エグゼクティブ・コーチングとはなにか(後編) ー主要な4つフェーズと5つの手法/レビュー論文よりー
(本日のお話 3352字/読了時間4分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日はチームビルディング研修の実施。
また夜からはランニングからのキックボクシングジム。
体を動かすと気持ち良いですね。
*
さて、本日のお話です。
先日は論文、
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Feldman, Daniel C., and Melenie J. Lankau. 2005.
“Executive Coaching: A Review and Agenda for Future Research.” Journal of Management 31 (6): 829–48.
(エグゼクティブ・コーチング :レビューと今後の研究の課題)
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より、前半として
「エグゼクティブ・コーチングの定義と特徴」を
ご紹介させていただきました。
※昨日のお話はこちら↓
https://1lejend.com/b/detail/HSfoIRnMfw/4295368/
本日も後半として続けてまいります。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは
【エグゼクティブ・コーチングとはなにか(後編) ー主要な4つフェーズと5つの手法/レビュー論文よりー】
それでは、どうぞ。
■エグゼクティブ・コーチングは
エグゼクティブクライアントの
独自のニーズに合わせて、
コーチがそのプロセスを設計します。
*
その内容に多少の違いはありますが、
様々なコーチングの研究を調べたところ
エグゼクティブ・コーチングで発生する
「主要な4つのフェーズ」
があることがわかりました。
それが
Phase1,データ収集
Phase2,フィードバック
Phase3,介入(コーチングの実施)
Phase4,評価
です。
■早速ですが、
具体的にどんな内容かを
以下まとめて参ります。
(ここから)
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【エグゼクティブ・コーチングの主要4ステップ】
<Phase1)データ収集>
◯目的:
・コーチング関係の基礎を設定、エグゼクティブの開発目標を定義する。
◯行うこと
STEP1)エグゼクティブとの関係を確立する
・コーチング関係に対するお互いの期待を共有する
・関係のパラメータ(例:機密保持、コーチングセッションでの行動の規範等)を話す
STEP2)エグゼクティブと組織に関するデータを収集する
・アンケートやインタビューなどの定量・定性データを用いる
・情報収集の内容は仕事の問題(政治、対人関係)、仕事以外の問題(家族、個人目標等)を含む
*アセスメント:エグゼクティブの性格、リーダーシップスタイル、価値観、態度に関するアセスメントを実施
*360°フィードバック:クライアント本人、人事記録、トップマネジメントチーム、従業員等から得る
***
<Phase2)フィードバック>
◯目的:
・エグゼクティブがフィードバックを咀嚼するのを助け、
長所と改善点を話し合うのを促進する
◯行うこと:
・データ収集の結果をクライアントのエグゼクティブに提示する
・フィードバックセッションとして、2~3時間から2~3日にわたって実施する。
・参加者は、クライアントのみの場合、組織の主要な利害関係者を含む場合がある
・この段階の終わりに、コーチング介入の具体的な行動目標を一緒に確認する
***
<Phase3)介入(定期的なコーチング)】
◯目的:
クライアントの課題について、コーチとともに探求、行動変容を促す
(論文に記述がなし。著者より補足)
◯行うこと:
・構造化されたセッションでクライアントと協力して育成活動を監視・強化し、育成計画を修正し、変化を阻む障害を克服する方法について議論する。
・セッションの一部には、エグゼクティブの上司や人事部長も参加して、進捗状況を確認し、能力開発活動への支援を得ることもある
・コーチは、異なる経歴を持ち、コーチングプロセスに対するアプローチも異なる。
セッションへのアプローチは、非標準的で特異なものになるが、以下5つの主要なアプローチを紹介する
{エグゼティブへの介入の5つの主要なアプローチ(手法)}(a.Peltier 2001)
1,心理力学アプローチ(Psychodynamic approach)
→精神分析を用いて、エグゼクティブが無意識の思考を探求し、自分が仕事でどのように考え感じ、反応するかについて理解を深めることを支援する。
2,行動主義アプローチ(Behaviorist approach)
→内的な心理状態よりも、観察可能な行動に 焦点が当てる。
コーチは、クライアントが行動原理(例:正の強化、負の強化、罰、内発的強化、外発的強化)を理解し、
