「ジョブ・クラフティング」が組織と個人にもたらす意義
(本日のお話 2565字/読了時間3分)
■おはようございます。紀藤です。
さて本日も引き続き、
「ジョブ・クラフティング」
をテーマに学びを皆さまに、
ご共有させていただければと思います。
今日は「ジョブ・クラフティングの意義」について
皆さまにお伝えできればと思っております。
それでは参りましょう!
タイトルは、
【「ジョブ・クラフティング」が組織と個人にもたらす意義
~ジョブ・クラフティングを紐解く(その3)~】
それでは、どうぞ。
■ジョブ・クラフティング。
”仕事を手作りする”
というこの考え方ですが、
昨今注目されております、
というお話をお伝えしてまいりました。
■では、そんな
「ジョブ・クラフティング」に注目する意義には
一体どのようなものがあるのでしょうか。
ジョブ・クラフティングを行うと、
どんな”いいこと”があるのでしょう?
今回は
「組織にとっての意義」と
「従業員個人にとっての意義」の
2つの側面を
論文から紐解いていきたいと思います
※論文を抜粋してご紹介しますので
ちょっと説明っぽいかもしれませんが、
ご容赦くださいませ。
それでは以下ご紹介です。
(ここから)
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<組織にとってのジョブ・クラフティングの意義>
1)「従業員の個人ー職務適合の向上」が期待される
→ジョブ・クラフティングによって、
「従業員の個人ー職務適合の向上」が期待される。
個人ー職務適合の向上は
職務満足やモチベーション、パフォーマンスなどに関して
ポジティブな結果を導くとされている。
2)「従業員が仕事の有意味感を感じる」事ができる
→ジョブ・クラフティングによって
仕事を変え、”仕事の意見(MoW)”を再発見することで
「従業員が仕事の有意味感を感じる」事ができる
仕事にポジティブな意味を感じられると、
従業員の行動や態度に対して望ましい影響を与える。
”仕事の意味(MoW)”は従業員のワークモチベーションの向上、
欠勤率の現象、組織への帰属意識の向上といった影響をもたらすとしている。
3)「組織に貢献するプロアクティブ行動」となる
→ジョブ・クラフティングが結果として、
「組織に貢献するプロアクティブ行動」となる
状況の変化を先取りして組織へ貢献するという
直接の意図を含んでいるわけではないが、
率先や個人的進取といったプロアクティブ行動とも
繋がっているとされている。
※高尾義明(2019)『ジョブ・クラフティング研究の展開に向けて:概念の独自性の明確化と先行研究レビュー』
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(ここまで)
とのこと。
■ジョブ・クラフティングをすると、
・「職務の適合度」が高まり
・「仕事の有意味感」を感じられ、
・組織に貢献する「プロアクティブ行動」につながる
なので、組織にとっても
とっても(!)ですよね、
とのこと。
確かに、自分自身で仕事の意味付けができて、
そして組織に貢献してくれたら、
そんなに嬉しい事はありませんね。
■では、対して、
「従業員個人」への意義は
どのようなものがあるのでしょうか?
以下、引き続きご紹介いたします。
(ここから)
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<個人にとってのジョブ・クラフティングの意義>
1)仕事の意味(MoW)を感じることが難しくなっており、
それを形作っていく”仕事の経験”に注目する必要が高まっているため
→これまでのジョブ・デザインの伝統的議論では
自律性、コントロール、スキル、タスクの重要性などが
備わっていれば、仕事の有意味感が高まるとされてきた。
しかし、それらの条件を備えた「リッチ」な仕事に従事していてさえ
仕事の意味(MoW)を感じにくくなっている。
ゆえにジョブ・クラフティングを通じて、
自ら”仕事の経験”を作り出し、仕事の有意味感を
感じることが求められている
2)従業員と組織のとの関係が代わり、
「今ここで、この仕事をする意味」の自明性が失われやすくなっているため
→かつての日本の会社組織では、
「今ここでこの仕事をする意味」を見出そうとする必要性が
相対的に小さかったと言える。
なぜならば、この組織に所属して働いているという
「所属していること」のほうがより重視されてきたためである。
しかし、そのような状況も次第に変わってきているため、
自らの手でジョブ・クラフティングをして仕事の意味(MoW)を
見出すことが必要と考えられる。
3)仕事の個業化が進み、他者との関わりの中から、
仕事の意味(MoW)やワークアイデンティを感じる職場が増えていること
→かつては職場内で、他者との関わりが比較的多く、
自然と人間関係を構築することができた。
しかし個業化が進む中で、自ら職場内の人間関係を改めて構築し
関わりを持っていく「関係的ジョブ・クラフティング」が
クローズアップされている。
※参考:高尾義明(2019)『ジョブ・クラフティング研究の展開に向けて:概念の独自性の明確化と先行研究レビュー』
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(ここまで)
とのこと。
■個人にフォーカスを当ててみても、
「仕事」というものの意味が変化をしていることから
それに対応することが求められているようです。
要は、
・会社に所属していれば
アイデンティティを感じられていたのが
そういうわけでもなくなった
・個業化が進んで、関係を構築することも
改めて意識をする必要が出てきた
・仕事の意味付けが以前よりも
単純ではなくなってきている
、、、ゆえに、
”自分で仕事の経験を作り出し
意味づけする力が求められている”
ようです。
■そして、上記の論文を改めて見てみると、
特に頻繁に見られたキーワードは
◯仕事の有意味感(Meaning of Work)
◯ワーク・アイデンティティ(Work Identity)
の2つと感じました。
これは仕事を会社任せではなく、
「一人ひとりが自分から、
仕事を作り上げていこうとする」
というように軸が
・会社→個人へ
・受動的な個人→能動的に動く個人
という前提を持っているようで、まさに
「個」が自立・自律して生きる時代を象徴したテーマが
「ジョブ・クラフティング」のようにも思えてきます。
■、、、ということで本日は
ジョブ・クラフティングの組織と個人への意義を
お伝えいたしました。
では、実際にどのような取組みをすれば、
「ジョブ・クラフティング」が可能になるのか?
この点については、
引き続き次回以降のメルマガにて
続けさせていただければと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
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だが、制約があるからこそ、
自分のしたいことを貫くのが本当の行動になる。
岡本太郎(芸術家/1911~1996)
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