「目標設定理論」の全体像をつかむ ー論文「動機づけと目標設定理論」よりー
(本日のお話 2406字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は2件のアポイント。
3件のコーチングの実施でした。
*
さて、本日のお話です。
コーチングに関わる理論の一つに
「目標設定理論」なるものがあります。
皆様もおなじみの「目標」も、
これまで様々な研究がなされています。
本日はそんな目標について、
論文からその目的や効果をまとめたいと思います。
それでは、早速まいりましょう!
タイトルは
【「目標設定理論」の全体像をつかむ ー論文「動機づけと目標設定理論」よりー】
それでは、どうぞ。
■組織やマネジメントにおいて
「目標設定」
とは、当たり前に行われる行動として
市民権を得ています。
では、この「目標」なるもの、
いつから、そしてなぜ行うようになったのでしょうか?
もちろん、目標設定を行うことが、
業績やポジティブな効果をもたらすからに
相違ありません。
しかしながら、実際に
「目標がどんな効果をもたらすのか?」
について、
足を止めて考えることは
実際のところ少ないのかもしれません。
■そんな中、論文、
「動機づけの目標設定理論」
フレッド・C・ルネンブルグ サム・ヒューストン州立大学
原題:Lunenburg.(2011).”Goal-Setting Theory of Motivation.”
International Journal of Management & Information Systems
において、
目標設定理論で有名ないくつかの論文を
要約してまとめておりました。
読んでみたところ、
たしかに目標って
そういう効果あるよなあ、
目標設定の価値について改めて整理をする
機会になりましたので、以下、内容をまとめつつ、
学びをご共有させていただければと思います。
(ここから)
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【論文まとめ「動機づけの目標設定理論」(Lunenburg. 2011)>
■目標設定の「現状」
・目標は組織やマネジメントの実践において、
従業員の行動やパフォーマンスに広範な影響を及ぼす(Locke&Latham,2002)
・そして近代的な組織ではMBOなど始め、
何らかの形で目標設定が実施されている。
■目標設定の「基礎となる理論」
・VIE理論(Vroom,1994)
・モチベーション理論(Maslow,1970)
・社会認知理論(Bandura,1986)
・オペラント行動主義(Skiner,1979)など
仕事のモチベーションに関するすべての主要理論に
関わっているのが目標設定である。
■目標設定理論の「一般モデル」
・目標設定の研究のリーダーであるLocke&Latham(1990)は
目標に関する400近くの研究を「目標設定理論」としてモデル化した。
<目標設定理論のモデル>
左から右側に流れていく形で因果がある
{価値観→ モチベーション/欲望→ 意図→
方向性の意識付け/努力の実行/戦略の持続→ 行動/パフォーマンスの向上→ 結果}
■目標設定の「実践のポイント」
目標設定は、適切な条件下では、
組織メンバーのモチベーションを高めるための強力な手法となる。
以下は、目標設定を利用しようとする際に、マネジャーが考慮すべき実践的な提案である。
1)目標は具体的であること
:具体的な目標(数値化されたもの)、組織のメンバーに何を目指すべきかを知らせ、
自らの進捗を測定することを可能にする。
2)目標は難しくても達成可能なものであること
:目標は具体的であると同時に、困難でなければパフォーマンスを向上させることはできない。
ただし、目標が難しくなりすぎると、組織メンバーは目標を無理なもの、達成不可能なものとして拒否し、パフォーマンスが低下する。
目標の達成可能性に大きく影響するのは、自己効力感である(Bandura,1997)
3)目標には納得感が必要である
:そのために目標設定プロセスにメンバーが参加すること。
そのことにより目標へのコミットメントが高まる傾向がある。
4)目標達成へのフィードバックが重要
:フィードバックには2つの効果がある
1つ目は、自分がどの程度の成果を挙げているのかを判断するのに役立つ
2つ目は、自分がパフォーマンスを向上させるために必要な調整を促す
5)目標は、パフォーマンスを評価するために使用すると効果的
:目標をどれだけ達成できたかで自分の業績が蛹化されることがわかれば
目標の影響力は高まる(例:営業の毎週、毎月の売上目標など)
6)締切は目標の効果を高める
:目標は達成期限を設けることでより効果的になる。
締切は時間をコントロールするメカニズムとして機能し、
目標のモチベーションを高める効果がある。
7)学習目標志向は、成果目標志向よりも高い業績をもたらす
:学習目標志向とは「困難な状況を克服することで、能力をのばしたい」と考えている。
この学習目標志向のほうが、仕事に関連した行動やパフォーマンスにプラスの影響を与えることが
多くの研究から示されている。
8)集団の目標設定は個人の目標設定と同じくらい重要である
:個人だけが目標をもつのではなく、
チームで目標を持ちながら仕事をすることで生産性は向上する。
両者を両立させたほうが、より効果的である。
※Lunenburg.(2011).”Goal-Setting Theory of Motivation.”
International Journal of Management & Information Systems
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(ここまで)
とのこと。
■さて、いかがでしょうか。
こうして目標設定理論の内容と、
その実践への示唆を見てみると、
たしかにそうだよねー、と思う内容も多く、
実際に意識して実施されている方も、
少なくないのでは、と思います。
■ただこれを見て、こんな言葉を思い出します。
”よい理論ほど実践的なものはない”
(nothing is so practical as a good theory)
クルト・レヴィンが残した名言ですが、
まさに「目標設定理論」も、”実践的な理論”として、
生き残ってきた代表的なものではないか、と感じました。
■また、こうして理論として
その要因を並べて整理して見ることで、
自分が意識できていないところを
補完することもできるようになる、と感じます。
例えばですが、
私もしばしば「成果」によりがちになりますが、
”「学習目標志向(能力向上に注目する)」のほうが
パフォーマンスがいいんだな”
と改めて気づきましたし、
目標を高く掲げると、
ちょっとプレッシャーを感じて、
ヒリヒリするのが時にしんどいこともある一方、
”「締め切りがある&ハードな目標」だからこそ、
パフォーマンスが高まるのだ”
と再度、認識をいたしました。
(そうあきらめられる、とも言える)
■そんな意味で、
「目標、えー、なんかプレッシャー、、」と
思ってしまいがちな方もいるかもですが(私)
こうした目標設定の効果・効能を
研究としても理解していると、感情の色なしに
客観的に、そして結果的に前向きに取り入れることができるのかも、
そんなことを思った次第です。
ということで、本日は目標設定のお話でした。
ご参考になれば幸いです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
できると思えばできる、できないと思えばできない。
これは、ゆるぎない絶対的な法則である。
パブロ・ピカソ
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