日本人が思う「最も公正な分配方法」とは ー公正と平等の違いー
(本日のお話 2475字/読了時間3分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は、終日外部人事パートナーとして
支援させて頂いている企業へのコーチング。
また夕方から2件のアポイントでした。
*
さて、本日のお話です。
先日の顧問先の企業で、
人事の皆様と最近読んだ本を紹介し合うという
勉強会を行いました。
その際に、メンバーの方から
共有された本の中に
『先生、どうか皆の前でほめないで下さい―いい子症候群の若者たち』
金間大介(著)
https://amzn.asia/d/g35IZKk
なるものがあり、面白いなあ、、、と
早速購入してみました。
今日はその著書を読み進める中で
勉強になった項目がありましたので、
その内容について
皆様にご共有させていただければと思います。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは
【日本人が思う「最も公正な分配方法」とは ー公正と平等の違いー】
それでは、どうぞ。
■しばしば混同しがちな言葉に
『「公正」と「平等」』
があります。
どちらも似たような響きがあるものの、
両者は以下のような違いがあるようです。
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【公正(Justice/Equity)】
・内容:公正とは、個々の状況やニーズに適応し、個々の違いを考慮に入れた公平な扱いを指します。
特定の状況における適切な行動や判断を問うもので、一人一人の状況や条件を考慮に入れて裁定または資源を分配します。
・語源:ラテン語の"aequitas"から派生し、"aequus"(平らな、均一な)から来ています。
元々の意味は「公平さ」や「公正さ」を含んでいます。
・例:同じテストの結果に対して、それぞれの能力や状況に応じて報酬を与える行為は「公正」です。
【平等(Equality)】
・内容:平等とは、すべての人が同じように扱われるべきであるという考えを指します。
すべての人間に同じ機会、権利、資源を提供することを主張し、
すべての人間が平等な尊厳と権利を持つという原則に基づいています。
・語源:ラテン語の"aequalitas"から派生し、"aequus"(平らな、均一な)から来ています。
"equality"は全員が同じという意味合いが強いです。
・例:同じテストの結果に対して全員に同じ報酬を与える行為は「平等」です。
※ChatGPTによる要約
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
とのこと。
■「公正」は
個々の状況やニーズの違いを鑑みて
公平に扱う。
「平等」は
すべての人が同じように扱われるべきという考えを指し、
個々の状況やニーズの違いは含まれない。
ふむ、なるほど。
平等が、公正か。
国からの様々な給付金なども
公正であるように議論され、
やんやあって結局一律支給(平等)となった場面を
ふと思い出しました。
どこで切るのかが難しいため、
この「平等か公正か」の選択基準は
なかなかに難しそうです。。。
■そんな話を踏まえて、上述の著書にて
「日本人が思う最も公正な分配方法」
というお話が紹介されていました。
これが上記の「平等」と「公正」を踏まえた
具体的な分配方法に繋がるものとして
参考になるな、と感じています。
まず「分配方法」には以下の4つがある、
と紹介されています。
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<4つの分配方法>
1)平等分配
・年齢や性別、個々の能力などの個人差をすべて無視し、
完全一律に分配することを指す。
最もシンプルでわかりやすい分配方法であると言える。
2)必要性分配
・個人の必要度に応じて分配量を変化させることで、
より多くの人のニーズを満たそうとする考え型。
(例:職務上同じ給与水準の人でも、扶養家族を多く持つ人に、
(扶養家族手当として)多めに配分する、など)
3)実績に応じた分配
・いわゆる成果主義に代表される分配方法。
多大な成果を挙げた人は、それだけ多くの労力や費用を犠牲にしたのであり、
分配はそれに応じるべきという考え方。
4)努力に応じた分配
・個人の努力量に応じて分配量を決定する。
3)の実績の応じた分配の場合、生まれ持った才能や育った環境の違いに
影響される場合も多い。そのため、努力量という100%自分でコントロールできる指標を
公正(フェア)と考える分配
※金間大介(2022).『先生、どうか皆の前でほめないで下さい―いい子症候群の若者たち』
P45-46
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
とのこと。
■上記の4つの分配方法を見ると、
【平等(Equality)】は
1)平等分配 が位置づけられ
【公正(Justice/Equity)】が
2)必要性分配
3)実績に応じた分配
4)努力に応じた分配
となる、と考えられそう。
■では、実際のところ
「日本人が思う最も公正な分配方法」とは
どれに当たるのか?
1995年のデータですが
以下のようになりました。
1)平等分配: 男性5.2%、女性7.5%
2)必要性分配: 男性9.8%、女性9.1%
3)実績に応じた分配: 男性30.4%、女性16.6%
4)努力に応じた分配: 男性51.2%、女性62.2%
つまり、「4)努力に応じた分配」が一番、
ついで、「3)実績に応じた分配」が一番、
となっていました。
■ちなみに、これを
・アメリカの大学生
・現代日本の大学生
に同じように聞いてみると
その結果は違っていました。
それぞれ最も重視するのは以下の通り。
<アメリカの大学生>
「3)実績に応じた分配」56.6%
※n=69、大学1~3年生
<現代日本の大学生>
「1)平等分配」:男性49.0%、女性53.2%
※n=211、複数大学における2~4年生、及び大学院生
とのこと。
■え?
日本の大学生は
「公正」じゃなくて「平等」が
望ましいとして選んでいるのか、、、
ここに驚きがあります。
あまり一律に捉えてはいけませんが、
このデータからの観点だと、
かつての日本は「公正」の考え方のほうが、
より大事にする人が多かった一方、
今回調査をした現代の大学生については、
「平等」の概念のほうを
より大切にする傾向が見て取れます。
■こうした結果を知った上で、
こうした大学生が組織に所属したとき、
「成果に応じたインセンティブ」
(=社長賞や表彰)
などの外的報酬を好むかどうか、
と考えてみると、
もしかすると
これまでとはそれらの「公正」を重視した制度が
機能する度合いが異なってくることもありえるのかも、、、
そんなことも考えさせられました。
■「公正」と「平等」。
そのどちらも大切な概念ですが、
どちらがより受け入れられていくのかは、
社会に所属する人の意見も
多分に影響されるものなのだろう、と感じます。
こうした公正と平等の概念、
そしてそれを形にした
様々な分配方法について、
個人的にあまり目がいっていないとも思い
こうした考え方も胸に留めおきたい、
などと思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。
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<本日の名言>
人は、人生が公平ではないことを悟れるくらいに成長しなくてはならない。
そしてただ自分の置かれた状況の中で最善を尽くせばよい。
ホーキング
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