メールマガジン バックナンバー

3107号 2022年8月24日

「知覚された組織的支援サーベイ」のご紹介 ー「会社が自分たちを気にかけてくれているか?」を測る36の質問ー

(本日のお話 2846字/読了時間4分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は3件のアポイント。
その他、資料の作成などでした。



さて、本日のお話です。

『知覚された組織的支援』
(Perceived Organizational Support:以下POS)

という概念があります。

平たく言えば、

「会社が自分たちの事を考えてくれている感覚」
のようなものがPOS。

そして、
それが高まると様々なポジティブな影響がある、
という研究です。

今日はこのPOSを測定する尺度について、
皆様にご紹介させていただければと思います。

ご自身の組状況と照らし合わせてみると、
面白い発見があるかもしれません。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは

【「知覚された組織的支援サーベイ」のご紹介
ー「会社が自分たちを気にかけてくれているか?」を測る36の質問ー】

それでは、どうぞ。

■働く上で、私たちは

”組織に対して、
”人間的な特徴を見出す”

傾向があるようです。

「会社は私達のことを考えてくれている(or考えてくれていない)」

という表現をすることが
しばしばありますが、

まさに会社に人間的な特徴を
見出している言葉かと思います。

■そして、
「知覚された組織的支援(POS)」とは

”職場の組織が自分の貢献を評価し、
自分の幸福を気にかけてくれているかという一般的な信念”

のことを表します。

このPOSについては
過去様々な研究がされてきましたが

70以上の研究をレビューし、
メタ分析を行った結果、

3つの主要カテゴリーが
POSに影響を与えていることがわかりました。

ちなみにこの3つです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<「知覚された組織的支援(POS)」に影響を与えているカテゴリー>

1)公平性
2)上司の支援
3)組織的報酬と有利な職務条件
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そしてこのPOSは
従業員にとって、そして組織にとって好ましい結果に
関連していることがわかりました。

どんな好ましい結果かというと、このようなものです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<「知覚された組織的支援(POS)」による好ましい結果>

◯対従業員
・仕事の満足度
・ポジティブな気分 など

◯対組織
・情緒的コミットメント
・業績
・引きこもり行動の減少 など
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

※参考:Rhoades, Linda, and Robert Eisenberger. 2002.
“Perceived Organizational Support: A Review of the Literature.”

■なるほど、、、。

確かに、
”組織が自分たちのことを考えてくれている感”
は日々のやりがいにも繋がるし、

組織のことを好きになりそうだし
ポジティブな気分を生みそうな予感がするのは、
感覚的にわかる気がします。

そして、それらに影響を与える要因を
3つのカテゴリーとして分類しているのもわかりやすいです。

■では、上記のPOSを
どのように測ることできるのでしょうか?

1986年の論文でその質問票が紹介されていました。

以下、ご紹介いたします。

ちょっと長いのですが、
お時間がある方は考えてみてくださいね。

(ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【知覚された組織的支援の質問表】
(Survey of Perceived Organizational Support)

<回答の仕方>
以下、個人が抱く可能性のある感情 について、いくつかの文章を紹介します。
あなたが現在働いている特定の組織 ([組織名])について、
あなた自身が感じていることを、それぞれの文の下の7つの選択肢のいずれかにチェックして、
それぞれの文に対する賛成・反対の度合いを示してください。

