職場の「助け合い文化」を育てるにはどうすればよいか ー互酬性規範の観点よりー
(本日のお話 1618字/読了時間2分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は午前中に約100名の事業部の皆様へ
オンライン研修の実施。
また午後からは3件の個別コーチングでした。
夜は大学院の論文を進めておりました。
*
さて、本日のお話です。
論文を進める中で
「仕事の学び」について調べまとめております。
その中で、現在立教大学大学院にて
師事している中原先生の著書、
『職場学習論 新装版: 仕事の学びを科学する』
中原淳(著).東京大学出版会
を読み返しつつ、
改めて気づくことがございました。
今日はその書籍からの学びを
皆様にご共有させていただければと思います。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは
【職場の「助け合い文化」を育てるにはどうすればよいか
ー互酬性規範の観点よりー】
それでは、どうぞ。
■チームや組織は
文化を持つものです。
その組織が持つ文化は
「組織風土」とも言い換えられますが
それらは
・組織成員持っている独自のルール
・価値観や考え方
を意味します。
■例えば、
一人ひとりのプロフェッショナリズムで
自立し戦い、エースの集まりを是とする
コンサル集団のような文化もあれば、
チームで補完しあい
誰かだけが突出するよりも、
全体としての成果を目指す文化もあります。
何がよいか、というわけではないですが、
そういった文化の違いはある、という話。
■そんな中で、
「お互いに助け合う文化」とも
いえるようなルールの一つに
『互酬性規範』
と呼ばれるものがあります。
この言葉の定義は
”「もし(職場メンバーの)AがBを助けたら、
AはBに限らず、(職場の)他の人から返報されるだろう」
という社会的期待である(小林・池田,2006)"
と説明されています。
*
たとえば「互酬性規範」を確認するための
質問項目の例として
・「困ったときにお互い助け合っている」
・「他者を助ければ、今度は自分が困っているときに誰かが助けてくれるように自分の職場はできている」
・「他者を助ければ、いずれその人から助けてもらえる」
・「人から親切にしてもらった場合、自分も職場の他の人に親切にしようという気持ちになる」
などが挙げられています。
(中原淳.2021,職場学習論,P108より)
「誰かを助けたら、自分も助けてもらえる」と
皆が思えていること、それはまさに
「助け合い文化」あるいは
「お互い様文化」とも言えるように思えます。
■では、この「互酬性規範」に
影響をする/されるものは何なのでしょうか?
これについて、職場学習の観点から
ある結果が示唆されています。
ちなみに、職場学習の研究では、
職場内における4カテゴリーの他者、
すなわち
・上司
・上位者・先輩
・同期・同僚
・部下・後輩
からの支援を研究し、
そこから 3つのタイプの支援、
1)業務支援
2)内省支援
3)精神支援
があることがわかったと述べています。
■そしてこの「互酬性規範」と
3つのタイプの支援の関係を見たときに、
”上位者による「内省支援」
同僚らによる「業務支援」「内省支援」と
互酬性規範との間には統計的に有意な関係があることがわかった”
としています。
「業務支援」の項目とは、
・仕事の相談に乗ってくれる
・自分にはない専門的知識・スキルを提供してくれる
・自律的に働けるよう、任せてくれる
・仕事に必要な情報を提供してくれる
などあり、
「内省支援」の項目とは
・自分自身を振り返る機会を与えてくれる
・自分にない新たな視点を与えてくれる
・自分について客観的な意見を言ってくれる
とのこと。
■この結果、
特に上位者からの内省支援と
同僚らの業務支援・内省支援が
互酬性規範と相関がある、
というのは、
『職場での学びや助け合いは
直属の上司だけが頑張るものではない』
ということを感じさせられるように思います。
そして”面”として
お互いにフォローし合うことの大切さを
改めて感じさせられるように思いました。
■当書籍をじっくりと読んだのは、
実は大学院の受験以来だったと
思い出されますが、
その内容と10年以上前に
中原先生が書かれていたことに、
研究者の偉大さと凄みを感じました。
論文に対して及び腰になっている
この頃ですが、自分なりに
悔いがないように進めたい、
そんなことを思った次第でございます。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
勇気とは不安を消し去るものではない。
不安に向かっていくものである。
マーク・トウェイン(米国の小説家)
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