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2784号 2021年10月5日

「自己の物語」を編み直すことで得られるもの

(本日のお話 2732字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は3件のアポイント。
またワクチン接種ができました。
その他、大学院の打ち合わせなど。



さて、本日のお話です。

いきなりですがリーダーシップを
開発するための大事な要素。

それは、

「自己認識」
(=自分を知る)

であると言われます。

・自分の強み・弱みは何か?
・自分の価値観は何か?
・自分の思考のクセは?



自分が自分の仕事の役割を果たす上で
他者と協働していく上で、

”自分自身”

という、
最も重要なリソースの特徴と取扱い方が
正しくわかっていなければ

武器の特徴を知らずに
振り回しているようなものです。

ゆえに、

「自己認識」
(=自分を知る)

ということはとっても大事です。



…では、

そんな「自分」とは
一体どのように出来上がっているのか?

こんな深い問いについて
大学院の授業にて

『「自己」とは
「自己を物語る」ことで生まれる』

というお話を聞き、

実に腑に落ち、自分自身を振り返って、
考えることがありました。

…ということで、
前置きが長くなりましたが

本日のテーマは「自己を知る」にて
お届けしていきたいと思います。

それではまいりましょう!

タイトルは、

【「自己の物語」を編み直すことで得られるもの】

それでは、どうぞ。

■人は誰もが

「自分はこういう人間である」

という自己定義のようなものを
持っていたりします。

例えば、

臆病である、行動派である
思いやりがある、普通である

みたいに。

そして、それは、
過去の「自分の物語」から
できていることも少なくありません。

■例えば、私(紀藤)の場合、

・幼少期、自信がなかった

・小中学校で、アイドル的な友達のそばの
金魚のフンみたいな存在だった

・高校デビューでキャラ変を目指すが、
変に愛想のないヤツになって終わった

・大学も頑張るが、空回る。
バイト先の店長に殴られ、顎が折れる。
その悔しさからボクシング部に入る

・新卒では飲食店で働くが、
心身の不調で、1年半で挫折をする



みたいな、
人生前半(20代前半)までの
「自己の物語」を持っています。

そして、このエピソードにより、

・さして能力もない自分
・才能には恵まれていない自分
・ストイックな自分

みたいな「自己定義」を作っている

というように。

■そして、
多くの方も同様に、

自分の人生における
いくつかの象徴的な思い出をピックアップし、

それらを素材に「自己の物語」を
紡ぎ出しているものです。

そして、

「自分はこういう生き方をしてきた」
「自分はこういう特徴を持つ人間だ」

という”自己”を定義している。

そうやって自分という
”枠”を決めているとも言えそうです。

そしてそれは

・自己限定
・自己効力感

とも語られる、
自分自身の可能性を拡張したり
狭めたりすることにも繋がっています。

と考えると、

自己定義にもつながる
「自己の物語」はとても大事そうです。

■しかし、ここで立ち止まって
考えたいことがあるのです。

それは、

「自己の物語は、
本当に”事実”なのか?」

ということ。

人の記憶とは曖昧なものです。

自分がピックアップしてきた記憶も、
その記憶に対する解釈も
1つではなかったりするのです。

■1つ、具体例を出してみます。

以前、「これまでの人生を振り返る」という
ワークショップをやりました。

そこで、「人生曲線」なるワークシートを
参加者の方に書いていただきました。

「人生曲線」とは

・これまでの起こった出来事と、
・その際の感情や学びを描いていく
・半生を曲線として描いていく

というシンプルなワーク。



そこで、とある参加者が

「10年くらい前にそのワークを
やったことがあるんですよ」

といいつつ、同じワークを
再度取り組んでいただきました。

結果、

「人生曲線の形が変わっていた」

と語り、ご自身が驚かれていました。

当時は消化できていなかった
大変だった出来事。

その方の場合、

”「子育て」の意味付けが
ポジティブなものに変容した”

と言っていました。

当時はネガティブな出来事が、
時を経るとその意味付けが変わっていた。

つまり、

「自己の物語の変容」が起こっていた

とも言えそうなお話です。

■”自己の物語を語る”

ことには、ある程度の幅があります。

1)自分が人生のどの出来事をピックアップするのか

2)どんな意味付けをするのか

3)どんな物語を描くのか

について、
選択の余地が残されています。

ゆえに、極端に言えば
上記の1)~3)を大きく見直すことで

「自己の物語を”編み直す”」

事もできると言えますし、

そのことを通じて、

・自分の歩んできた人生の質感を変える(※1)

ことも、

・自分の目指す方向性を定義し
選択を変えることに役立てる(※2)

事もできるわけです。

※以下のような作用といわれます.

1,現実組織化作用・・・
現状を理解するときの意味的なまとまりを得る

2、現実制約作用・・・
現実理解を方向づけ、アクションを起こす

■冒頭に、私(紀藤)自身の

幼少期~新卒のエピソードを
お伝えしました。

ただしそれは、

ある側面をピックアップしてできた
”一つの見方”の「自己の物語」

とも言えます。



例えば

・金魚のフンみたいだった出来事
自信がなかった出来事

をピックアップすれば

”自信のない幼少期”の
エピソードが描けます。

私(紀藤)はそれを採用し、
今にいたる物語を、

「自信がなかった幼少期から
ちょっとずつ良くなっていく物語」

として歩んできました。

■ただ、ピックアップする出来事を
あえて変えてみると

・小2で原稿用紙20枚
たんぽぽについての作文を書いた成功体験(?)

という粘り強さ系のエピソードとか、

・小学校の演劇で主役っぽいことを
やったこともあった

というちょっとした
成功体験もあったわけです。

そして、それを紡ぐこともできる。

そして、そこから
また違ったエピソードを
描くことも出来る、

と言えるわけです。

■…と長々と語ってしまいましたが、

「自己認識」(=自己を知る)は、
リーダーシップ開発にとっても
重要な要素とお伝えしました。

ただ、
リーダーシップだけではなくて
生きていくための一番の軸が「自分」です。

ゆえに、
「自分を知る」ことは

そして

「自分から見た自分」が
(内面的自己認識、アイデンティティ、とも言います)

どのように定義され
できているのかを知ること全ての人が探求して
十分に価値があることだろう、と思います。

そしてそれは、
「自己の物語を編む」ことでできており、

同時に

「自己の物語を”編み直す”」

ことを通じて、

自分という存在を肯定的に
再構築することができる、

そして、自らの抑えていた可能性も
開花させることができる(かも)

とも言えると思うのです。

皆さまは、どんな
「自分の物語」を持っていますか?

そして、その物語により、
どんな意味を自分に付与しているのでしょうか?

深ぼることで見えてくるものが
きっとあるのではなかろうか、
と思っている次第でございます。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

全世界を知って
おのれ自身を知らぬ者がある。

ラ・フォンテーヌ(フランスの詩人/1621-1695)

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