「LMX理論」とは何か(前編) ー関係性に注目するリーダーシップー
(本日のお話 2052字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は大学院の集中講義の
「リーダーシップの理論」の最終日でした。
*
さて、早速ですが本日のお話です。
今日もリーダーシップ理論の中から一つ、
有名な理論をご紹介させていただきたいと思います。
それが『LMX理論』なるものです。
正式には、
リーダー・メンバー交換理論
(Leader Member Exchange theory)
といいます。
これまた、言われたらそうだよなあ、、、と思う話。
ただ、言葉にすると、改めてその大切さに意識を向けることが
出来るお話でもあると思います。
ということで、今日明日で、
この理論について皆さまと学びを
深めていければと思います。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは、
【「LMX理論」とは何か(前編) ー関係性に注目するリーダーシップー】
それでは、どうぞ。
■「LMX」と聞くと
T-REX(恐竜)
TX(つくばエクスプレス)
なんだか強くて速そうだな、、、
くらいな感想しか
当初持たなかった私ではありますが、
実際にこの理論を学んで、
「実に大事な考え方だな」と
たいへん勉強になっております。
■ちなみに、この
”リーダー・メンバー交換理論”(略してLMX)、
一言で言えば、
”リーダーとフォロワーの関係性に注目した
リーダーシップ理論”
でございます。
*
これ、当時実に新しい考えで
それはで多くのリーダーシップのアプローチは
・リーダーシップの資質やスキル、行動に焦点を当てたり
・リーダーの置かれた状況に焦点を与えたり
(SL理論、パスゴール理論等)
してきました。
ただ、このLMXでは、
「リーダーとフォロワーの相互関係(=交換関係)で
その影響も、得られる成果も違うんでないかい?」
という視点を当てたところに、
この理論の独自性、価値があると言われています。
■確かに、言われてみればそうです。
リーダーとフォロワーが
「高い交換関係」を築けていれば、
リーダーはフォロワーに報酬だけでなく、
信頼や注目、尊敬などを”交換”し、
フォロワーはリーダーに業務遂行だけでなく
同じく信頼、忠誠、コミットなどを”交換”する。
そして、より望ましい成果が生まれるイメージがありそう。
*
一方、
リーダーとフォロワーが
「低い交換関係」だったらどうか。
リーダーはフォロワーに
仕事として報酬は”交換”するけれど
信頼や尊敬などは交換しない。
フォロワーはリーダーに
仕事として業務遂行は”交換”するけれど
忠誠や尊敬などは交換しない、
すると、仕事上最低限のやり取りはするけど
さらなる成果は期待できない、
というイメージに近いのではないでしょうか。
(実際の職場を見ても、
なんとなくわかる気がします)
■このLMX理論ですが、
初期のLMXの研究では
”イン・グループ(内集団)と
アウト・グループ(外集団)で
それぞれ交換されるものが違う”
ということが明らかにされました。
ちなみに、「イン・グループ」、
「アウト・グループ」が何かというと、
・「イン・グループ」=
リーダーとフォロワーが
相互の信頼感、敬意、きずなで結びついた関係を構築している
ことに対して、
・「アウト・グループ」=
リーダーとフォロワーの間には
仕事上必要な最低限の交換関係が成立している
という違いです。
■そして、”交換されるものの違い”として
イン・グループでは
より多くの情報、信頼、関心が交換され
対して、
アウト・グループでは
仕事上必要最低限の情報が交換される、
と指摘しました。
■そして、後期の研究では
LMXによる影響は
・フォロワーに対する
業績評価・昇進頻度・仕事のアサイン
リーダーからのサポートに違い
・組織に対する
離職率、組織コミットメント、職務満足
組織市民行動に違い
があることがわかりました。
■つまり、
”リーダーもフォロワーも人であり
関係がよいリーダーとフォロワーの間には、
より多くのものが交換される”
という現象は、至極自然なことであり
それを、LMX理論という言葉で理論化した、
といえます。
*
しかしながら、つまりイングループとアウトグループで
「(交換されるものに)差がある」わけであり、
見方によっては、
「イン・グループの人、
えこひいきされてるよね、、、」
という言葉にならぬ思いが
アウトグループの中に生まれる可能性もありそうです。
■誰かと関係を濃くするということは、
逆に誰かとの関係が相対的に薄くする、
と言い換えることもできます。
イン・グループに入っているフォロワーは、
特別感を感じられて、ポジティブな感情を持つかもしれませんが、
一方、自分はアウト・グループだ、と
感じたフォロワーは疎外された感覚を持つかもしれません。
■もちろん、
全員と全く平等に接する、
ということは現実難しいでしょうし、
グループとしてまとまった時の
横の関係性、斜めの関係性などの影響を
このLMX理論は説明することはできません。
ただし、
この「LMX理論」という存在を、
リーダー自身が知ることは、
関係性が織りなす影響を
マネジメントに加味する上でも、
そしてあらぬ誤解を生まぬためにも、
またイン・グループ、アウト・グループという概念や
LMX理論による交換されているものの多寡を認知することで
自身のより効果的なマネジメント行動に
つなげる一助になる、
とも思えます。
■、、、ということで、
LMX理論の説明でした。
明日は、このLMXを築く際のプロセスで
「感情的なやりとり」
が重要な役割を果たすと言われています。
ということで、明日も引き続き
その内容を紹介してまいりたいと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
君子の交わりは淡きこと水のごとし。
小人の交わりは甘きこと醴(あまざけ)のごとし。
莊子
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