「フォロワーシップ」とは何か(その2)~勇敢なフォロワーの5つの勇気~
(本日のお話 2995字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
さて、本日のお話です。
先日、
『ザ・フォロワーシップ』
(アイラ・チャレフ/著)
という書籍をご紹介させて頂きました。
そして「フォロワーの責任」というタイトルで、
フォロワーの考え方をご紹介させていただきました。
今日も引き続き、
「フォロワーシップ」をテーマに、
探求を進めてまいりたいと思います。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは
【フォロワーシップとは何か(その2)~勇敢なフォロワーの5つの勇気~】
それでは、どうぞ。
■フォロワーシップ。
この言葉は、
「リーダーシップ」という言葉に比べて
馴染みがない言葉のように思います。
なんとなく
「フォロワー」というと
・従順である
・上司より下のレベル(部下)
・リーダーではない
とされて、
リーダーがもてはやされる(?)中
ポジティブではないイメージがあるようです。
ゆえに、あまり注目されてこなかったの(かも)しれません。
■しかしながら、
「フォロワーシップ理論って
どんなものがあるのか?」
とふと思って論文を調べてみると
色々と情報が出てきて、
実に奥行きがある世界だな、
と感じさせられております。
(私がサラリーマンだったころに読んでおけば、
もっとよい部下になれたかも、、、と思ったり汗)
■ちなみに、
フォロワーシップの考え方も、
様々な切り口があるようです。
以下の論文、
MaryUhl-Bien、Ronald E.Riggio、Kevin B.Lowe、Melissa K.Carsten(2014)『Followership theory: A review and research agenda』
(フォロワーシップ理論:レビューと研究のアジェンダ)
がわかりやすくまとまっており、
こちらについては改めて
明日以降ご紹介していきたいと思っておりますが、
いずれにせよ、
「リーダーはフォロワーがいるからこそ、
”リーダー”となる」
という
相互作用の中で共創されるもの、
という考え方が軸にあるようです。
確かに、
「自分はリーダーだ!」と
いくら一人叫んだとしても、
フォロワーがリーダーをフォローしなければ
リーダーはリーダーシップを発揮することはできません。
リーダーもフォロワーも
「組織の共通の目的に対して、
それぞれが責任と役割を担っている」
と考えると、
”フォロワーという役割において
責任を果たす必要がある”
これがフォロワーシップの
一つの軸となる考えの一つでは、
と考えられます。
■さて、では
フォロワーはどんな責任、役割を
果たす必要があるのでしょうか?
これも研究者によって
・フォロワーの定義
・フォロワーのタイプ分け
・フォロワーが果たすべき役割
等、様々な考え方がありますが
今日は『ザ・フォロワーシップ』の著者
アイラ・チャレフの考え方から、
【勇敢なフォロワー】
という切り口から、
フォロワーの役割を考えてみたいと思います。
■チャレフは
”組織ミッションやビジョンを追求するには
フォロワーがリーダーを「強力にサポート」する必要がある”
といいました。
そして、
”リーダーを強力にサポートする
「効果的なフォロワーシップ」とは”
・リーダーのパートナーとして、
説明責任を果たす
・リーダーに、時に立ち向かう
(不快な情報や批判的で正直なフィードバックをする)
・チームが満足する
生産的な職場環境に貢献する
ことである、ともいいました。
そしてそのためには
「勇敢なフォロワーとしての”勇気”」が必要
と言ったのです。
■では、
具体的に、効果的なフォロワーには
どんな勇気が必要なのか?
