「強みの活用」と「幸せ」はどんな繋がりがあるのか? ーある研究からの答えー
(本日のお話 2051字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日日曜日は、家族で公園へ。
またその後、30kmのランニングでした。
*
さて、本日のお話です。
本日も「強みの活用」に関して、
ある論文からの学びをご共有させていただきたく。
どんな内容かというと
”「強みの活用」と「幸福感」の関連を
大学生214人に対して調査してみた”
という研究になります。
なかなか興味深い結果でございました。
それでは、早速まいりましょう!
タイトルは、
【「強みの活用」と「幸せ」はどんな繋がりがあるのか? ーある研究からの答えー 】
それでは、どうぞ。
■ポジティブ心理では
「自分の強みを知り、強みを活用し、
自分の価値観にしたがって行動する人は
より幸福になる」
と言われています。
ただし、こうした研究は
”確かにそれっぽいけど、
実際のところどうなのよ?”
という疑問がついてまわります。
研究も1つ2つあるくらいで
そんなに多くの研究がなされていない、、、
ということも少なくなかったり。
■そんな中、
今日ご紹介する論文、
『強みの活用、自己一致、幸福感:
ストレングスコーチングとコーチング心理学者への示唆』
原題:
Govindji, R., and P. A. Linley.(2007).
”Strengths Use, Self-Concordance and Well-Being: Implications for Strengths Coaching and Coaching Psychologists.”
International Coaching Psychology Review
では、
参加者の大学生214名に対して、
・ウェルビーイングの3つの側面
を測って、それらと、
・強みの知識
・強みの活用
・有機的価値付け(大事な価値観)
も測ってみて、
それらのつながりを調査してみた、
という研究を行ったのでした。
ちなみに、
参加者は白人の出身者が多く(64%)
インド系(20%)、中国系(4%)
参加者は独身者が約8割とのこと。
日本人は、記載がありませんでした。
■どのようなモデルの研究かというと、
「ウェルビーイング」に対して、
「自尊心」や「強みの活用」が
どのような関連があるのかの相関を調べるというものです。
まず、過去の研究より、
ウェルビーイングは
以下の3つのカテゴリに分かれることが
わかっていました。
これらを従属変数としました。
1)主観的幸福感
(生活満足度と感情のバランス度)
2)心理的ウェルビーイング
(人生の課題への取り組み度)
3)主観的活力
(幸福感のよりダイナミックな側面/やる気がでるなど)
*
そして、これまた過去の研究から
これらのウェルビーイングの尺度には
「自尊心」と「自己効力感」が相関していることが
わかっていました。
よって、以下の項目を
独立変数として測定しました。
1)自尊心
(自分自身に対する全体的な肯定的評価(Rosenberg,1979))
2)自己効力感
(目標を達成する自分の能力に対する信念(Bandura,1997))
*
そして、今回の研究の
メインテーマの1つが
”「強み」と幸福感の関連を解き明かす”
ことです。よって
「強み」や「有機的価値づけ」も
独立変数として測定しました。
1)強みの知識
(自分の強みを認識し、自覚しているか)
2)強みの活用
(自分の強みを、様々な場面で使用できているか)
3)有機的価値づけ
(本人が大切と感じる価値観を知り、大切にできていると感じるか)
■そして、
これらの要素のそれぞれを
・相関分析(関連性を調べる)と
・重回帰分析(どの要素がウェルビーイングに影響を与えているか影響度を調べる)
事を行いました。
■さて、
ではどのような結果になったのか?
結論ですが、以下の3つ、
ポイントをまとめてみます。
まず、1つ目が
『「強みの活用」はすべて
(強みの知識・強みの活用/有機的価値づけ」)
「ウェルビーイング
(主観的幸福感・心理的幸福感・主観的活力)」
に関連していたことがわかった』
とのこと。
なるほど、
強みを知り、
強みを活かすことは、
ウェルビーイングにやはり関連しているのですね。
強みの活用は
幸福感の向上に大事とも言えそうです。
■そして2つ目、
こちらの方がより
興味深かったのですが、
”ウェルビーイングに対しての影響度”を
重回帰分析で見てみると、
『「強みの活用」よりも、
「自尊心」のほうがよりウェルビーイングに
影響を与えていることがわかった』
のでした。
つまり、
強みの活用も大事。
でも、幸福に近づくには、
自尊心(自分自身に対する全体的な肯定的評価)
を高めるほうがもっと大事。
ということのようです。
■そして最後の3つ目は、
『「強みの活用」と「自尊心」には、相関関係がある』
こと。
強みの活用をするから、
自尊心が高くなるのか、
はたまた自尊心が高いから
強みの活用ができるのか、
これらの因果は不明ですが、
いずれにせよ繋がりがあるようです。
■ということで、
ないよりもあったほうが
おそらく多くの人にとっては
より望ましいことであろう「幸福感」。
(私の感想ではありますが)
その幸福感の高め方として
・「強みの活用」
・「自尊心」を高める
ということ視点を持つことは
実践的にも役立つ示唆になりそうだな、、、
そんな事を思った次第です。
ちなみに余談ですが、
『自尊心の高め方』については
以下バックナンバーに記載がありますので、
よろしければご参考までに。
めっちゃいい本です。
↓
今週の一冊『自尊心を育てるワークブック―あなたを助けるための簡潔で効果的なプログラム』
https://www.courage-sapuri.jp/backnumber/10110/
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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