「キャリア自律」の3つの行動と、大切な概念
(本日のお話 2410文字/読了時間3分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は3件のアポイント。
ならびに夜は勉強会のお仲間との情報交換会でした。
新しい環境に挑戦されている姿を聞くと、
自分ももっと頑張ろう!という気になり、大変刺激を受けました。
まだまだ自分にも出来ることがあるはず。
*
さて、本日のお話です。
先日、「知識労働者のキャリア発達」について
お伝えさせていただきましたが、
本日も続けさせていただければと思います。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは
【「キャリア自律」の3つの行動と、大切な概念】
それでは、どうぞ。
■先日のお話で
「キャリアの責任が
組織→個人へと変わった」
というのが新しいキャリア研究の流れである、
というお話をいたしました。
そして、これはまさしく
”私たち自身のキャリアのこと”
でありますから、
十二分に自分の身を振り返って
考える価値はあるテーマかと思います。
■ちなみに、なんとなく
肌感覚で感じられているように
日本では、年功型、終身雇用など
雇用環境が欧米と違っています。
ゆえに、
「キャリアの責任は(とはっても)
組織がなんとかしてくれる感」
は、暗黙的に考えられてきた風潮が
続いていたように思うわけです。
、、、しかしながら日本でも、
「個人が能動的かつ継続的に学習する
『キャリア自律』は重要である!」
と研究されてきています。
(花田・宮地・大木,2003)
■では、そのように、
”組織に依存せず、
自分自身を頼りに積極的に学習するキャリア”
を構築するためには、
どのようなポイントがあるのでしょうか?
*
以下、要点について、
整理をしてみたいと思います。
(ここから)
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【「キャリア自律」の3つの行動と大切な概念】
<キャリア自律の背景にある前提>
◯「プランド・ハプンド・スタンス論」(クランボルツ,1999)
(=キャリアの8割は偶然によって影響される、という考え)
:個人が日常から、主体的に行動し、
そこで出会う出来事から学習をし続けるスタンスが
前提として求められている
*
<キャリア自律の3つの行動>
1)ジョブデザイン行動
:自分なりのものの見方や環境の動向への見解を持ち、
自ら周囲へ積極的に働きかけ、自分なりの仕事のやり方を進めていく、
仕事や課題に対する能動的行動のこと
2)ネットワーキング行動
:人脈づくりという言葉を超えて、
積極的に自分のネットワークにいる人々のニーズや状況について把握し、
情報などのギブ・アンド・テイク、およびそれ以上の信頼の関係をつくる行動のこと。
3)スキル開発行動
:スキルや知識、資格の取得も含めた、
仕事とは離れた学習によって
自己開発についての行動を行うこと。
*
<キャリア自律の重要な考え方>
◯「自己概念のストレッチ」
:キャリアを特定の分野や領域に限定し、
自己概念を固定的に捉えるのではなく、
むしろ積極的に新しいことに挑戦して、
自分の価値観をも変えてストレッチしていくことを意味する。
それは新しい自己の発見にほかならず、そのことを通じて
より豊かなキャリア発達がされるという考え方のこと。
※『知識労働者のキャリア発達―キャリア志向・自律的学習・組織間移動』
三輪 卓己 (著) P60-61
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(ここまで)
とのこと。
■、、、とご覧になられてみて、
いかがでしょうか。
これを見た時に私は勝手ながら、
「心が震えた感覚」を覚えました。
何がグっと来たかというと
キャリア自律のこの3つの行動、考え方はまさに、
”人生の舵を自分で握る”
”自分という個の力を追求していくスタンス”
のように思えたからです。
■特に、「2)ネットワーキング行動」の
”人脈づくりという言葉を超えて、
積極的に自分のネットワークにいる人々のニーズや状況について把握し、
情報などのギブ・アンド・テイク、およびそれ以上の信頼の関係をつくる行動”
などは、まさにそう。
心から納得いたしました。
私(紀藤)も自分で仕事をしていますが
そこで出会い、つむがせていただいている頂いているご縁によって、
今も仕事をさせていただいている、と感じます。
それは「人脈づくり」と呼ぶには薄く、
何を求めているのか、自分ができることはなにかないかを、
積極的に探し、提供するというスタンスに他なりません。
(もちろん時間にもエネルギーにも
限りはありますので、どこまでやるかは
決めねばなりませんが)
ただ、そういった人との縁を大切にするスタンスこそが、
思わぬチャンスや、キャリアの展開を運んできてくれる、
ストレッチの機会を与えてくれる、
と強く感じております。
■また、「自己概念のストレッチ」という考え方も、
自分の人生の捉え方を広げてくれる感じがします。
ちなみに、この、
”ストレッチ”という概念について、
上記の著書ではこんな風に続けられていました。
(以下引用です)
”「新しい自己の発見」という意味では、
バウンダリーレス・キャリアやプロティアン・キャリアで言われている
”アイデンティティの変革”に共通すると考えられる。
ただしここでいう「ストレッチ」という概念には、
自己の変革というだけでなく、
新しい能力や価値の発見という要素が加わっており、
より複雑な、あるいは豊かな自己概念の形成が
必要であるということが主張されている”
とのこと。
つまり、
「自分がストレッチすることで、
”自分は◯◯である”という、
自分に対する概念すらアップデートしていく」
まさに、新しい自己の発見ですね。
■歳を重ねると、
「自分ってこれくらい」
「自分の特徴はこんなかんじ」
「自分の能力もこんな程度」
と
”自分の考え方を概念を
小さな箱の中に閉じ込める”
ことも、なきにしもあらずです。
もちろん経験から得た、
自分についての考え方は指針にもなるので、
大切にしたいこともありますが
それが時に「檻」になることもあります。
でも、そうではなくて、
基本スタンスとして新しい挑戦、
ストレッチを自らに課し続けることで、
・こんな自分もいた
・あんな自分もいた
・まだまだ自分も知らない自分がいた
と”自分に対する発見”を重ねることができる、
それが「自己概念のストレッチ」とも言えるのでしょう。
この考えはまさに成長の喜びを得ることであり、
人生を豊かにする、大きな一歩である
そのようにすら感じます。
■ストレッチも自律も、
どこか不安がつきまといます。
でも、だからこそ、
新しい自分も発見できる、
そう思えると、
ますますキャリア自律の大切さを
感じさせられるようにも思えます。
私ももっともっと、ストレッチをして
新しい自分を発見していきたい、
そんなことを感じさせられたお話でした。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
発見の旅とは、新しい景色を探すことではない。
新しい目で見ることなのだ。
マルセル・プルースト(フランスの小説家)
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