「フィードバック募集」で自分を知る ーこの対話は役に立てているのかー
(本日のお話 2482字/読了時間3分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は外部パートナーとして
関わらせていただいている人事の皆様との
相談会やコーチングなど。
その他、夕方から1件のアポイント。
また夜からはコーチングの練習会でした。
コーチング祭りでした。
*
さて、本日のお話です。
仕事柄、「コーチング」という言葉に
教える、教わる両面において
ますます触れる事が多くなっています。
学べば学ぶほど、
向き合えば向き合うほど、
この深く広い世界に
自らを省みて、未熟さを覚える日々でもあります。。。
今日はそんな中で、
自らの対話の技術を高めるために、
「大事だな」と思ったことについて
振り返り感じた学びをご共有させて頂きたいと思います。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは、
【 「フィードバック募集」で自分を知る ーこの対話は役に立てているのかー】
それでは、どうぞ。
■「誰かと対話をする」
この当たり前の行為を通じて
「誰かの役に立つ」
ということは
シンプルなようで
なかなかに難しいことだな、
と改めて感じています。
■きっとメルマガの読者の皆様の中にも、
上司やコーチとして
対話を通じた他者支援をされている方が
いらっしゃると思っています。
対話の基本的な行為として、
例えばコーチングでは、
・観察する
・聞く
・質問する
・フィードバックする
等の行為が挙げられます。
ただこれは自由度が高いので
ある程度「型」はありこそすれ、
それでもなお、無数の選択があります。
対話で起こっている
どんな言動などにアンテナを立てるのか、
自分自身の直感や視点を使いながら、
そこを深掘りしていきます。
■なんとなく雰囲気が変わったときは、
その変化について多くの人が観察しても
実は共通して「おや?」と思ったりします。
ただ、それでも
「じゃあ、本当に言動の背景にある課題等の想定が
その通りなのか?」
というと、コーチ側の解釈が
どうしても入ってしまうため、
何が正解か、というのは
結局わからないのであろう、
とも思うわけです。
■加えて言えば、
コーチが立脚する
コーチングの手法の考え方や哲学によっても
何が正解かは変わってくるのでしょう。
例えば、
「感情」を大切にするコーチングの流派では
非言語的なものと取り扱うことが
「Excellent」であるかもしれないけれど、
「目標達成」を大切にするコーチングの流派では
その点を深掘りすることよりも優先することがあり、
「Not Bad」みたいになるかもしれません。
より具体的にいえば、
「マネジリアルコーチング」
(管理者のためのコーチング)
という観点では
上司・部下間を想定しているため
推奨されるコーチング行動として、
”具体的な指導”
が挙げられたりします。
(具体的な指導 =
・現状のパフォーマンスについて分析する手伝いをしている
・改善が必要な点について建設的なフィードバックを提供している
・パフォーマンスを向上させる方法について有益な提案をしている など
Heslin(2006))
■一方、国際コーチング連盟(ICF)の
コーチングのコンピテンシーだと、
”具体的な指導”
はありません。
その代わりに上記で挙げた
マネジリアルコーチングの視点に
ないものを挙げてみると、
・相手のノンバーバル(非言語)について
質問したり話題にして掘り下げる
・相手が十分に話したいことを
表現できるように働きかけている
等、
”感情や表現に関わる部分”
が強調されたりしています。
■そうすると、
選択するカードが増えますから、
扱う側としてはより難易度が高まります。
もちろん、それぞれの知識・スキルを理解し、
トレーニングを重ねることで
文脈に応じてうまく使い分けていくことも
可能になるのだろう、と思います。
まさにそれがコーチや
対話によって人に役立つ人の
「熟達への道」なのだろう、とも思います。
■ただ、繰り返しになりますが、
「それでもなお、人の心はわからない」
と私は思うのです。
結局、生きて、
見てきた自分の経験、
価値観、哲学を背負って相手に対峙する以上、
自分の囚われから完全に
自由になることはできない。
*
では、結局何で
「この対話の価値」を判断するのか?
考えてみると、それは
行き着くところ、
『相手視点で、役に立ったかどうか』
というシンプルな1点に
集約されるのであろう、
と思うのです。
■役に立つという意味でも、
視点がわかれます。
・短期的に「よかった」といってもらえること
・短期的には良くなかったが
「振り返ると良かった」と思えること
前者では
・クライアントの提示した
短期的なテーマにフォーカスをする
後者では、
・クライアントの長期的な視点にたって
根源的な課題にあえて突っ込む
等もあると思います。
■ただ、どちらを選ぶのかという判断も
良かれと思って関わったのが
独りよがりで終わってしまっていたのか、
それともきちんと役に立てていたかどうか、
という観点においては、
最終的には
『(この対話の価値についても)答えは相手の中にある』
としか言えないのだろう、と
やっぱり思うわけです。
■そしてこの行為を、
マネジリアルコーチングにおける
”効果的なコーチング行動”として
【フィードバック募集】
(自分とのやり取りがメンバーの役に立つように、
メンバーからのフィードバックを募っている)
という言葉で説明されています。
■コーチングには答えがありません。
そして
良かれと思ってけれど
実は独りよがりになっていたり
役に立てていると思いこんで
でも実はそうでもなかったり、
、、、そんなことが
自分の知らないところで起こっているのだろう、
と自らを振り返りつつ思います。
そういった意味で
【「フィードバック募集」 ー「この対話は役に立てているかどうか」を探りにゆくー】
で自分のことを正しく知る、
という心構えを常に持っておきたい、
と思ったのでした。
■そして同時に、
相手も言いづらい
本音のフィードバックの募集を実現するために、
・「自分が役に立ちたい」と思っている意図を
相手に伝わるように伝えること
・本音を言ってもらえるように、
自らの本音を積極的に「自己開示」すること
等、あれやこれや
行うことが必要なのでしょう。
自分のことは、自分で見えない。
だからこそ、正しく知るための勇気を持ち、
行動をしてきたい、
と思った次第です。
自戒を込めて。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。
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<本日の名言>
些細なことだといって、ひとつ妥協したら、
将棋倒しにすべてが壊れてしまう。
黒澤明
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