためにも、
先駆者の情報は大切な資源になる、
と改めて感じたのでした。
■人と組織という
気持ち、心が関わる人文科学では
状況によって当てはまる理論も変わります。
ゆえに、今回の話も
「これだけ押さえればOK」
というものでもありません。
しかし、
・職場をより良い環境にしていこう
・皆が働きやすい会社にしよう
と、”なんとなく”語るのではなく、
「なぜ、従業員満足度が大事で
力を入れる必要があるのか?」
を先行者の論考や先行研究、
理論等を含めて明確に語れたとしたら。
それはきっと、
「従業員満足度を大事にしよう」
と語り、巻き込もうとする
経営、人事などにとって
有用な武器になりえるのではないか、
と思います。
■大切だと思う背景を、
理論と物語、
それぞれのアプローチで
自分なりに咀嚼し語れること。
誰かを巻き込み
うねりを作り出す上でも、
大切なことだな、
と思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
法と支配者と、自分より賢明な人に従うことは、
節度あることである。
ストバイオス(ギリシャの作家・編者/5世紀頃)
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