ポジティブな感情は拡げて築く!「ブロード・アンド・ビルド理論」
(本日のお話 2335字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は1件のアポイント。
その他、研修用の動画撮影。
自宅をスタジオ化しておりました。
妻・監督&カメラマン。
私・演者。
なかなか楽しかったです。
最近はオンライン教材を含めて
動画学習等を活用することも増えているので、
こうした撮影ももっと増えていきそうだな、
と思いました。
*
さて、本日のお話です。
一昨日は
「セルフ・コンパッション」(自分への思いやり)、
昨日は「自尊心」、
をテーマにお届けしてまいりました。
今日もそれらの話に続けて
ポジティブ心理学に関連する
ある論文をご紹介させていただければと思います。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは、
【ポジティブな感情は拡げて築く!「ブロード・アンド・ビルド理論」】
それでは、どうぞ。
■2000年頃から注目されるようになってきた
「ポジティブ心理学」。
かつては、心理学とは
”心の問題にいかに対処するか”という
ネガティブな側面に焦点を当てていました。
しかし、
ポジティブ心理学が誕生してから、
”ウェルビーイング”
(持続的な幸福)
という概念が注目されるようになり、
P(Positive emotion,ポジティブ感情)
E(Engagement,没頭や没入)
R(Relationship,良好な人間関係)
M(Meaning,人生の意味や意義)
A(Accomplishment,達成したり完遂したりする感覚)
※頭文字をとってポジティブ心理学の
「PELMAモデル」と呼ばれたりします。
なるものが、人生の幸福度を高める、
というように前向きな考え方が
注目されるようになりました。
■個人的に思うのが、
「不満があるわけではない。
でもめっちゃ幸せというわけでもない」
「そこそこ満足しているけど
なんだか物足りない」
この状態にある人は、
少なくないのかも、、、
などと思うわけです。
■ご飯も食べれてるし、仕事もある。
まあ家族も友達も、いる。
それなりに健康を享受している気もする。
、、、しかし、
マイナスがないからと言って
それは必ずしも「幸せ」というわけでもなさそう。
人から見ればいい暮らしをしていても、
意外と空虚な場合も少なくありません。
没頭、意義、達成、人とのつながり、
そうしたものを感じられなければ、
人生は、淡色で少ない色数で表された
うっすらとしたものに感じられるかもしれません。
やはり日々の中に、
自分を駆り立てるような何か、、、
「没頭」できる何か、
「人生に感じる意味とか意義」とか、
「大いなる達成感」とか、
上述のPELMAのようなものがあるからこそ、
日々を彩ってくれるように思われます。
(もちろん、これも一つの考え方ですし
人による価値観に依存します。
でもやっぱり大事だよなあ、と
思わずにはいられません)
■さて、つい語ってしまいましたが、
そうした「ポジティブ感情」がもたらす特徴について、
『ポジティブ感情の
ブロードン・アンド・ビルド理論(拡大構築理論)』
として、紹介している論文がありました。
※原題は、
Fredrickson, Barbara L. 2004.
“The Broaden-and-Build Theory of Positive Emotions.”
Philosophical Transactions of the Royal Society of London.
Series B, Biological Sciences 359 (1449): 1367–78.
です。
■曰く、この論文のポイントはこのような話。
**
・かつての心理学で研究されてた
ネガティブ感情は、「生き残るためのもの」である。
(逃走や闘争など)
・つまり、ネガティブ感情には、
思考と行動を拡大するような効果はない。
・一方、ポジティブ感情は、
対象物に「近づくという効果」がある。
(興味が湧いて、やってみたい、もっと知りたいと思い、
人や物事に近づく、ということ)
・ポジティブ感情を構成する概念の
「喜び・興味・満足・愛」などもそうである。
喜び=遊びたいという衝動
興味=探索したいという衝動
満足=味わい尽くしたいという衝動
愛=安全で親密な人間関係をつくりたい
をもたらすと考えられる。
・これらは結果として、
”創造的な行動やアイデア”や”社会的絆の発見”など
身体的・知的資源や、社会的・心理的資源などの個人資源を構築することに繋がる。
・そしてそれらの資源が結果的に対処や生存に繋げる確率を高める。
とのこと。
■つまり、
「ポジティブ感情は
(近づきたいの対象物を)拡げて
(結果的に様々な資源を)築く」
ということで
『ブロード・アンド・ビルド理論』
と読んだ、とのことでした。
ちなみに論文では、
・ロサダの研究(1999):
60組の経営チームを調べた結果
ポジティブな発言が多いほうがパフォーマンスが高い
・ゴッドマンの研究(1994)
79組の夫婦を観察し、肯定的な言動に焦点を当てているほうが
対立への解決に向かう可能性が高い
などの経験的証拠を集めて、
上記の理論を支持するもの、
としています。
■この話に関して、
個人的に思い出すことがありました。
最近の研修の打ち合わせで
お世話になっているクライアントさんが
こんな事を語られていました。
若手向けのキャリアやリーダーシップ研修の一つです。
「”これからの未来が大変”とか
”生き残れるか”というメッセージも必要かもですが、
そうやって暗くなるよりも
”まだ若いし、色々と冒険もできるし、
学ぶことも楽しい”
そんなことに気づける場にしたいですよね」
、、、と。
たしかにそうだな、、、、。
生き残るためにどうするか、
こうした不安を煽るだけのアプローチでは
つまり「近づく」、とか「拡げる」に
必ずしも繋がらないかもしれない。
それよりも
ポジティブな気持ちを育み
冒険すること、学ぶことを
楽しんでいこうという気持ちを刺激する。
その方が、結果的に自らの
身体的・知的・心理的・社会的な資源が
構築されることに繋がるのだろうな、、、
と思い、
まさに上記の
『ブロード・アンド・ビルド理論』だな、
と感じたのでした。
■ポジティブな感情を利用すること。
没頭する、意義を感じる、
達成感を覚える、、、
自分の今のステージから
そんなポジティブ感情を覚えられそうな何かを見つけ、
そして行動することで
”拡げ、構築する”ことができたら
とっても素敵なことだな、
そんな事を思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
おとなは、だれも、はじめは子どもだった。
しかし、そのことを忘れずにいるおとなは、いくらもない。
サン=デグジュベリ
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