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3151号 2022年10月7日

"白か黒か"でなく、"白も黒も"と考える ー「二項動態」というコンセプト

(本日のお話 1723字/読了時間2分)

■おはようございます。紀藤です。

今月11月号のハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)に、
100周年ということで、ハーバードビジネススクール教授の
竹内弘高氏のインタビューが載っていました。

その中のコメントで、

「二項対立ではなく”二項動態”が大切」

というお話をされていました。

そのお話が大変納得でき、
大切なことだと感じましたので、

本日はそのお話について
ご紹介させていただければと思います。

それではまいりましょう!

タイトルは

【"白か黒か"でなく、"白も黒も"と考える  ー「二項動態」というコンセプト 】

それでは、どうぞ。

■「その考え方は、私には合いませんね」

たまに、こういった方に
出会うことがあります。

考え方、信念が明確であるがゆえに

・自分は科学的なもの、
論理的なことしか信じない

という揺るぎないスタンスがあったり、

・質素、倹約に努めて
欲は持つべきではない

と強く考えていたり、など。

■ただ、明確に

「白か黒か」

というスタンスで考えると、

時に視野が狭くなり、
行動の選択肢が狭まったり、
新しいものの見方ができなくなったりする、

とも感じます。

そんな「白か黒か」のように、

・成果重視か、プロセス重視か
・物質主義か、精神主義か
・アナログか、デジタルか

というように対になる概念が
「二項対立」と呼びますが、

これに対して「白も黒も」と
両者を内包する考え方が

『二項動態』
(dynamic duality)

と呼ぶそうです。

■このことについて、
冒頭の竹内氏はこのように
インタビューで述べられていました。

以下、一部引用させていただきます。

(ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

西洋の考え方というのは、
二元論的に物事を捉えます。

例えば、心と体、自己と他者、
人と自然、アナログとデジタルなどです。

これにより西洋科学が発展した面もありますが、
本来は対立した関係ではないと考えています。

二項対立ではなく、
こうした対立した概念を内包する
「二項動態」の状態を目指さなければなりません。
「どちらか」ではなく「どちらも」選択するのです。

(中略)

たとえばトヨタ自動車には、

「ヒエラルキーはあるが、社員に自由を与えて背中を押す」や
「日頃は質素だが、重要なイベントに贅沢する」
「ゆっくりと少しずつ歩むが、たまに大きく飛躍する」など

6つの特徴があることがわかっています。

一見、対立したり矛盾することを積極的に受け入れて、
二項動態の文化を育んできたのです。

※ハーバード・ビジネス・レビュー 2022年11月号 P13より)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)

■たしかに、、、。

なんとなく

「あちらかこちら」の
どちらかで決めたほうがわかりやすく、
スッキリする感もあります。

でも実際は、そんなに
シンプルな話はあまりないです。

例えば、コーチングもそう。

その方針としては

「アドバイスやティーチングはしない」

とコーチに求められるコンピテンシーに
書かれていたりもしますが、

では実際、シャバにおいて、

全くアドバイスやティーチングを、
コーチ達がしていないかというと
必ずしもそうではない、

と私は思うのです。

■クライアントにとって役立つのであれば、

「絶対これでなければならない」

とテコでも動かないよりも、
あれやこれややってみてもよい。

コーチングもティーチングも、
コンサルティングもアドバイスも、
柔軟に取り入れていっても、

それはそれで、
一つの正解ではなかろうか、とも感じます。

■答えというのは
その文脈、状況に依存します。

ゆえに、
軸足としてのスタンスは決めつつ、
そしてその手法は守りつつも
時に、違った手法も取ってみる。

いつもは「白」だけど、
たまには「黒」になってみる、

そんなスタンスを持つことが、

自分なり、その組織なりの
独自の勝ちパターンを見つけていく、
「守破離」の「破離」のステップではなかろうか、

そんなことを感じた次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>

機会を待て。だがけっして時を待つな。

ヴィンヘルム・ミュラー

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