仲良しチームのデスマーチ ー失敗するチームの5ステップー
(本日のお話 2356字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日金曜日は、
外部顧問として関わっている
金融機関の人事の皆様へコーチングなど。
また夕方からは大学院の授業でした。
*
さて、本日のお話です。
昨日大学院の授業で
「チームワーク論」がありました。
その中で、大変
印象に残る話がありました。
今日はそのお話のご紹介と共に
学びと気づきを皆様にご共有させて
いただければと思います。
それでは早速まいましょう!
タイトルは
【仲良しチームのデスマーチ ー失敗するチームの5ステップー】
それでは、どうぞ。
■「チーム」には
多くのメリットがあります。
集団(人との繋がり)が
もたらしてくれる機能として
1,難しい問題を解決できる
2,人のウェルビーイングを高めることができる
3,自己を理解する枠組みを与えてくれる
4,アイデンティティ確立に貢献する
などがあるそう。
■確かに仕事をしていても、
あるいはスポーツなどでも
”集団になることで
大きなことが達成できる”
という実感を持たれている方は、
決して少なくないのでは、
と思います。
一人では、できることは
ごくごく限られているものです。
そして人が集結した”集合知”は
たいてい一人の答えよりも優れています。
■とはいえ、
チームいいよね!
最高じゃん!
とシンプルにならないのが
世の常でございます。
チームになったらなったで
摩擦も起きるし、
集団だからこその懸念も起こります。
いわゆる、
”集団になることゆえの副作用”
とでもいいましょうか。
その代表的なものが
『集団的浅慮』
などで
・自分たちの能力を過信して誤った判断を下してしまう
・皆言っているから大丈夫だろうと盲信してしまう
ことが起こりますし、
あるいは
『社会的手抜き』
なんていって
「ま、だれかやってくれるっしょ」
「皆それなりにやってるから、自分もそこそこで」
みたいに、集まるゆえの手抜き、
が起こることもあります。
そしてこうした現象は、
チームに関わる誰もがきっと
体験したことがあることなのでしょう。
■そして、その中で、
意外な事実として、
『コケるチームのデス・マーチ』
という話が授業で紹介されて、
非常に面白いなあ、
そしてちょっと、
ギクリ、と思ったのでした。
■では、どんな話かというと、
”コケるチームは
仲良し信奉の罠にハマる”
というのです。
書籍『チームワーキング』
(中原・田中2021)によると、
あるプロジェクトにおける成果において
最上位チームと最下位チームで
「チームを動かす上で
メンバーが大切だと思っていることはなにか?」
についてその違いに注目しました。
ちなみに質問の選択肢は
1,全員が納得するまで話し合うこと
2,目標を握り合うこと
3,良い人間関係を保つこと
4,使える時間を意識すること
5,情報共有を密にすること
の5つ、最上位チームと最下位チーム
それぞれどれを、どのくらい重要しているか、
という質問です。
■そして、その結果、
わかったことがあります。
それは、
最上位チームと最下位チームで
もっとも差が大きかった項目は
”「3,良い人間関係を保つこと」”
でした。
ちなみに、
”最下位チームほど、
「良い人間関係を保つこと」を
重視していた(!)”
のです。
■え、、、チームって
人間関係大事じゃないの?
と思われる中、
意外な結果かもしれません。
しかし、チームの目標ではなく、
「3、良い人間関係を保つこと」
が”目的化”すると、
以下のように連鎖して
チームの成果が出なくなるそうです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<仲良しチームのデス・マーチ>
STEP1、「仲良し」の目的化
↓
STEP2、個業化(サイロ化)
↓
STEP3、ブラックボックス化
↓
STEP4、チーム視点の喪失
↓
STEP5, コケる
※立教大学大学院 経営学専攻LDC
「チームワーク論」授業より
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
とのこと。
■すなわち、
・「仲良くなろう」とするあまり、
お互いに気を遣い、衝突を恐れ、遠慮する。
↓
・軋轢を避けるので
個人で片付けようとして
結果として「個業化」する。
↓
・そして、お互いが何をしているか
わからなくなっていく「ブラックボックス化」が起こる。
↓
・そうすると、
チームでどこに向かっているのか、
チームの良い点、改善点はどこかなどの
「チーム視点」が失われベクトルがずれてくる。
↓
・そして、「コケる」となる。。。
というわけです。
■、、、しかも、です。
どうやら仲良し意識、つまり
”私たちは、チーム内で議論し
関係性が悪くなるくらいなら
チームの関係性を重視したい”
という意識を持っている場合、
「関係性の質 に -0.185 の影響」
があることがわかった(!)、とのこと。
■何たる皮肉でしょう。。。
「関係性を大事にしたい」
と頑張るほどに
軋轢や摩擦を避けるようとして
結果的に関係性が良くならない、
というジレンマです。
結局、
チームの目的・目標に向かって
喧々諤々やりあったほうが、
戦友ではないですが、
仲良くなれるというわけです。
■そして、
改めてこうしたデータをみると、
チームでワークする中で
「表面的に仲良くやっても
人間関係の面でも、成果の面でも、
結局、どちらもいいことはない」
と気付かされます。
そうすると、
意見の相違や、価値観の違い
意思決定やフィードバックなど
精神的・物理的な負荷は望ましいものではないと思う一方、
”人と人が協働しようとする際に、
摩擦はエネルギーを生み出すための
必要な現象である”
と思えるようにも感じます。
人と人が共同するとは
エネルギーとエネルギーがぶつかり合うことでうまれる
「摩擦熱」みたいなもの。
ゆえに、許容していけばよい、とも
いえるのかもしれません。
(といっても大変ですけど)
■人と組織を考える上で、
色々起こってしまうものです。
ですが、
そうしたものはあるし、
そうしたほうがむしろ成果に繋がる、
と思えると、
少しだけ肩の荷が降りるような気もする、、、
そんなことも感じます。
いずれにせよ
「仲良しチームのデス・マーチ」にならないよう、
チームの目的を見据え、歩むことの大切さを
改めて考えさせられた次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
鳥が大気の抵抗に逆らって飛び立つように、
逆境に挑む力こそが、人間を飛翔させるのだ。
ロア=バストス
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