「キャリア自律」には何が必要なのか ー定量調査から見えたことー
(本日のお話 3382字/読了時間4分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は2件のアポイント。
その他夕方は12キロのランニングでした。
いきなり余談ですが、
「幸せがずっと続く12の行動習慣」で
10,目標達成に全力を尽くす
12,身体を大切にする瞑想と運動
という項目を見てから、
面倒くさくても、
もうちょっとだけ頑張ろう、と思えたり、
ランニングを日常に組み込むことへの
モチベーションが非常に高まっております。
怠けがちな自分を”幸せ”のためにも
引き続きアクションしたいと思います、、、!
※参考バックナンバー:
研究でわかった!「幸せが続く12の行動習慣」
https://1lejend.com/b/detail/HSfoIRnMfw/4258510/
*
さて、本日のお話です。
最近、仕事において
また大学院の研究テーマにおいて、
「キャリア自律」×「コーチング」
という組み合わせについて、
探索をしています。
上記の繋がりについて明確に記載した論文は
まだ見つけることができていないのですが、
「仕事の振り返りの機会がある」
「キャリアについて考える機会がある」
というのは
キャリア自律につながってるようです。
*
そんな中、
パーソル総合研究所が出しているレポートにて
”キャリア自律との組織要因”
(人事管理要因、現場マネジメント要因、業務経験や研修)
について定量調査があり、
その内容が興味深いものでした。
ということで、本日は
「キャリア×コーチング」のつながりを含め、
レポートを紐解く形で、
皆さまに学びを共有させていただければと思います。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは、
【「キャリア自律」には何が必要なのか ー定量調査から見えたことー】
それでは、どうぞ。
■今朝の日経新聞(2022.8.10)に
「キャリア形成 対話で促す
エール、40~50代特化型プラン ザ・コーチ、技術研修も一括で提供」
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO63300900Z00C22A8FFT000/
という記事が出ていました。
ミドル世代のキャリア形成は
組織にとっても課題、
ということで、社外人材に
キャリアカウンセリング等と依頼するサービスを始めた、
という内容です。
働かないおじさん問題、
なんてと切ない表現をされますが
頑張って身を捧げてきたのに、
・ポストオフ
・定年=終わりが見える、
・活躍の場が期待しづらくなる
等、構造的な課題を含めたテーマがあり
当人だけの責任にはできない話題です。
■その中で、一つキーワードとして
取り上げてみたいのが、
『キャリア自律』
というテーマです。
”自分自身を継続的にモチベートし,
自分の意志 をベースに主体的に行動でき,
チャンスを能動的にとらえ,事態を切り開くことができる人材(花田,2001)”
とも定義していますが、
「キャリア自律」が表すものは、
*キャリアに対する”心理面”での自律
・自分の能力を発揮できる仕事上の得意分野が見つかっている
・自分自身のキャリアについて関心を持っている
・納得いくキャリアが歩めるかどうかは、自分の責任だと思う
*キャリアに対する”行動面”での自律
・新しい環境や状況にも、比較的早くなじんで対応している
・仕事のために新しいことをいろいろ勉強している
・新しいネットワークづくりに常に取り組んでいる
・自分の価値観やポリシーを持って仕事に取り組んでいる
を合わせて判断する考え方もあります。
(堀内&岡田、2016)
■そして、研究によると
従業員の「キャリア自律」が高いと、
・仕事の充実感が高まり、
・組織へのコミットメント向上、
・パフォーマンス向上、ワークエンゲージメント向上など
様々なプラスの影響があることが知られており、
取り組むに値する価値がある
と言えるかと思います。
■では、
従業員のキャリア自律度を高めるために、
何ができるのでしょうか?
