メールマガジン バックナンバー

2899号 2022年1月28日

「ジョブ・クラフティング」に影響を与える3つの動機と2つの要因

(本日のお話 2952字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

さて本日も引き続き、

「ジョブ・クラフティング」

をテーマに学びを皆さまに、
ご共有させていただければと思います。

今日は
「 「ジョブ・クラフティング」に影響を与える3つの動機と2つの要因 」について
皆さまにお伝えできればと思っております。

それでは参りましょう!

タイトルは

【 「ジョブ・クラフティング」に影響を与える3つの動機と2つの要因
~ジョブ・クラフティングを紐解く(その5)~】

それでは、どうぞ。

■ジョブ・クラフティング。

”仕事を手作りする”

という考え方。

これまで、

・ジョブ・クラフティングとエンゲージメントの関係
・ジョブ・クラフティティングの3つの次元
・ジョブ・クラフティングが組織と個人にもたらす意義
・ジョブ・クラフティングとジョブデザインの違い

等についてお伝えしてまいりました。

※詳細はバックナンバーより↓↓
https://1lejend.com/b/HSfoIRnMfw

■簡単におさらいをしますと、

まず、ジョブ・クラフティングは
以下の3つの次元からなっている、とお伝えしました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<ジョブ・クラフティングの3つの次元>

1)タスク境界(task boundary)
→仕事そのもの(を創意工夫する)

2)他者との関係性(relational boundary)
→人との関係(を築く)

3)認知的な境界変化
→仕事の捉え方(を変え、意味や意義を見出す)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そして、上記の3つの次元への影響によって、

仕事そのものや、
仕事を取り巻く人間関係などに
"自分から影響をもたらす"ことにつながり、

それらが、

・職務への適合度が高まる
・仕事の有意味感を感じられる
・組織に貢献するプロアクティブ行動に繋がる

等、組織と個人の意義へとつながる、というお話でした。

■と、いうことで

ジョブ・クラフティングには
何かしらのメリットがあるようです。

では

「何をどうすれば、ジョブ・クラフティングに繋がるのか?」

この疑問が残ると思います。

今日はこの点について、
深ぼっていきたいと思います。

■まず、

「ジョブ・クラフティングしよう!」

(、、、という人はいないと思いますが
そのような行為をしようと思う人)

という「動機」について
着目してみたいと思います。



ジョブ・クラフティングの動機には、
以下の3つがあるとされています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<ジョブ・クラフティングの3つの動機>

1)仕事についてのコントロールや
仕事の意味に対する欲求

2)ポジティブな自己イメージへの欲求

3)他者との人間的関係への欲求
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

とのこと。

見てもらうと、

”仕事を手作りする”という
ジョブ・クラフティングの背後には、

「自分自身が仕事に意味を感じたい」
「自分に対してポジティブなイメージを持ちたい」
「誰かとより良い関係になりたい」

などの”個人の欲求”があることがわかります。

■そして、次に

「ジョブ・クラフティングに影響を与える調整変数(要因)」

について見ていきたいと思います。

では、ジョブ・クラフティングにつながる3つの動機があれば、
そのままジョブ・クラフティングが実践されるのか、
といえばそういうわけではありません。

その間に、「調整する要因」があるのです。
大きく分けて、
「個人要因」と「職場要因」の2つがあります。

以下整理してみます。

(ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<ジョブ・クラフティングに影響を与える調整変数(要因)>

{1)個人要因}

◯個人の『仕事志向性』

・人は以下3つの仕事志向性を持っているといい、
それに適合する形で人はジョブ・クラフティングを行う、
とされています。

※仕事志向性の3つのタイプ

*ジョブ(JOB):お金と生活のための労働
このタイプの人たちは仕事からではなく
仕事以外の活動から満足を得ようとする傾向がある。

*キャリア(Career):高い地位と責任のため
仕事は収入だけではなく昇進や名誉を得るための手段とする。
結果が出なければやる気を失います。

*コーリング(Calling):充実と社会的意義、使命感
仕事そのものに意味と意義を感じており、
自分のアイデンティティと感じる。

(Bellah, Madsen, Sullivan, Swidler, and Tipton(1985))

◯個人の『モチベーション志向性』
・人が何か行為を行う際は、
外発的モチベーション、内発的モチベーションがある、といいますが、
これも人によって”志向性”があるとしています。

※モチベーション志向性

*外発的モチベーション:
行為そのものではなく、外部からもたらされるものを目標とする。
その目標を実現するために行為を行おうとするモチベーション。
義務や賞罰、強制などによってもたらされる動機付け

*内発的モチベーション:
好奇心や関心など、自分自身の内なる欲求に起因する。
仕事に対する興味や関心、そこから生まれるやりがいや達成感等からもたらされる動機づけ

{2)職場要因}

◯ジョブ・クラフティングの機会に関する知覚

*タスクの相互依存と自律性
(職務特性モデルにおける以下3つが相当する)

・技能の多様性(その職務に使える技能がバラエティ豊かである)
・職務の完結性(仕事を最初から最後まで一貫してやり通せる)
・自律性(自らが仕事を任せられ、プロセスをコントロールできる)

※参考:高尾義明(2019)『ジョブ・クラフティング研究の展開に向けて:概念の独自性の明確化と先行研究レビュー』:
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

とのことでした。

■さて、上記にて

・ジョブ・クラフティングの「3つの動機」
・ジョブ・クラフティングの「2つの要因」

を整理してみましたが、
どのように感じられましたでしょうか。

おそらく、この情報から考えることは
人によって見方が違うかと思います。



私の解釈ではありますが、
個人的に感じたことは、

”「ジョブ・クラフティング」の実践には
「(仕事において)より良くなりたいと思う個人」
の存在なくしてははじまらない”

ということです。

”個人の欲求”がものすごく大事なのだ、
と思いました。

■個人の欲求とは、

「自分自身がどうありたいのか」というミッション等
綺麗な表現に留まるものだけではありません。

調整する個人要因は
・外発的/内発的モチベーション
のそれぞれがありますし、

仕事志向性も
・ジョブ/キャリア/コーリング
とそれぞれあります。

ゆえに、

・「もっと出世して認められたい」でも、
・「もっと仕事でお金がほしい」でも、
・「クリエイティブな世に名を残す仕事がしたい」でも、
・「仕事を通じて社会と繋がりたい」でも

人によって”個人の欲求(動機)”は様々で、
一つに絞ることはできません。

ジョブ・クラフティングにおいては
それが何かは問わないのだと感じます。

■しかし、どんな形であれ

”仕事を通じてより良くなりたい”

という個人的な動機がなく
(あるいは小さく)

「もういいや、、、今のままで十分」とか
「今のままで、楽して逃げきりたい」になっていれば

ジョブ・クラフティングの3つの動機
1)仕事についてのコントロールや仕事の意味に対する欲求
2)ポジティブな自己イメージへの欲求
3)他者との人間的関係への欲求

は発生しづらく、結果として
ジョブ・クラフティングという芽は
生まれ得ないのではないか、、、

と私は感じました。

■では個人の欲求を、
どのように生み出すか、となると
また深い話になるかと思います。

、、、ということで、
そちらの話も明日以降のお話にて
探求してまいりたいと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆様にとって素晴らしき1日になりますように。

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<本日の名言>

他人任せでは物事は好転しない。
「誰かが」ではなく、「まず自分が」という生き方を心がけたい。

松下幸之助(松下電器創業者/1894~1989)

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