今週の一冊『同志少女よ、敵を撃て』
(本日のお話 2118字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日土曜日は、1件の個別コーチング。
その他、月1で習っているピアノの稽古など。
そして、長らく読んでいなかった小説を
久しぶりに読みました。
めちゃくちゃ面白かったですし、
歴史の勉強にもなりました。
*
毎週日曜日は、
おすすめの一冊をご紹介する
「今週の一冊」のコーナーです。
今日は先日読んだ小説を
ぜひご紹介させていただければと思います。
今週の一冊は
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『同志少女よ、敵を撃て』
逢坂 冬馬(著)/早川書房
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です。
■「本屋が最もお勧めしたい一冊」。
「アガサ・クリスティー賞にて
選考委員全員が満点の5点をつけた作品!」
、、、
そんな帯の言葉、
推薦の言葉たちに惹かれて、
何気なく購入してみたのですが、
うーん、ただただ
素晴らしい作品でした。
素晴らしい作品と出会うと、
何から言葉にしたらよいかわからなくなりますが、
まさにそんな作品です。
■さて、このお話の舞台は、
1942年、第二次世界対戦下の独ソ戦です。
その中での「女性狙撃手」が
主人公となっています。
*
「狙撃兵の話」といって想像されるものは
戦争であり、実際にそんな話ではあります。
しかし、その話の解像度と
物語の構成が凄まじい迫力なのです。
おそらくそれは
著者の方が歴史に精通されている背景
(父が歴史家、ご自身も歴史を専攻されている)
また参考にした膨大な歴史的文献、
狙撃に関する文献、独ソ戦の文献、
女性狙撃手に関する文献が
フィクションとは思えない説得力と
読者を引き込む力を持って、
物語の世界に没頭させてくれます。
■話の中には、
個人の物語と、
実際の戦争における生々しさが
入り混じります。
たとえば、
・なぜ彼女が狙撃兵となったのか、
その復讐の物語の背景、
そして、
・狙撃兵の「狙撃する行為」の
ディティールについて
また、
・戦時下における社会的な圧力も含め
戦争犯罪が起こる文脈
あるいは、
・戦争後に心的外傷を負った兵士が
どのように自分を取り戻すのか
、、、
それらの
戦闘という行為
戦時下の特殊な環境
兵士の感情
戦争の歴史
などが
物語を通じて、
主に独ソ戦を取り巻く知識を
読者に与える機会になるとともに、
月次ですが、
戦争の恐ろしさを
考えることにもつながる、
そんなことを私は
感じさせられました。
特に、物語の伏線が
一つに繋がり収束に向かっていく
最後の120ページは圧巻の一言です。
■この物語の舞台である
第二次世界大戦下において
ドイツは900万人、
ソ連は2000万人と、
膨大な人命が失われています。
物語の中には、
現在のロシアにも繋がる、
ウクライナ、クリミア半島を巡る背景、
また、国民が共通して持つ物語である
「大祖国戦争」についても語られます。
物語を通じて
それらのものを理解することは
バイアスがかかってしまい、
賛否があることかもしれませんが
私は視点が広がったように感じました。
タイトルである
『同士少女よ、敵を撃て』
の「敵」とは、
果たして何を意味するのか、
ただ単純に敵国だけを表すのではない、
そんな事も考えさせられる
深みを持った作品です。
■以下、本の紹介を
引用させていただきます。
(ここから)
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【2022年本屋大賞受賞! 】
キノベス! 2022 第1位、2022年本屋大賞ノミネート、
第166回直木賞候補作、第9回高校生直木賞候補作
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌で続々紹介!
史上初、選考委員全員が5点満点をつけた、
第11回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作
アクションの緊度、迫力、構成のうまさは只事ではない。
とても新人の作品とは思えない完成度に感服。
──北上次郎(書評家)
これは武勇伝ではない。
狙撃兵となった少女が何かを喪い、
何かを得る物語である。
──桐野夏生(作家)
復讐心に始まった物語は、
隊員同士のシスターフットも描きつつ
壮大な展開を見せる。胸アツ。
──鴻巣友季子(翻訳家)
多くの人に読んで欲しい! ではなく、
多くの人が目撃することになる
間違いなしの傑作!
──小島秀夫(ゲームクリエイター)
文句なしの5点満点、
アガサ・クリスティー賞の名にふさわしい傑作。
──法月綸太郎(作家)
***
独ソ戦が激化する1942年、
モスクワ近郊の農村に暮らす少女セラフィマの日常は、
突如として奪われた。
急襲したドイツ軍によって、
母親のエカチェリーナほか村人たちが惨殺されたのだ。
自らも射殺される寸前、セラフィマは赤軍の女性兵士イリーナに救われる。
「戦いたいか、死にたいか」
――そう問われた彼女は、
イリーナが教官を務める訓練学校で一流の狙撃兵になることを決意する。
母を撃ったドイツ人狙撃手と、
母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐するために。
同じ境遇で家族を喪い、
戦うことを選んだ女性狙撃兵たちとともに訓練を重ねたセラフィマは、
やがて独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線へと向かう。
おびただしい死の果てに、彼女が目にした“真の敵"とは?
※Amazon本の紹介より引用
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(ここから)
いやはや、傑作でした。
こうした本をもっと読み進めたい、
そんなことを思った週末でした。
ぜひ読んでいただきたい一冊です。
お勧めです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<今週の一冊>
『同志少女よ、敵を撃て』
逢坂 冬馬(著)/早川書房
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