今週の一冊『老後破産 ―長寿という悪夢』
(本日のお話 2205字/読了時間3分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日はコロナ自粛期間の解禁で
午前は遅ればせながらの初詣。
その後、近所のカフェ(ファミレス)にて論文を作成。
そして夜20時、ようやく書き終わりました。
合計68,000文字。
参考文献・引用文献数は65。
うー、あー、と
唸りながら書いていた日々も
ようやく終わりを迎えそうです。
残りの時間は微修正や
誤字脱字チェックなどで後悔なきよう
最後までやりきりたいと思います。
*
さて、本日のお話です。
毎週日曜日はお勧めの一冊をご紹介する
「今週の一冊」のコーナー。
今週の一冊は
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『老後破産 ―長寿という悪夢』
NHKスペシャル取材班 (著)
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です。
■老後にお金がなくなること。
食費は切り詰めることは元より、
介護サービスも切り詰め、
そして病院代も切り詰めることになる。
実質は生活保護が必要な
生活レベルで暮らす。
外出はしたくとも四肢が不自由で
一人で外に出ることができず、
1時間の最低限の介護サービスで生活をする。
そんな高齢者が一定程度
存在しています。
■現在、
ひとり暮らしの高齢者は約600万人。
年収が生活保護水準を下回る人はおよそ半数。
そのうち生活保護を受けている人は70万人。
残る人たちの中に預貯金など
十分な蓄えがある人もいるが、
それを除くと、ざっと200万人余の
一人暮らしの高齢者は生活保護受けずに
年金だけでギリギリの生活をしている。
そして彼/彼女らが病気になったり
介護が必要になったりすると、
とたんに生活は破綻してしまう。
そのような高齢者の境遇を
この著書では、
「老後破産」
と呼ぶことにした、と言います。
■本著書は、NHK取材班による
「NHKスペシャル」
の番組で、
『老後漂流社会』という番組で、
上記のような状況に当てはまる高齢者を継続的に取材、
一体その実態がどのようなものかに
密着した取材内容が元になっています。
ゆえに、実にリアルです。
■もう言われて久しいですが、
日本の超高齢化社会は、
間違いなく日本の最大の問題の一つです。
私が素人的に見聞きする中でも、
・社会保障費の増大
日本の財政はもたない
・人生100年時代、
老後2000万円が必要
・年金制度もずっと続くかわからない
・75歳になっても
働き続ける世の中がやってきそう
などなど、高齢化に伴う
様々な問題を聞きます。
その他にも、
過疎化、空き家、孤独死など、
付随する問題を取り上げると、
もっともっと積み上がるように思います。
■しかし、
漠然とした不安はある一方、
そこにリアルな手触り感は、
意外と少ないのかもしれません。
「実際に老後にお金がなくなると
どのような生活になるのか?」
このことについて、
数名の方を実例に
どのような生活と
どのような背景でそうなったのかを
描き出されています。
例えば、川西さん(83歳)
○収入(月額)
・国民年金=6万円
○支出(月額)
・光熱費や電話代の公共料金=1万円
・生活費(食費など)=5万5000円
・医療費と各種保険料=1万5000円
・介護サービス=5000円
残高:-2万5000円
預金:約150万円
という方。
大工の仕事をしており
自宅も自分で建てられました。
70歳ごろに体が言うことを聞かなくなり引退。
自営業のため国民年金のみ。
3年前、前立腺がんが見つかり、
病院にいくため、医療費が15000円程度かかる。
1食は100円程に切り詰めているそう。
お風呂は銭湯で2日に1回。
親族は、唯一弟がいるが
同じように自分の生活を守ることで
精一杯であるため頼ることはできない。
ゆえに、手元に残された預金が
唯一の寄りどころである。
という方が紹介されていました。
そして言います。
「私の場合は、長生きするもんじゃないよね。
長生きすれば預金もそこをついてしまうし、
その前に死んでしまいたいよ」
とのこと。
■この方は、
決して30歳から現在まで
大工として活躍してこられていて、
そして身体も比較的健康である
紹介されていた事例の中でも、
「老後破産」と呼ぶには
少し距離を感じるようにも思えた例でもあります。
私のごくごく近い親族でも
こうした方は存在しています。
実際に、同じような発言を
その方も、されていました。
■ちなみに、
預金がゼロになり、
かつ家も古い家であれば
生活保護(月13万円程度)を
受けることができます。
しかし、
そうした制度利用への
抵抗感もありますし、
制度について
全員に周知できるほどの体制も整っていません。
(200万人以上いるわけですから。。。)
■「老後破産」になりやすい
条件として、著書では以下を挙げていました。
1,未婚の一人暮らし高齢者
2,国民年金のみ(自営業・農業従事者)
3,病気/怪我などきっかけ
です。
そして、「老後破産」の背景にある
制度的側面として
1、国民年金(基礎年金)の給付額が低いこと
2,医療・介護費の自己負担や家賃負担が重いこと
3,生活保護制度が利用しにくいこと
4,相談窓口が乏しいこと
を挙げていました。
■こうしてみると、
「不安感を抱えながら生きる
老後生活」
というのは、
身近なことのようにも
思えてくると同時に、
「備えあれば憂いなしだよね」と
個人の話に帰結できる話以上に
社会としての問題であると感じられます。
そういった老後問題を概観させてくれる
一冊でもある思います。
、、、とはいえ、
大きな影響が与えられない
制度面のことを話をしても
仕方がありません。
ゆえに、個人としてできる対策として
老後の備えもできるうちからしっかり行っておきたい、
そんな事を考えさせられた次第です。
健康。お金。人の繋がり。
特に大事にしたい、と思いました。
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<今週の一冊>
『老後破産 ―長寿という悪夢』
NHKスペシャル取材班 (著)
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