25の論文レビューでわかった!(その2) 「職場における強み開発」の介入方法を一挙にご紹介
(本日のお話 2705字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は2件のアポイント。
ならびに、組織開発における
調査インタビューの実施でした。
*
さて、本日のお話です。
本日も、昨日に引き続き
「強み」に関する論文について、
後半のお話をお伝えしてまいりたいと思います。
最近の個人的ヒット論文、、、!
続きが気になりますね。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは
【 25の論文レビューでわかった!(その2)
「職場における強み開発」の介入方法を一挙にご紹介 】
それではどうぞ。
■先日もご紹介いたしました論文、
『職場における強みの活用:文献レビュー』
Miglianico, Marine, Philippe Dubreuil, Paule Miquelon, Arnold B. Bakker, and Charles Martin-Krumm.(2020).
“Strength Use in the Workplace: A Literature Review.”
では、以下の目的がありました。
それが、
1)「組織における強み活用」の成果の要約を提供すること
2)「職場における強み開発」に関する文献で言われる主な介入マップを提示し、統合モデルを提案すること
の2つです。
そして本日は、後半の
「2)職場における強み開発」について
25の論文を調べた結果の紹介をさせていただければと思います。
■さて、「強みの活用」は
・仕事における積極性、創造性、
・仕事の満足度、
・ワークエンゲージメント
などなど様々な影響をもたらすことはわかっています。
*
一方、実務家目線に立つと、
ある疑問も湧いてきます。
「じゃあ職場において、
強みを伸ばすためにどう介入方法するのさ?」
と。
■本論文の後半では、
まさにこの疑問に答えていきます。
25の論文においてどのような介入方法があるのかを、
網羅的に調査し、まとめています。
そして、様々な介入方法を統合した
「強みに介入の統合モデル」を提案しています。
全部お伝えすると長いので、
今日はいくつかの論文で紹介されていた介入方法を
合計7つまとめてみました。
ということで、早速みてまいりましょう。
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【「組織における強み開発」の介入パターンと結果】
<1)Harzer & Ruch(2016)>
◯論文:
『Your strengths are calling: Preliminary results of a web-based strengths intervention to increase calling』
◯介入方法のまとめ:
1,VIAサーベイを活用し、自分の4つの高い性格的強みを特定した。
2,日々の活動でどのように使用しているかを振り返った。
3,その後、4週間にわたり、4つの主な強みを「職場で新たな別の方法で使う」事を求めた。
4,「if-then(もし◯◯だったら、XXする)計画」を立てた
◯結果
・1ヶ月後には、天職と生活満足度の向上が見られた
***
<2)Forest(2012)ら>
◯論文:
『Harmonious passion as an explanation of the relation between signature strengths' use and well-being at work: Test of an intervention program』
◯介入方法のまとめ:
1,VIAサーベイを活用し、自分の主な性格の強みを特定した。
2,「職場で最高の状態にあるときの自分自身」を記述してもらった。
3,その後2週間にわたって、「職場で自分の強みを2つ新しい方法で使用する」事を求めた
4,2週間後、参加者は「どの強みを使ったのか?」「現在の仕事でその強みを使うことがもたらすポジティブな結果は?」について考えた
◯結果
・2ヶ月後の結果で、強みの使い方の改善がされた
・「幸福感」や「調和のとれた情熱」が高まった
***
<3)Meyers & Van Woerkom(2017)>
◯論文
『Effects of a strengths intervention on general and work-related well-being: The mediating role of positive affect』
◯介入方法まとめ
1,参加者に進め方を説明した(「強みの特定」→「強みの開発」→「強みの活用」の流れ)
2,特別に開発された「強みカード」と「質問」を使って、3つの「強みの特定」をした
3,専門家による、「強みの開発」と「強みの活用」のトレーニングに参加した
4,参加者同士でパートナーを選び、強みの活用と開発に関して、進捗状況をチェックしあった
◯結果
・参加者のポジティブ感情が短期的に上昇した
(介入後1ヶ月でベースラインに戻った)
・心理的資本(自己効力感、楽観性、希望、回復力)も短期的に上昇した。
1ヶ月のフォローアップ期間中も維持された
***
<4)Dubreuilら(2016)>
◯論文
『Facilitating well-being and performance through the development of strengths at work: Results from an intervention program』
◯介入方法まとめ
1,識別:VIAサーベイを使って自分の強みを確認した
2,統合:3時間の対面トレーニングを行い、「自分の強み」が「過去・現在の成功」にどのように貢献しているかを話し合った
3,行動:具体的な質問を通じて「現在の仕事において自分の強みをよりよく活用するにはどうしたらよいか?」を仲間と共に計画した
◯結果
・介入3か月後、ベースラインと比較して
強みの活用が有意に増加したことを示した。
***
<5)Van Woerkom & Meyers(2019)>
◯論文
『Strengthening personal growth: The effects of a strengths intervention on personal growth initiative』
◯介入方法まとめ
1,事前:ストレングス・ファインダーのアセスメントを実施
2,1回目ワークショップ:個人の強みを発見し、職場での強みの活用に関する計画を立てた
3,2回目ワークショップ:4週間後に開催。最初の取り組みのフォローアップと発展を目的に行った。
ジョブ・クラフティングの概念の紹介→ 課題分析演習→ 仕事の一部を自分の強みに合わせるプランを立てる
◯結果
・一般的自己効力感に直接的な効果があり、個人の成長意欲に間接的な効果をもたらした
・なお、特に一般的自己効力感が低いか中程度の参加者が、介入から最も恩恵を受けた。
***
<6)その他、Robert et al>
◯強み開発の『リフレクテッドベストセルフ』
1、同僚からフィードバックをもらい、強みを特定、開発する
2,「自分が最高の状態にあるときの自分」を記述し、分析する
3、仕事上の目標に関連して、強みを最大限に活用する行動計画を策定する。
(※深い内省を行う時間や、個人コミットメントが高い場合に有効な施策である)
<7)その他、 Linley(2008)>
◯『リーダーの強みを発展させるための介入ステップ』
1,自分の強みと弱みを知り、それを受け入れること
2,チームメンバーの強みと弱みをしり、どのようなものであれ尊重すること
3,最も適切な強みを持つ人に仕事を割り当てること
4,ポジティブなフィードバックを与えること
5,受容と進歩を可能にするために、純粋かつ適切に弱みを開示すること
6,「黄金平均」の原則(適切な強みを、適切な量だけ発揮すること)
7,「組織風土エンジニア」としての役割を認識すること(リーダーは組織文化を作る)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
とのこと。
■なるほど、、、
実に色々な介入があることがわかりますね。
「VIA」を使ったもの、
「ストレングス・ファインダー」を使ったもの
「フィードバック」を使ったもの、
何れにせよ、
強みを特定→ 強みの行動計画
という流れは大きくどれも変わらず、
そして一定の効果があることが見て取ることができます。
実際に、私も「介入する側」として、
上記のステップを踏むイメージ、
そしてそれによってもたらされる成果も
感覚としてわかる気がします。
■介入施策も、
このようにいくつかのパターンを知り、
その進め方や効果を整理することで、
「なぜ、こうした進め方をするのか?」
により腹落ち感を持って進めることもできますし、
また介入の幅も広がるようにも思えます。
ということで、また
こちらでご紹介させていただいた個別論文は
読み解きながらご紹介させていただければと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
人が何かを成し遂げるのは、強みによってのみである。
弱みはいくら強化しても平凡になることさえ疑わしい。
強みに集中し、卓越した成果をあげよ。
ピーター・ドラッカー
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