今週の一冊『心と生き方』
(本日のお話 2333文字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は早朝から50キロのランニング。
共に走るウルトラマラソンを走る仲間と企画をしておりましたが、
追い込みのためコースを変え、距離を伸ばすことになり
急遽の実施となりました。
100キロマラソンまであと14日。
後悔なきよう、やりきりたいと思います。
*
さて、本日のお話です。
毎週日曜日は、お勧めの一冊をご紹介する、
「今週の一冊」のコーナー。
今週の一冊は
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『心と生き方』
稲盛 和夫(著)
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です。
■このタイトルの通り、
読んでいて改めて
「自分のあり方」
を考えさせられた本。
己の未熟さ・弱さを含めて、
光を当てられた気がしています。
■ちなみにこの本、
京セラ創業者の稲盛和夫氏が、
ボランティアとして行っている中小・中堅企業の経営者に
経営のあり方を教えている盛和塾での講演から
掲載をした内容であるとのこと(2017年当時)。
講演内容は90年代に入って
バブル経済が崩壊した頃とのことで、
中小企業の経営者も厳しい環境下にいた時の話が中心です。
そんなときだからこそ、
「人生・経営における
心のあり方の重要性」
を問うていおり、言葉の温度を感じる内容となっています。
■基本は経営者に対しての言葉ですが、
誰に対しても言える話です。
例えば、
・勇気を持つこと
・卑怯なことをしない、
・誰にも負けない努力をする
・利己の精神ではなく利他の精神を
など原則的な「あり方」を問うています。
■こういった話をされると、
自分の内側に何らかの”感情の動き”があります。
言い訳めいた考えや
向き合うことへの抵抗感
批判的な志向が浮かんだりします。
そして、そこをもう一歩
踏み込んで考えてみると、
そこには
「自分が本当は大事にすべきだと思っているのに
大事にできていないこと」
を突きつけられているような感覚を
覚えたりするのです。
■、、、と、内容は色々あるのですが、
1つ、稲盛氏が語られている、
有名なお話を紹介したいと思います。
それは、
『人生・仕事の結果=「考え方 ✕ 熱意 ✕ 能力」』
というもの。
読んで字のごとく、
能力と熱意と考え方の掛け算で
人生・仕事の結果になる、という話です。
*
曰く、稲盛氏が子供の頃、
親戚のおじさんが、焼酎を飲んで酔っ払うと、
鹿児島県の知事や議員など有名人の名前を挙げて
「アイツは俺よりデキが悪かった。
自分のほうが頭が良かったが、家が貧乏だったから
進学できなかったのだ」
と語るのを聞いていたそう。
(いますよね、こういうおじさん苦笑)
しかし、少年時代の稲盛さんは
こう思ったそうです。
「どうしてそんな偉いおじさんが、
大した仕事もせず、焼酎を飲んで
大きな話をしているのか?」
、、、と。
■結論として、
頭がいい(=能力が高い)を鼻にかけて、
努力を怠っているとくだらない人間になる(=熱意、考え方が低くなる)
のではなかろうか、
そんな価値観を根底に、
上記の方程式を考えつかれたそうです。
しかし、たしかに説得力があります。
■また補足ですが、
「能力」は 0~100
「熱意」も 0~100 なのですが、
「考え方」は ー100~+100になる
といいます。
つまり、
怒り・悲しみ・妬みなどあると、
ネガティブな結果を生む、
ゆえに「考え方」こそが大事なのだ、と語ります。
■上記も非常にシンプルな話ですが、
ゆえに刺さります。
ある程度生きてくると、
自分ができること、できないことの「能力」も
客観的にわかってきます。
大人になるという客観性の中に、
自分の今を知ってしまった寂しさと
棄てきれない知らなかったゆえの若かりし可能性を見て、
複雑な気持ちになることもあります。
ただ、じゃあ今持ち合わせている
「能力」はそれはそれとして
自分は、どのような志や目標を掲げているのか、
安全で見えやすい目標に縮こまってはしないか、
それらの「考え方」はどうなのか、
また、能力も人並み程度だったとして、
どれくらいの「熱意」を今からでも持って
努力を続けようと思えているのか
、、、そんなことを問われているような気もします。
■その他、以下のようなメッセージが
本書には紹介されています。
(以下引用で)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・前向きで明るい考え方が人生を好転させる
・災難をも感謝の念で受け止める
・善行、利他行が運命を好転させる
・「6つの精進」で素晴らしい人生を
・人生の目的は心を高めること
・周囲の事象はすべてわが心の反映である
・人はみな、利他の心を持っている
・利己を押さえれば、利他の心が現れる
・正しい判断を行うには勇気が必要
・「どうしてもこうありたい」と強烈に願う
・地味な努力を一歩一歩堅実に
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)
一つ一つのメッセージが
考えさせられるお話になっています。
■ちなみに、自分自身(紀藤)の場合、
「会社の拡大は利他行の拡大」
というお話が特に刺さりました。
今、私はカレッジという
会社を経営していますが、
ごく小さいながら、
人が役割を持ち、関わる場所になるのが
法人ということはよく理解できました。
同時に、経費を増やすというのは
「何かあったら、、、」と考えると怖いことで、
根がビビりどころか
シンプルに今もビビりの私にとっては
「会社の拡大」というのは実に躊躇します。
一個人としての
『目の前のご縁を頂いたクライアントに
全力で貢献する』
という気持ち以上の何かがなければ、
この先に”会社の拡大”という文脈は
登場し得ない、と思っています。
■自分自身は、
「専門家」として道を切り開きたいのか、
それとも作り出したい社会に対しての
より大きなメッセージとしての”何か”が
自らの中にあるのか、
そして、それを成すために
自覚している人並みの能力を補うべく、
圧倒的な熱量を持つことができるのか、
それを推進する覚悟はあるのか、
そもそもしたいと思っているのか、、、
そのような、
内側にある利己と利他とも
願望とも見栄とも言えぬ感情を
その文章から揺り動かされているような、
そんな気持ちになったのでした。
■稲盛氏の語られる、
言葉の裏にある、
数々の大変な経験から放たれる
シンプルなメッセージだからこそ、
考えさせられるように感じます。
、、、ということで、
人生や仕事について、改めて立ち止まり
考えてみたい方には、ぜひおすすめしたい一冊です。
シンプルなことほど難しいものですが、
少しでもより良い自分に近づけるように
3歩進んで2.5歩下がる精神で、
一歩ずつ歩んでいきたい、
そんなことを思わされた一冊でした。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<今週の一冊>
『心と生き方』
稲盛 和夫(著)
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