職場でより効果的にモチベーションを上げ、 他者とコミュニケーションできるよう支援する。
3,人間中心アプローチ(Person-centered approach)
→コーチはエグゼクティブと共感的な関係を築き、他者から見た自分、自分から見た自分を理解できるようにする。
コーチは、エグゼクティブと共感的な関係を築き、エグゼクティブが他者から見た自分、そして自分から見た自分を見ることができるようにすることで、これを達成する。
このアプローチは、他のコーチングの視点とは異なり、コーチがクライアントを診断したり、レッテルを貼ったり、具体的なアドバイスを与えたりすることはない。
4,認知療法プローチ(Cognitive therapy approach)
→人は自分の思考に気づき、それを変えることを学ぶことができるという認知心理学の前提に基づいている)。
コーチは、感情的な反応をどう 変えるかに焦点を当てるのではなく、ネガティブな思考をブロックしたり、
より建設的な方法で思考を転換させたりするテクニックをエグゼクティブが身につけられるよう支援する。
5、システム主義アプローチ(Systems-oriented approach)
→コーチは、エグゼクティブがより効果的に組織システムに対処する方法を開発できるように、組織システム全体について知ろうとする。
変化の焦点は、特定の個人だけでなく、ワークグル ープやトップマネジメントチームの他のメンバーも含まれるため、
これはコーチングの中でも最も複雑で包括的なアプローチといえる。
***
<Phase4)評価>
◯目的:
・コーチング関係の影響を評価する
◯行うこと
・クライアントの学習経験やコーチングが組織での効果にどのような影響を与えたかをクライアントから募集する
・組織で行う場合、人事部から、コーチの効果についての独自調査をすることがある。
(エグゼクティブの業績が向上したかなど)
※参考:Feldman, Daniel C., and Melenie J. Lankau. 2005.
“Executive Coaching: A Review and Agenda for Future Research.” Journal of Management 31 (6): 829–48.
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■さて、いかがでしょうか。
こうしてみてみると、
通常のパーソナルコーチングとのちがいは、
「Phase2,データ収集」
「Phase3,フィードバック」
に特徴があることが見て取れます。
■通常のパーソナルコーチングだと、
最初にコーチングの契約を結び、
ある程度のクライアントにまつわるデータ収集を行った後、
そのままコーチングセッション(介入)に入ることも、
少なくありません。
ただし、エグゼクティブ・コーチングの場合、
クライアントが上級管理職という、
様々な期待や関係がある立場で
読み解く必要があります。
・経営からみた期待と課題
・従業員からみた期待と課題
・組織独自の政治的な特徴
等を考えみると、
組織の短期的な成果を出すために
(エグゼクティブ・コーチングの場合は特にそこが求められる)
データとフィードバックによって
「自己認識」の精度を高めることから、
コーチングが始まる、と言えそうです。
■その上で、
実際にどのようなアプローチをとるか、
についても、5つの主要なアプローチとして
・心理的
・行動主義的
・認知療法的
・人間中心的
・システム思考的
なアプローチがあると紹介されました。
これはクライアントの課題と、
コーチが特異とするアプローチを見て、
最も成果を出す方法を選ぶことになります。
■またこれらのアプローチによる
「エグゼクティブ・コーチングの成果」としては
・エグゼクティブの84%がコーチングとの関わりについて肯定的な感情を抱いている
・32%が10-100%の範囲で業績の向上を報告
・全員がコーチングから得た最も価値のある成果を、自分自身についてより深く知ることが出来た、あるいは新しいスキルを身につけることができたと回答
・コーチングが私生活にポジティブな影響を与えた(人との交流、時間の使い方について優先順位がついた)
・24%が変化に対してオープンになり、より大きな自信を持つようになる
となったそうです。
(25人のエグゼクティブを調査なので母集団は少ないですが、
他の研究でも肯定的な結果が出ています)
■、、、ということで、
「エグゼクティブ・コーチング」について
前半・後半にわけて、ざっくりとお伝えさせていただきました。
結局はクライアントが何を望むのかに寄り添い
クライアントが望む成果に近づくことが
本質になります。
ただし、そのために、
過去の先行研究のまとめは役に立つ、
と感じた次第でございます。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
旅は真正な知識の偉大な泉である。
ベンジャミン・ディズレーリ
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