1 = 強く反対 ~  7 = 強く賛成 で回答

※(R)は逆転項目

1. 組織は、その福利厚生に対する私の貢献を高く評価している。
2. もし、組織が私の代わりに安い給料で誰かを雇うことができるなら、そうするだろう。(R)
3. 組織が私の努力を評価してくれない。 (R)
4. 私の目標や価値観を強く意識してくれる組織である。
5. 私の病気による長期欠勤は、組織として理解されるだろ
6. 私からの苦情は無視するような組織である。 (R)
7. 組織は、私に影響を与える決定をする際に、私の最善の利益を無視する。 (R)
8. 困ったことがあったとき、組織から助けを得られる。
9. 組織が私の幸福を本当に考えてくれている。
10. この組織は、私が自分の能力を最大限に発揮できるよう、積極的に働きかけてくれる。
11. 個人的な問題で欠席すると、組織から理解されない。(R)
12. もし、組織が私の仕事をより効率的に行う方法を見つけたら、彼らは私を置き換えるだろう。(R)
13. 組織としては、私の正直なミスを許してくれるはずだ。
14. 私のパフォーマンスが少し下がるだけで、組織は私の後任を希望するようになるだろう。(R)
15. 組織としては、私をこのまま雇用しても得るものは少ないと考えている。(R)
16. この組織では、私が出世するチャンスはほとんどない。 (R)
17. たとえ最高の仕事をしたとしても、組織はそれに気づくことができない。(R)
18. 私の労働条件の変更について合理的な要求があれば、組織はそれを認めるだろう。
19. もし解雇された場合、組織は私を連れ戻すよりも新しい人を雇うことを望むだろう。 (R)
20. 特別なお願いをしたいときに、快く引き受けてくれる組織だろう。
21. この組織は、私の仕事に対する全般的な満足度を気にかけてくれている。
22. 機会があれば、組織は私を利用するだろう。(R)
23. 組織として私への配慮がほとんど見られない。 (R)
24. 辞めようと思ったら、組織が説得してくれる。
25. 私の意見を大切にしてくれる組織である。
26. 組織としては、私を採用したことは決定的な間違いだったと思っている。(R)
27. 私が仕事で達成したことを組織が誇りに思ってくれている。
28. 私のことよりも、利益を上げることを大切にしている組織である。(R)
29. もし、時間内に仕事を終えることができなくても、組織として理解することができる。
30. もっと利益が出れば、私の給料を上げることも考えている。
31. 組織としては、私の仕事は誰でも同じようにこなせると思っている。(R)
32. 組織は私に相応の報酬を支払うことに無頓着である。(R)
33. 組織は、私が適任である最高の仕事を与えてくれることを望んでいる
34. もし私の仕事がなくなったら、組織は私を転勤させるよりも解雇することを望むだろう。(R)
35. 組織は、私の仕事をできるだけ面白くしようとする。
36. 上司は、私がこの組織の一員であることを誇りに思っている。

※引用:Eisenberger R Huntington R Hutchison S Sowa D(1986)
"Perceived organizational support"

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)

■さて、いかがでしょうか。

やっぱりちょっと(というかかなり)
長い、、、ですね(汗)。

ですが、それぞれの項目は

・組織が「従業員の幸福」を考えてくれているかというと認識(7.9.22.23.28)
・組織が「従業員の業績」をどう考えているか(1.27.31)

など多用な視点から
投げかけて作成されているとのこと。

そういった意味で、
POSの研究の土台となっている質問表と言えそうです。

■ただし、この質問表は、

組織で調査をする場合、
項目が多すぎる(やっぱり長い)ため、

現実的には17の短縮バージョン
更にはもっと短いバージョンが使用されているようです。

、、、とはいえ、上記の観点が
組織、従業員に対するポジティブな影響を説明する要因に
つながっているとのことであり、
知っておくことは決してマイナスにはならない、

と思った次第でございます。

また短いバージョンが見つかったら
ご紹介させていただきます。
(2時間かけて探しましたが、見つからず(汗))
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

==========================
<本日の名言>

成功を自分ひとりの努力によるものだと主張することは、
浅はかで傲慢なことだ。どんな優れた業績も、
多くの人の手と心と頭に助けてもらって、はじめて可能になるのだから。

ウォルト・ディズニー
==========================

365日日刊。学びと挑戦をするみなさまに、背中を押すメルマガお届け中。

  • 人材育成に関する情報
  • 参考になる本のご紹介
  • 人事交流会などのイベント案内

メルマガを登録する

キーワードから探す
カテゴリーから探す
配信月から探す