ヘタな聞き手は「ずらす」、優れた聞き手は「受けとめる」
(本日のお話 2418字/読了時間3分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は3名の個別コーチング。
その他、1件のアポイントでした。
*
さて、本日のお話です。
本日も、
『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』
ケイト・マーフィ (著)
の内容をテーマにお届けしたいと思います。
書籍に「優れた聞き手の特徴」について
述べられている節があり、大変共感をいたしました。
お話の内容と共に学びと気づきの
ご共有をさせていただければと思います。
それではまいりましょう!
タイトルは
【ヘタな聞き手は「ずらす」、優れた聞き手は「受けとめる」】
それでは、どうぞ。
■「聞く」というのは、
簡単なようで本当に深いな、
と思います。
私自身、企業向けに
「コーチング研修」を実施するのですが、
ロールプレイングの際に、
様々な「聞き方」に出会います。
*
大きく頷く人もいれば、
静かに首を傾けて聞く人もいる。
あるいは質問の仕方も、
「これって~ですよね?」
と確認のような質問を投げる場合もあれば、
「それについてどう思われます?」
とこちらの考えを聞かれる場合もあります。
■「聞く」という
シンプルな行為の中にも、
実に様々な”聞き方”があり、
その対応の仕方によってこちらの本音が
どんどん引き出されることもあれば、
相手の思い込みから質問されているように感じられて
本音とは別の回答をしてしまう、
という場合もあります。
うーん、聞くってやっぱり深いです。。。
■さて、同じ
「聞く」という行為なのに、
なぜこのような違いが現れるのか?
その違いを分かつものとして、
書籍『LISTEN』にて、こんなお話がありました。
以下、引用させていただきます。
(ここから)
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<ヘタな聞き手は「ずらす対応」を、優れた聞き手は「受け止める対応」をしている>
夕食でのカジュアルな会話を100件以上録音して
書き起こしたダーバーは、そこに2種類の対応があるのを見出しました。
この2つのうち、より一般的なのが、「ずらす対応」です。
これは、注意を話者から応答者(聞き手)の方へと向けるものです。
もうひとつ、比較的少ないもので、
ディズレーリが長けていたのが「受け止める対応」でした。
これは”応答者がもっと深く理解できるように、
話者にさらなる説明を促すもの”です。
例として、こんなやり取りがあります。
**
{ずらす対応}
ジョン:「うちの犬が先週いなくなっちゃったんだ。見つけるのに3日かかったよ」
メアリー:「うちの犬はいつもフェンスの下を掘っているよ。リードを付けないと外に出せないの」(ずらす対応)
{受け止める対応}
ジョン:「うちの犬が先週いなくなっちゃったんだ。見つけるのに3日かかったよ」
メアリー:「えーそうなの。で、結局どこで見つかったの?」(受け止める対応)
**
{ずらす対応}
スー:「ゆうべ、すごく面白いカメのドキュメンタリーを見たの」
ボブ:「ドキュメンタリーはそんなに好きじゃないな。俺はアクション映画の方が好き」(ずらす対応)
{受け止める対応}
スー:「ゆうべ、すごく面白いカメのドキュメンタリーを見たの」
ボブ:「亀? へえ、どういう流れでそれを見たの?亀すき?」(受け止める対応)
優れた聞き手は常に、受け止める対応をします。
※ケイト・マーフィ (2021)『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』(P234-235)
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(ここから)
■実に納得です。
まさにコーチングの質問でも
「ずらす対応」「受け止める対応」がありますし
それによってクライアントから
引き出せる内容も変わってくる、と感じます。
そして聞き上手はやっぱり
「受け止める対応」を使っています。
■ちなみに、「ずらす対応」とは
”会話におけるナルシシズム”の表れだそう。
それは、話の焦点を
”相手から自分”に引き寄せるためです。
一方、受け止める対応は
”相手に向けた質問”になります。
しかし、人は自分のことを焦点にされたいものですから、
毎回自分に水を向けさせるような質問をするひとは
人とつながるチャンスを潰してしまうことになります。
なので「受け止める対応」は
やっぱり大事なようです。
■しかし「受け止める対応」も
注意点があります。
それが
”真摯な好奇心に基づいたもの”であることが
求められるということ。
受け止めるような雰囲気を見せて
実は自分の言いたい方向に誘導する、、、
とならないようにすることがポイントだそう。
■、、、と偉そうに語っておいて、
じゃあ、あなたはどうなの?
と振り返ります。
ちなみに今回の文脈は
「夕食のカジュアルな会話」ということでしたが
我家(紀藤家)はどうだろうか?
そうするとコーチングの場面は
(当たり前ですが)「受け止める対応」が
できている一方、
夕食時の妻との会話においては
割と自分が「ずらす対応」をしていることに
ふと気が付き、残念な気持ちになりました、、、(汗)
■「気」を入れているときはできるのです。
しかし、気を抜いているときはできず、
むしろ私よりも妻のほうがずっと
「受け止める対応」が上手かつ
自然にできていることに気が付きます。
どうやら、自分の中には
「認めてほしい」というナルシシズムが
存在していたり、
あるいはなんとなくの
「照れくささ」が出てしまって、
ずらず対応をしてしまうことがしばしばあるよなあ、
、、、そんなことを振り返り思ったのでした。
「聞く」ということは、
そういった己の認めてほしいとか、
注目してほしいとか、そうしたものも
にじみ出てしまうな、
そんなことも感じました。
■その他にも「ヘタな聞き手」は
”会話におけるナルシシズム”が顔を出すため
以下のような聞き方をしてしまいがちだそうです。
例えば、
・自分が求めている答えが返ってくるような質問。
(例:「~だと思わない?」「~って本当?」「~ってそうでしょ?」)
・自分を権威付けたりよく見せたりするための情報がもりだくさんの
長たらしい質問。
(例:私は〇〇における経験を積んでおり、XXの資格を保有するもので、
△△の意見を敬愛しているのですが、そしてほげほげの視点も考慮した上で
ほにゃららの討論会にも参加しているのですが、志を持つということの大切さに
同意されますか?」)
とのこと。
実際に、こういうケース
しばしば目にしますので、注意が必要ですね。。。
(自戒を込めて)
■いついかなる時も、
「受け止める対応」であるべき
と頑になる必要はないと思いますが、
「聞くこと」を通じて
機会を最大化するためにも、
身近な人に対しても、
敬意と配慮を持つためにも、
そして自分自身の伸びしろを
見つめるためにも
こうした「受け止める対応」は
自然とできるようにしていきたい、
そんな事を思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
孤独はいいものだということを我々は認めざるを得ない。
しかし、孤独はいいものだと話し合う事のできる相手を持つことは
一つの喜びである。
バルザック(フランスの小説家)
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