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今週の一冊『聞く技術 聞いてもらう技術』

今週の一冊『聞く技術 聞いてもらう技術』

3216号 2022年12月11日

(本日のお話 1774字/読了時間3分)


■こんにちは。紀藤です。

昨日は午前中、立教大学大学院
経営学専攻リーダーシップ開発コース(LDC)にて

『キャリアとリーダーシップ論』

の授業でした。

同期の仲間と共に、
これまでの大学院の学びや経験を振り返りつつ
お互いにフィードバックし合う時間でしたが、
非常に有意義な時間でございました。

また夜は人・組織に関する
同業の社長や役員の方を含めた会食。
とても刺激を頂いた時間でした。



さて、本日のお話です。

毎週日曜日はお勧めの一冊をご紹介する
「今週の一冊」のコーナー。

今週の一冊は、

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『聞く技術 聞いてもらう技術』

東畑開人 (著)、ちくま新書


=========================

です。



■先日妻より、

「この本買ってほしいのだけど」

と言われて、購入した一冊。

我が家ではkindleの本は
家族共有で読んでおり、
図らずも、自分と妻で同時進行で読んでおりました。



■タイトルの

『聞く技術、聞いてもらう技術』

を見つつ、妻からの

”私の話を聞いてほしい”という
暗黙のメッセージなのだろうと推測をしつつ(汗)、
読み進めていきましたが、

やっぱりそうであった、と気づくとともに
「聞く」ことの難しさを再認識させられた本でした。



■しばしば対話やコーチングで言われるのが

”「聞く」→「聴く」に変えましょう”

とメッセージです。

「聞く」とは、声が耳に入ってくること。
「聴く」とは、声に耳を傾けること。

一般的に、どちらが難しいか?
と言われると「聴く」方と思いそうです。



■、、、しかし、実際は違う、
と著者は言います。

実は、

「聞く」

ほうが難しい。

というのも、

「きいてほしい」と相手がいうときは、
何も、心の奥底にある思いを聴いてほしい、
と思っているよりも、

「自分が今言ったことを
 真面目に受け取って欲しい」
 
という願いであることのほうが多い、
といいわけです。



■なんだ、そんなこと簡単じゃないか、

と言われそうですが、

確かに自分に当てはめてみると
これが実に難しいと気づきます。
(特にリラックスした家庭内などでは)


特に、

「お互いの関係性」に課題があったり
「自分に余裕がない」ときだったりすると、

まさにそう。

”聞けない”のです。

というより、
相手が発したその言葉を
実は”聞きたくない”と思っている。

こういうことがあります。。



■そして自分の未熟さを
晒すようでお恥ずかしいですが、

まさに家での自分は
”聞けていない”のでした。

この本を共通言語にしつつ
妻からも指摘をされます。

「私は聞くように意識しているけど
 ヤスさん(紀藤)は聞いてないよね」
 
と。

そしてまさにその通り。

自分は妻に
聞いてもらっている感覚がありますが、
自分は妻の話を”聞いていない”。



■なぜ”聞けない”のか?

そこについても
この本では語られています。

(私の器の小ささは置いておいて)

その理由をあえて言えば

「他の事に思考が回っていて、
 余裕がない」

という”余裕のなさ”もあります。

論文、研修実施、研修準備。
そして1日中コーチングで”聴き”続ける。

そういったときは
「もう何も考えたくない」と思い、
完全にシャットダウンを意図的にします。


ゆえに、意味がないこととか
自分が好き勝手なことばかり言って
発散をするのです。

そして相手(妻)の話は

”聞かない”

わけです。


あるいは何かいざこざがあると

「相手に対して不満があるから
 受け取りたくない」
 
など相手との関係性から
”聞かない”ということも起こったりします。



■でも、そうやって

耳を入れることを
意識的・無意識的に避けていると、

あるときに、
当たり前だった何かが、

パキっと音を立てて
ひび割れてしまうこともあります。

「何も聞いてくれない」

と、致命傷になる可能性もある。


ゆえに、そうなる前に

「聞く」事が大事だし

一方、

「聞かれる」ためにも
準備をする必要もあります。



■いざお互いに
「聞く」ことができると、
たくさんのメリットがあります。


「聞くこと」は
それだけで苦悩や不安、
和らげる力があります。

「聞くこと」によって
孤立から繋がりを
生み出すこともできます。


「聞くことのちから」によって
癒やしが生み出されるのです。



■ただし、それは簡単じゃないのです。



「聞く」ほうも
余裕をもつ必要があるし、

「聞いてもらう」ほうも
自分からメッセージを放つ必要がある。


すなわち、

”「聞くこと」と
 「聞いてもらう」の循環”

を生み出すために、
それぞれが工夫をすることも大事です。



■では、具体的に
どうすればよいのか。

このことについては、
詳細を本書にて紹介されています。

すぐに使える

「聞くことの技術 ー小手先編」
(例:
 1,時間と場所を決めてもらう
 2,眉毛にしゃべらせよう
 3,正直でいよう
 4,沈黙に強くなろう
 5,返事は遅く
 6,7色の相槌
 7,奥義オウムがえし など)

または、

「聞いてもらう技術 ー小手先編」

(例:
 1,隣の席に座ろう
 2,トイレは一緒に
 3,一緒に帰ろう
 4,ZOOMで最後まで残ろう
 5,焚き火を囲もう
 6,単純作業を一緒にしよう
 7,悪口を言ってみよう など)
 
も紹介されており、

「小手先だけど、されど小手先」として
ユーモアを含めて紹介してくれています。

”オウム返しは
 小手先感がハンパないので
 使う時は要注意”
 
などと、わかるわかる、
というのも含まれているのが魅力です。


また、

「聞くこと/聞いてもらう技術 ー本質編」

と改めて社会的な背景からも
なぜ聞くこと/聞かれることが重要かを
より深めてくれます。



■読みながら
私も基本余裕がなくなりがちである自分と、

「聞くための場」がないと
なかなか「聞くこと」はできないと
改めて気づきましたので、

聞くことの技術 小手先編 
「1)時間と場所を決めてもらう」

などは日々のルールに組み込んでも
面白いかもな、などと思った次第です。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<今週の一冊>

『聞く技術 聞いてもらう技術』

東畑開人 (著)、ちくま新書

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