今週の一冊『越境学習入門 組織を強くする「冒険人材」の育て方』
(本日のお話 2331文字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
GW3日目ですね。
昨日東京は良い天気でしたので
家族で近所の公園で散歩など。
平和な1日でございました。
そろそろ勉強しないと、
大学院の課題の方が危なそうなので、
これから頑張ります(汗)
*
さて、本日のお話です。
毎週日曜日はお勧めの一冊をご紹介する、
「今週の一冊」のコーナー。
今週の一冊は、
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『越境学習入門 組織を強くする「冒険人材」の育て方』
石山 恒貴 (著), 伊達洋駆 (著)
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でございます。
■皆さまは、「越境学習」という言葉、
聞かれたことはありますでしょうか?
「越境」するとはすなわち、
すなわち、
”自分の居心地のよい
いつもの環境(=ホーム)”
を離れて
”慣れなくて、居心地が悪く、
自分のこれまでのルールが通じない環境(=アウェイ)
へと、まさに言葉通り
「境界を越えること」を意味します。
■名言風に言えば
「障子を開けてみよ、外は広いぞ by豊田佐吉」
という感じでしょうか。
■いつもと違う場所に
自分の身を置くことは、心地よくはありません。
私事で恐縮ですが、
今大学院に行っていますが、
当初はめちゃくちゃアウェイ感を覚えていたのが
まさに当てはまります。
みんな賢そうにみえるし(てか実際そう)、
まとめるのも上手。
、、、しかし、
その違和感を覚えて、
葛藤と痛みがあるからこそ、
学習が促進されていくし、
新たなやり方を個人と組織に持ち帰るからこそ、
レベルを上げることができる、
ということも1年たち理解しました。
■そんな、
「ホームとアウェイを往還することで
生まれる葛藤が学習効果をもたらす」
という作用を、『越境学習』と呼びます。
■さて、この「越境学習」。
ここまでお伝えして
「その通りだよね」と実感を伴って
感じられた方も、少なくないのでは、と思います。
というのも、皆さまもこれまで
学校が変わる、異動する、転職するなど、
環境の変化、つまり、
”自分が普段と違う場所に行き、
違った価値観に触れることで、
自分がレベルアップする感じ”
を覚えたことがあるはずだから。
■そしてそれは、
仕事でも、仕事以外でもどこそこに転がっています。
書籍では「越境学習の種類」を考える参考として、
以下の4つのテーマを紹介しています。
(ここから)
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越境学習の種類 <人生の活動の4つのワーク>
1)有給ワーク
・雇用
・自営
・兼業・副業など
2)学習・趣味ワーク
・学び直し
・趣味・サークル
・リカレント教育
・社会人大学院
・勉強会など
3)家庭ワーク
・家事
・育児
・介護など
4)ギフト・地域ワーク
・ボランティア
・地域活動
・NPO
・社会活動など
※『越境学習入門 組織を強くする「冒険人材」の育て方』P33
Handy,C,B(1995)The Age of Paradoxより
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上記の4つのワークは、
特に人生が長期化する中で
人が持つ様々な役割を「ワーク」として
整理をしたものであるそうです。
そして、上記の4つのワークには
『越境学習』
のきっかけが大いにあるとも言えます。
■例えば、
・社会人大学院
・育児や介護
・地域活動(PTAなど)
などを通じて、
・自分の当たり前が壊される感覚、
(=ものの見方の変化)
・違った自分自身の発見
(=自己認識の変容)
・それに伴った葛藤や痛み
(=新しい場所で価値を提供しようとするプロセス)
などが起こります。
それは直接の仕事ではないけれども、
「仕事そのものの取り組み方」にもインパクトを与えてしまうような、
強い作用がある学びです。
■ただし、それは
「狙ってできるもの」とか
「効率的な学び」とは対極にあります。
何が起こるかわからない、、、
偶発的で、非効率的だけども、
大きな学習が起こりうる。
そんなものが「越境学習」なのです。
■そして「越境学習」がもたらす効果とは
、
「個人の成長」
(主体性、リーダーシップ発揮、
多様な人とのコミュニケーション、挑戦する姿勢、
キャリア発達)
にも役立つのはもちろんのこと、
「組織の成長」
(イノベーション)
にも繋がることがわかっています。
■例えばですが、
長年一社に勤め上げきた
社員で集まった集団がいたとすると、
「組織の価値観≒自分たちの価値観」
となっていることも
少なくはないかと思います。
皆が同質性を追求していくと
効率性は高まり、意思決定もしやすくなる。
それは、既に価値提供をできている
既存のビジネスを「深化」させることは
得意だとしても、
新しい領域を「探索」し
イノベーションを起こすということは、
苦手であることもしばしば。
■そこには、居心地の悪さや
異質性が求められるのです。
有名な話を引用させていただくと、
「探索」「イノベーション」とは、
明治維新期に岩倉使節団が
アメリカ、ヨーロッパへと派遣され、
その文明の違いに大きな衝撃を受けつつも、
(=越境学習の「往」)
同行した留学生が、帰国後に
政治・経済・科学・教育・文化などで活躍し
日本の文明開化に貢献したこと
(=越境学習の「還」)
ようなもの。
そこには、
1)旅人が冒険にいく
(組織内から外へ出る)
2)得たことを持ち帰り組織の中で科学反応を起こす
(外から組織内に戻り、イノベーションを起こす)
という「往還」のプロセスで行われます。
そして、「往」にも「還」にも、
”どちらにも痛みを伴う”のです。
■行った先(往)では、自分の価値観が
ガラガラと打ち崩され、そこから再構築をはかり、
戻った先(還)では、自分の見てきた違った価値観を
同質性が高い集団に伝えようとするのに
抵抗を受け、説得に時間がかかり、
骨を折ることになる可能性もある。
ただし、今のように
『両利きの経営』で言われる
「深化」と「探索」の
”探索(=イノベーション)が
求められている今”
だからこそ、このような
「越境学習の考え方が必要とされている」
とも著書では述べています。
■今回ご紹介の書籍「越境学習入門」では、
そんなインパクトをもたらしうる、
・越境学習とはそもそも何か?
・なぜ今、越境学習が求められるのか?
・越境学習で(個人や組織に)何が起きるのか?
などを、学習理論なども踏まえつつ
わかりやすく解説してくれています。
■本を読むことによって、
一学習者としての越境学習の必要性も
組織内における越境学習の必要性も、
感じることができる一冊かと存じます。
越境学習、その痛みを当たり前のものとして
自分を成長させ続けたい、
そんな風に私も思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<今週の一冊>
『越境学習入門 組織を強くする「冒険人材」の育て方』
石山 恒貴 (著), 伊達洋駆 (著)
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