キャリアコンサルティングが、なぜ今求められているのか? ーその社会背景と課題をまとめてみたー
(本日のお話 2909字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は2件のアポイント。
並びに研修のプログラム作成。
夜は5キロのランニングでした。
(昨日は寒かったです・・・)
*
さて、本日のお話です。
キャリアコンサルタントの試験まで
1ヶ月ちょっととなりました。
独学で進めておりますが
「へー」「ほー」と、
興味深く、関連書籍を読んでおります。
キャリアとは、社会に関わる
多くの人が生涯に亘って関係するテーマ。
ゆえに、その領域についての知見は、
これから色々な人の役に立てそうだな、
と感じている次第。
今日は、そんな中で
「キャリアコンサルティングが
求められている背景」
について書籍
『キャリアコンサルタント・人事パーソンのためのキャリアコンサルティング』.
浅野浩美(2022). 労務行政
から引用させていただきつつ、
学びを皆様にご共有させていただければと思います。
それでは、早速まいりましょう!
タイトルは
【キャリアコンサルティングが、なぜ今求められているのか?
ーその社会背景と課題をまとめてみたー】
それでは、どうぞ。
■さて、
「キャリアコンサルティング」
と連発しておりますが、
この言葉の意味は、
”個人のキャリア形成にかかる相談の総称”
のことです。
そして、これを行う人が
「キャリアコンサルタント」と言われ、
名称独占国家資格となっています。
■キャリアコンサルタントは、
・企業の中で活躍する人
・ハローワークで活躍する人
・大学などの教育期間で活躍する人
などがいます。
現在、約6万人(2022年2月)が
登録されています。
そして、ここ4年間で
毎年9000名ずつ増えており、
益々増えていくことが予測されます。
特に「企業」で活躍する
キャリアコンサルタント(通称キャリコン)が
増えているのが近年の特徴。
■ではなぜ、
このキャリアコンサルティング
増えているのでしょうか?
それにはこんな社会的背景があるとされます。
以下、紹介いたします。
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<キャリア形成支援が求められる理由>
1)職業人生の長期化の影響
→労働者の職業人生の長期化、働き方の多様化が進む中、
生涯を通じて学び続け、職業能力開発・キャリア形成を行う必要性が高まっている
2)ジョブ型雇用への関心の高まり
→新卒一括採用や長期雇用等に特徴づけられる日本型の雇用慣行も徐々に変化し、
ジョブ型雇用への関心も高まっている
3)技術革新による求められる職業能力の変化
→サービス経済化、第4次産業革命(IoT、ビックデータ、AI、ロボット等)に伴う技術革新等により、
求められる職業能力も変化しつつある
4)リスキリングやリカレント教育の重要性の高まり
→社会全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速化や、カーボンニュートラル対応などにより、
リスキリング(再教育)やリカレント教育の重要性が高まっている
5)雇用の見通しの不透明さの増大
→新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、雇用の見通しが不透明さを増す中、
キャリアプランの見直しを迫られる労働者が増えてきている
6)テレワークの浸透による影響
→テレワークの浸透に伴って、働き方やキャリアに対する意識を巡る変化も見られる
※浅野浩美(2022).『キャリアコンサルタント・人事パーソンのためのキャリアコンサルティング』.労務行政 p.42
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
とのこと。
■ふーむなるほど。
言われてみたらそうですよね。
新聞やらみていても、
「100年時代」
「DX」
「リスキリング」
など、
多くの関連するキーワードを
見聞きするようになりました。
確かに、肌感として
・変化が早くなっている
・変化が持続的に続くことが予測される
・ゆえに、キャリアに対しての見通しが付きづらい
という世の中において
・「個人」では、
個人が自律・自立しキャリア構築を行うためのサポートがほしい
・「組織(企業)」では、
組織戦略として従業員の主体性を強化する施策がほしい
・「国家」では、
新たな雇用の機会創出と、中高年ホワイトカラーの雇用確保の施策がほしい
そして、
「キャリアコンサルティングが
一つの有用な施策として注目されている」
という繋がりになっています。
■そして、
「企業」の視点から見ると
キャリアコンサルティングを導入する目的は
1,労働者の自己啓発を促すため
2,労働者の仕事に対する意識を高め、職場の活性化を図るため
3,労働者の希望等を踏まえ、人事管理制度を的確に運用するため
という組織戦略を
一種の狙いとしていることが示されています。
こう見てみると、
キャリアコンサルティングを導入する意義は
多々あるように感じます。
■しかし、
そうした事実や社会背景がある中
なかなか簡単には
広がらない現状もあるようです。
まず現状から言えば、
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・キャリアコンサルティング(キャリアに関する相談を行うこと)
の仕組みを導入している事業所 :38.1%
・キャリアコンサルティングを受けた労働者 :9.8%
※厚生労働省「労働開発基本調査」(2020)
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であるとのこと。
約4割がキャリアコンサルティングの仕組みを導入している。
一方、実際は活用されているのは10人中1人。
これが多いか少ないかは議論の余地がありますが、
まだまだ伸びしろがある、とは言えそうです。
(ちなみに、中小企業において、
特に導入の余地が多いとされています)
■では、
何がキャリアコンサルティングの導入の
障害となっているのか?
そのことについて、
以下のような意見があります。
第1に、「経営層の理解不足」です。
・企業経営において
キャリアコンサルティングは
利益に直結するものではないため優先順位が低いこと
・そのため経営層の十分な理解を得ることが難しい
・または、キャリア相談をすると、
従業員が辞めてしまうのではないか、という危惧がある
という内容です。
第2に、「職場の理解」があります。
・自分の所属する組織のトップ層の理解が十分ではない
所属する組織の理解が十分ではない
・「キャリアコンサルタント」「キャリアコンサルティング」というものが
知られていない
とのこと。そして
第3に、「運営上の課題」もあります。
・支援対象者に相談・支援を受けるゆとりがない
・キャリアコンサルタントの組織内における
立場や権限、受け持ち範囲が明確でない
とのこと。
■こう見てみると、
・経営層の理解
・キャリアコンサルティングを行う目的・意義の職場への浸透
・キャリアコンサルティングを行う体制づくり
などを、
トータルで設計をする必要がある、
と読みながら感じますし、
社会全体に対する
キャリア自律への教育も
必要であるように思えます。
■、、、と、以上
キャリアコンサルティングにまつわる
社会的背景や課題をざっとまとめてみました。
色々ありますが
・キャリアを取り巻く社会的背景
・キャリアコンサルティングを行う目的
・キャリアコンサルティングを実施する上での障害
など全体像をみてみると、
その裏返しとして
推進するために何が必要かを
考える機会にもなるものです。
学びになりました。
(そして、キャリアについての仕組み導入を
検討されている企業人事の方に、
同書はわかりやすくおすすめでございます!)
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
我々を救ってくれるもの、
それは友人の助けそのものというよりは、
友人の助けがあるという確信である。
エピクロス
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