今週の一冊『レゴ 競争にも模倣にも負けない世界一ブランドの育て方』
(本日のお話 2605字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日土曜日は終日、
「レゴシリアスプレイのメソッドを活用した
キャリアを描くワークショップ」
の実施でした。
レゴを活用することで、
その人の奥にある世界観が表出するのを見て、
私も大いに刺激を受けた時間でした。
改めて、ご参加いただきました皆さま
誠にありがとうございました!
*
さて、本日のお話です。
毎週日曜日はお勧めの一冊をご紹介する
「今週の一冊」のコーナーです。
今週の一冊は、
私自身とっても語りたくて仕方がない、
レゴの魅力、レゴ社の強みについて分析された、
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『レゴ 競争にも模倣にも負けない世界一ブランドの育て方』
蛯谷 敏(著).ダイヤモンド社
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です。
■「レゴをやったことがある方?」
昨日のレゴを用いたキャリア研修で
そのように聞いたところ、
30名中、26名がレゴをやったことがある、
と答えられました。
*
子供の知育玩具として、
世界的に親しまれているレゴ。
きっと皆様も、子供の頃
レゴを使った遊んだ経験がある方も、
少なくないのでは、と思います。
私(紀藤)ももちろん、その一人です。
■レゴ社は非上場にも関わらず、
90年の歴史を持ち、
現在もその独自性を持ち、
根強い人気と、競争力を持つ企業として、
新しい革新を生み出し続けています。
、、、しかし、
その歴史は必ずしも、
順風満帆ではありませんでした。
かつての栄光を誇ったレゴ社は、
そのレゴ自体の特許は1990年頃にすでに切れ、
他社が模倣可能となりコモディティ化が進み、
廉価版が登場し、競争力を失い、
そして顧客が流れていく、、、
そんな危機と同時に、
テレビゲームが普及したことによる、
子供の遊びの中におけるレゴのシェアが
奪われるという危機も訪れました。
■そんな渦中である中でも、
かつての成功体験から社内では
・「いずれ子供達は戻ってくるさ」という危機感のなさ、
・採算度外視のデザイナー優位の風土
・老朽化したサプライチェーン
など正常性バイアスに飲み込まれた
組織の雰囲気風土が払拭しきれず、
その経営は悪化していきました。
■「もうこのままではまずい、、、」
というところで
創業一家で進めて来た中で、
外部から招聘したCOOに経営を任せる決断をします。
新しいCOOにより、
レゴブロックの開発と製造という
かつての自社の領域を手放し、
事業を多角化するもののの、
そのタイミング、実行の仕方の連動などが伴わず、
結果、失敗に終わります。
低下する自己資本比率。
増えていく有利子負債。
もう後がないというときに、
当時の創業一家のCEOは
教員免許を持つ、
元マッキンゼーのコンサルタントの経歴を持ち
入社3年目、当時35歳であった社内人材の若者クヌッドストープ氏に
最後を託してCOOとして抜擢します。
もう後がありませんでした。
■クヌッドストープ氏は
「有事のCEO」として、
”組織として生き残ること”に専念します。
全従業員の3分の1にあたる1,200名の
リストラクチャリングを断行。
前任のCOOのときに拡大した
採算がない事業も売却をし、
デザイナー優位であった組織風土も
改革に乗り出します。
サプライチェーンも刷新し、
決して油断しないように組織を引き締める。
そうして徹底した数年を送ります。
■しかし、レゴのファンであり、
レゴ社に参画したクヌッドストープ氏。
「今日がレゴ社に出社する
最後の日になるかもしれない」
そう毎日妻にいいながら出社し、
「満足に事業を継続できない会社が、
子供に夢など与えられない」
とあえて社内では厳しい言葉を繰り返し、
経営陣も高価な車などにも乗らないと
徹底した危機意識で臨みました。
■ようやく安定したときには
「平時のCEO」として
理念の浸透をはかり、
継続的なイノベーションを生むための仕組みを作ります。
そして組織横断的な風土を作り、
新たにスタートしたことによって
・レゴスーパーマリオ(スーパーマリオの世界観を子供が作ることができる)
・レゴマインドストーム(レゴを使ったロボット)
・レゴ空想(ユーザーからの意見で製品を作る)
など、ユーザーも巻き込んだ
数々の施策も打ち出していきました。
■平時と有事のリーダーシップ。
組織風土の変革と、
出血と息を吹き返す組織の物語。
皆が知る「レゴ」の背景にある歴史や
経営としての苦難の道筋を、
臨場感あふれる形で描かれているのが
まさn今回ご紹介させていただいている
『レゴ ―競争にも模倣にも負けない世界一ブランドの育て方』
です。
■シンプルかつスピード感あふれる記述に、
引き込まれると同時に、感情移入しすぎて、
思わず目頭が熱くなるシーンもありました。
アツい物語です。
かつ個人的な率直な感想ですが、
「経営」についても学びが深い著書です。
例えば、
・組織風土が経営に与える影響
(組織行動学、正常性バイアスなど)
・企業が衰退する5ステップ
(ビジョナリーカンパニー3より)
・平時と有事のリーダーシップ
(平時のCEOと有事のCEOの違い)
・経営におけるサプライチェーン
などもふんだんに引用しつつ
その軌跡を説明してくれます。
大学院で経営戦略論などを学びましたが、
経営論の具体的事例を復習させていただいた
気持ちになりました。
■加えて
冒頭に「レゴを使った研修」とお伝えしましたが、
私も資格取得をした「レゴシリアスプレイ」という
大人向けの教育プログラムの開発も話も触れられます。
言葉にならないもの
(価値観やアイデンティティ)を
レゴを通じて表現をする。
そしてレゴを通じて対話をすることで、
人々の中にある思いを伝え、理解し合う。
そうすることによって
一部の人の意見だけが聞かれる会議ではなく
”全員の意見が聞かれる会議”への扉が開かれます。
現在も、NASA、Googleを始め
名だたる組織において、
・戦略立案
・チームビルディング
・キャリア開発
・ビジョン策定
などに活用されており、
そういった側面からもレゴの魅力を
多角的に理解することができます。
私も関わるものとして
そうした背景もより深く知ることができて
改めてレゴのことが好きになりました。
レゴが好きな方はもとより、
個人として組織として、
価値を生み続けるために何が必要なのかを
考えさせられる書籍です。
■本の魅力はぜひ読んでいただき
体感していただければと思いますが、
最後に、著書の中で、
レゴ社から学ぶ価値を生み続けるための4条件が
紹介されていたので、そちらを引用したいと思います。
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<価値を生み続けるための4条件>
1,自分の強みを理解すること
2,継続的に成果をアウトプットする仕組みを作ること
3,コミュニティを育み、つながりを強化すること
4,存在意義を明確に発信すること
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私も、しかと胸に刻みたいと思いました。
とてもおすすめの一冊です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<今週の一冊>
『レゴ 競争にも模倣にも負けない世界一ブランドの育て方』
蛯谷 敏(著).ダイヤモンド社
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