パーソル総合研究所のレポートより
項目別に簡単にまとめてみたいと思います。
(ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<「キャリア自律」を促す要因_まとめ>
◯キャリア自律を促す「人事ポリシー」
1,多様性を尊重すること
2,専門性の尊重すること
3,成果を尊重すること
◯キャリア自律を促す「人事管理の特徴」
1,組織目標と個人目標が関連している
2,ポジションの透明性がある
3,キャリア意思の表明機会がある(キャリア面談が定期的に行われている)
4,処遇の透明性
◯キャリア自律を促す「上司のマネジメント行動」
1,キャリアについての期待感を伝えている
2,組織目標やビジョンを話している
3,振り返りの機会を与えてくれる
◯キャリア自律を促す「教育研修施策」
1、キャリアカウンセリング、キャリアコンサルティング(6.4%経験)
2,自己啓発、自己学習への手当・支援金の受給(16.2%経験)
3,個別業務のスキルアップ研修(28.0%経験)
※『従業員のキャリア自律に関する定量調査』_パーソル総合研究所(2021)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)
とのこと。
(ちなみに上記レポートは誰でも見ることができますので
ご興味がある方はタイトルで調べてみてください)
■こうして並べてみると、
「キャリア自律」のためには
一つの施策だけではなく、
複数の施策の合わせ技で成り立つことに気付きます。
(当たり前ですが、やっぱりそうですよね)
■その中で出来るところから
まず進めていく、というのが現実的なところでしょうが、
その中の一つ、
行動できることとして
「上司のマネジメント行動」は
着手しやすい打ち手の一つかと思います。
しばしば上司のマネジメント行動の施策の一つとして
「1on1」などが用いられます。
1on1は、”場”を指す意味で、
その中でコーチングの技術を活用し、
業務的な話、キャリアの話などを行うことで
部下の成長を支援していきます。
その「1on1」の成功例について書かれた
『Yahooの1on1』(本間浩輔/著)
という著作があります。
これはYahooにて、どのように1on1を浸透させ
成果に繋げたのかの施策がまとめられている良書です。
■その中での1つの重要な要素として、
「1on1チェック」
というものが紹介されています。
これは上司・部下で3ヶ月に1度、
どれくらい機能しているのか確認する仕組みのことで
内容は以下の4項目になっています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<1on1チェック>
・「内省効果」:仕事を通じて得た経験を定期的に振り返る機会となっている
・「有効な気付き」:対話と通して新しい行動につながる気づきが得られている
・「キャリア自律」:適切なタイミングで今後のキャリアを描くための支援が得られている
・「目標達成・評価」:業務遂行上の目標達成に向けた支援が得られている
※本間浩輔(2017)『ヤフーの1on1 部下を成長さえるコミュニケーションの技法』ダイヤモンド社 P162
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
見ていただくと、
上記内容と、上記のレポートでご紹介した
”キャリア自律を促す「上司のマネジメント行動」”
と共通していることに気づきます。
■、、、と
・キャリア自律とはなにか
・キャリア自律を促す要因
・キャリア自律を促す上司のマネジメント行動
・具体例としての1on1チェック
をご紹介させていただきました。
こうして考えてみると
改めて「キャリア自律」のために
必要不可欠なことは
”キャリアについて
定期的に考える機会があること”
この1点に集約されるのだと思います。
■普段、業務をしていると
時間軸を未来に飛ばして考える機会は
少ないのかもしれません。
しかし、短期的な業績だけではなく、
中長期的なキャリアも考え、
キャリア自律を促すことは
パフォーマンス向上、エンゲージメント向上等
プラスの影響があることは前述のとおりです。
とすると、
それらを毎週考える必要はないにせよ、
・折に触れて今後キャリアをどうしていきたいのか、
・上司から見てどうしていってほしいのか
・そのためにどういった能力や知識を
身につけていく必要があるのか、
それを組織だって考えることは、
とても大切なことなのだと思います。
■その道中で、
「そもそも上司も自分のキャリアについて
考えていない(実は関心がない)」
というような別の要因も見えてくる可能性も、
大いにあります。
(上司のキャリア開発の関心も、
実はキャリア自律に影響を与える要因だったりします)
ただ、人はつい、
「自分だけは大丈夫」と
口に出さずとも正常性バイアスが働き、
なんとなく身を委ねてしまう傾向が、
どうしてもあるようです。
ゆえにこういった重要なテーマを、
共に考える機会があることで、
結果的に自分にも周りにも、組織にも
プラスの影響があるのだろう、、、
そんなことを改めて感じた次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。
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<本日の名言>
大切なのは、問うのをやめないことです。
好奇心は、それ自体で存在理由を持っているのです。
アルベルト・アインシュタイン
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