以下のご紹介いたします。
(先にお伝えしておきますが
結構「マッチョ」な考え方です)
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<勇敢なフォロワーに求められる5つの勇気>
1,責任を担う勇気
…勇敢なフォロワーは、自分自身と組織に対する責任を引き受ける。
リーダーや組織に温情を期待しない。
自分の保障や成長についてリーダーや組織を当てにしない。
組織の中で自分の可能性を十分に発揮し、
自らの価値を最大限に活かす機会を見つけ、創り出す。
2,役割を果たす勇気
…勇敢なフォロワーは、リーダーを支えるために
必要であれば困難な仕事をいとわない。
さらにリーダーの負担を軽減して、組織の役に立つために、
今まで以上の責任を進んで引き受ける。
リーダーの力不足をうまく補える領域を察知し、自分に任せてほしいと申し出る。
彼らは共通目的を追求する情熱では、リーダーに負けない。
3,異議を申し立てる勇気
…勇敢なフォロワーは、リーダーや組織の行動や方針が
自分の道義的観念と食い違う場合、自分が感じる不安を言葉にする。
リーダーや組織の行為を調査すべきときは、自ら立ち上がる。
自分の考えを表明し、正しいと思えないことはきっぱりと拒絶し、対立をいとわない。
勇敢なフォロワーは組織の調和とリーダーとの関係を尊重するが、
そのために共通目的と自分自身の誠実さを犠牲にするようなことはない。
4,改革に関わる勇気
…共通目的の追求を脅かす行為が改まらない場合、
勇敢なフォロワーは改革の必要性に気づく。
改革の必要性を擁護し、リーダーや組織と団結して
本格的な困難に立ち向かう。改革のプロセスに深く関わる。
5,良心に従って行動する勇気
…勇敢なフォロワーは、リーダーと反対の態度をとるべきことを
心得ている。高い価値観に従って行動し、上司の命令に従わなかったり、
さらにその上の上司にその不当さを訴えたり、辞職を申し出たりすることもある。
※『ザ・リーダーシップ』より抜粋、引用(P12-13)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
、、、とのこと。
■さて、見てみて
いかがでしょうか。
個人的には(やっぱり)
「かなりマッチョ」な考え方だなあ、
と感じました。
・リーダー以上の熱量
・リーダーを尊敬しつつも物申す
・時に辞職もいとわない
、、、すごい、すごすぎるぞ、
勇敢なフォロワー。
ここまでできるフォロワーが
果たしてどこまでいるのだろうか、
とも思いますが、
確かにこんなフォロワーがいたら
組織やチームは良くなりそうですね。
■ちなみに、著者のチャレフ氏は
このお話の紹介の後に、
「そんなこと、できるわけない!」と思うことが何度もあるだろう。
本書に提示した方法を非現実的と考える人もいるかもしれない”
と語っているので、ある意味この考えは
”これまでのフォロワーシップの概念に挑戦した考え方”
と捉えても良いかもしれません。
■ただ、
改めてこの切り口から
「効果的なフォロワーシップとは?」
と考えてみると、
フォロワーとは階層上の役割上、
部下などの名前があったとしても、
違う観点から
効果的なフォロワーシップとしての行動を定義すれば
・主体性
・自らの信念
・勇気を持った行動
等を含めた、
究極に自立した「リーダーシップ」行動こそが
フォロワーシップとも呼べるのかもしれない、
と思えてきます。
■効果的なフォロワーが持つものとは、
例えば表現を変えるならば、
◯自分の軸が定まっている
(→自分自身の価値観・強みを理解する)
◯「共通目的」を見据えて、達成しようと思っている
(→その熱意は時にリーダー以上)
◯能動的かつ、自立して動く
(→指示待ち、従順なだけではない)
という姿勢なのかもしれません。
そして、それは
若手だろうが中堅だろうが管理職であろうが、
あらゆる人に求められることである、
と私は感じました。
■、、、ということで、今日は
「勇敢なフォロワーの持つ5つの勇気」
という切り口でフォロワーシップを考えてみました。
明日以降は、少しアカデミックな観点から
改めて全体像を見てみたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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<本日の名言>
あらゆる堕落の中で最も軽蔑すべきものは、
他人の首にぶらさがることだ。
ドストエフスキー(ロシアの小説家/1821-1881)
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