「かくいうアナタはどうなんですか?」にギクリとする
(本日のお話 2256字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
気づけば10月も半ば、
まだまだ暖かい感じもしますが、
気づけば冬がやってくるのでしょう。
1日1日を大切に過ごしたいものです。
*
さて、本日のお話です。
私はこの連休中は
ファシリテーションについてのワークショップに
参加をしておりました。
そんな中で、
”ファシリテーションに求められる
ステータスの管理”
について、改めて考えさせられました。
今日はこのお話についての学びと気づきを、
ご共有させていただければと思います。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは、
【「かくいうアナタはどうなんですか?」にギクリとする】
それでは、どうぞ。
■ファシリテーションにおいて、
『ステータス・マネジメント』
(=社会的位置・立場の管理)
という考え方があります。
これは研修を効果的なものにするために、
必要な考え方1つ。
研修講師は前に立って登壇するわけですが、
参加者がその講師の話を受け入れるかどうかは、
「参加者自身が決めている」
わけです。
幼い子供なら、「先生のお話聞きましょう!」でOKでも、
成熟した大人は、一筋縄では行きません。
■言葉に出さずとも、
”その人が信頼に足るか否か”
をお試しモードとしてみてしまう側面も、
あるものです。
ゆえに、
その分野における知識がなく、
頼りなく、信頼性もなければ、
「この人大丈夫かなあ・・・」
と心配になり、聞くに値しない、
と判断するでしょうし、
あるいは、
ものすごい知識があっても
距離を感じさせてしまっては
「親しみがない。
自分とは違う種類の人間だ」
と心のシャッターが
閉じてしまうわけです。
■ゆえに、
『ステータス・マネジメント』
では、その心の動きを、
意図を持って上手に管理していくことが大切です。
書籍『研修開発入門』(中原淳/著 P218-219)では
このように説明がされています。
以下、引用をいたします。
(ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
”研修講師は、参加者に
「この人は学ぶ価値のある何かを持っている」と思わせ、
信頼を勝ち取らなければなりません。
そのために、自分が何者なのか、
自身の経歴やその場にいる意味を明確にし、
講師としてきちんと伝えるべき内容知や経験知を持っている、
ということを感じてもらう必要があります。
このとき、研修講師のステータスは、
参加者よりも「上」になります。
ただし、一方で研修講師は、
ステータスを参加者よりも「下」にすることも求められます。
「自分には経験とコンテンツがある」ということを
強調しすぎますと、権威的になりすぎる傾向があります。
そのため参加者が質問一つできないような研修になってしまっては問題です。
よって、優れた研修講師は常に、現場の状況をモニタリングした上で、
自身のステータスの管理を行います。
換言すれば「自分の社会的立場を、意図的に、参加者の上に持ち上げたり、
参加者よりも下に下げたりする」のです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)
■うーむ、なるほど。
信頼できる講師とは、
「参加者からみて、
この分野の専門家と認められつつ、
親しみを感じる人」
である。
ときに「教師」になったり、
「仲間」のように距離を近づけてくれる、
そんな役割がある、とも言い換えられるかもしれません。
■一方、もう一つ、
ここでは語られていない、
重要な”講師の役割”があるのです。
それは、あえて言葉にするなら
『体現者』
と呼ぶことができるのかもしれません。
■この話をするにあたって、
こんな話を聞いたことがあります。
(自戒を込めてのエピソードです)
私も大いなる影響を受けている
「7つの習慣」というコンテンツがありますが、
その研修を受けたことがある
私の友人がこんな事を言っていました。
「講師の人が、対話の中で
”Win-Winを考える”とか
”理解してから理解する”といっていたけど
そう見えず、説得力がなかった」
、、、という話です。
率直に、自分に言われたような気がして
ギクリ、としました(汗)
でも実際、こういうこと
「かくいうあなたはどうなんですか?」という問いは
常に突きつけられているよな、と思うわけです。
■お伝えする内容が
7つの習慣でも、
コーチングでも
チームビルディングでも、
それがどのような内容であれ、
大体の場合、
「言っているからには、
かくいうあなたはどうですか?
(もちろんやっているよね)」
という言外の期待があるのでしょう。
もしくは、難しくても、
なんとかトライしようとしている軌跡くらいは
少なくとも講師の背中にはみたいもの。
■そうしなければ、
その内容を受け止めることもできないし、
あるいは良いと思っても、
「こうやってやるのだ」という人の背中を見ないと、
こうやってやるんだ、というイメージも湧きづらいからでしょう。
それを実際にやって、見せてもらっていることが、
話に説得力をもたせますし、
自分でもできるかも、
やってみたい、やってみよう、という思いが生まれるものです。
(※”自己効力感を高める「代理経験」”と呼びます)
■ちなみに昨日、
私が参加したワークショップでは、
「ファシリテーションについて学ぶ」というテーマにおいて
リード役のファシリテーターの方の一挙手一投足が、
あらゆる瞬間において言っていることとやっていることが一致しており、
素晴らしい空間を生み出していました。
その場が緊張するときの難しさや
チャレンジングな部分も、
コントロールが難儀になるお題すらも
自ら放り込んで進める姿にこそ、
シャバの厳しさを理解し
自らを安全圏に置かずに、
常に勝負をしているようにみえる
”体現者”としての姿勢が感じられたのでした。
どんな言葉より、説得力があるのだ、、、と
たいへん感銘を受けたのでした。
■研修講師という主語で
今回はお伝えしましたが、
これは、何もその状況だけではありません。
部下に対して、後輩に対しても
あるいは、パートナーや子供に対しても
何かを発するたびに、
「かくいうアナタはどうなんですか」
という問いは常に投げかけられているのでしょう。
そういう意味で、なにかを伝える上で
”背中を見せる”ことの大切さを改めて感じた、
というお話でございました。
自戒を込めて。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
万策尽きたと思うな。
自ら断崖絶壁の淵に縦。
その時はじえて新たなる風は必ず吹く。
松下幸之助
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