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3656号 2024年2月28日

自信がないほど効果あり?!「強み介入」が小学生の心理的健康に与える影響とは

(本日のお話 2356字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は2件のアポイント。
また、7kmのランニングでした。



さて、本日ご紹介の論文は「強みの介入が”小学生”の心理的健康に与える影響」についてです。

以前の記事では、中学生に対する「強みの介入」を行った研究についてご紹介いたしました。そして、強みの認識・注目の介入によって生活満足度が高まり、抑うつ症状が低減されることがわかりました。(詳しくはこちら↓)

では、「小学生」を対象にしても同じような結果となるのだろうか?これが本論文のテーマとなります。ということで早速みてまりましょう!

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<今回ご紹介の論文>
鈴木伸子, 石田靖彦, 鈴木美樹江, 中川照美, and 伊藤くるみ. (2023).
“学校における強み介入が小学校高学年児童の心理的健康に及ぼす効果.”
日本教育心理学会総会発表論文集 65: 345.
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■30秒でわかる本論文のポイント

・本研究では、小学生6年生59名を対象に、合計3回目の授業を通じた「強みの認識・注目・活用の介入」を行った。

・介入前の「精神的健康」「自尊感情」について、両得点が高い「高群」と低い「低群」を分けて調査をした。

・その結果、「強み介入」は、介入前の「精神的健康」「自尊感情」の高低によってその影響度が変わっていた。具体的には、介入前の健康度が低い群のほうが効果量が高く、効果的であることが示唆された。

とのこと。

なるほど。精神的健康度と自尊感情が低い児童ほど「強み介入」のインパクトが大きい、というのがポイントのようですね。どういうことなのか具体的に見てまいりましょう。

■研究の全体像

◯研究の背景
今回の研究の背景ですが、「子どもを対象にした学校による強み介入の研究」は先行研究が存在するものの、「介入前の精神状態」も強みの介入に影響するのでは? じゃあ、そのことを踏まえて調査しよう!というのが本研究のテーマの一つとなります。

◯対象者とプログラム内容
今回の対象者とプログラム内容は以下の通りでした。

●対象者:・某県の公立小学校6年制の児童59名(男子31名、女子28名)

●プログラム内容:全3回の授業(+課外ワーク)
・1回目授業:「強みを知ろう」
・1回目課外ワーク:「周囲の人の強みを観察しよう」
・2回目授業:「友だちの強みを見つけよう」
・2回目課外ワーク:「強みを活用しよう」
・3回目授業:「自分の強みを見つけ、伸ばそう」

◯調査方法と測定尺度
次に、調査方法と、測定尺度についてご紹介します。
以下の「強み」と「心理的健康」について、介入前・介入後・介入3か月後で測定をしました。

<測定尺度>
●「心理的健康度」について
・「精神的健康」 4項目
・「自尊感情」4項目
※自記式の「Kid-KINDLR 小学生版 QOL尺度」(柴田ら,2003)
※リッカート5件法で測定(高得点ほどQOLが高い)

●「強み」について
・児童用強み認識尺度(小國・大竹,2017) のうち4 項目,
・「自己の強みへの注目」(子ども用強み注目尺度_阿部ら,2019 )4項目
・「他者の強みへの注目」(子ども用強み注目尺度_阿部ら,2019 )4項目
・児童用強み活用感尺度(小國・大竹,2017)4項目
※リッカート4件法で測定

◯(補足)子供の「心理的健康」の測定方法

さて、今回のポイントは、心理的健康度(精神的健康+自尊感情)が元々高かった高群と低かった低群に分けてグループの変化を調査したことです。

そして、これを測定するために自記式の「Kid-KINDLR 小学生版 QOL尺度」なるものを本研究では活用しています。これは子供のQOL(Quality of Life)を測定する健康関連の尺度で、6つの尺度(身体的健康・精神的健康・自尊感情・家族・友だち・学校生活)で構成されています。

■調査結果
今回の心理的健康度が高い群は39名(66.1%)、低い群は20名(33.9%)でした。そしてそれぞれ項目について、高群・低群と、介入前・介入後・介入3ヶ月後の結果のデータを測定しました。調査結果について、以下ポイントです。

●わかったこと1:精神的健康・自尊感情が高い群のほうが、全体的な得点が高かった(強みの認識・注目・活用感)

●わかったこと2:精神的健康・強みの注目・強みの活用感は、介入前より介入後のほうが高まっていた(高群低群いずれも)

●わかったこと3:精神的健康・自尊感情が低い群(低群)のほうが、介入による影響が大きかった

■まとめと個人的感想

結果を見たときに、精神的健康や自尊感情が低いと、強みの認識も、自己への強みの注目も、他者への強みの注目も、強みの活用感も低くなるというのは、想像はしていましたが、これほど如実に出るものなのだ・・・とハットさせられました。

一方、低いからこそ、介入のインパクトも大きく、特に精神的健康度については、高群は介入前89.82→3か月後90.00(+.018)だったのに対して、低群は、介入前54.93→3か月後72.70(+17.27)となっていたのは、こうした介入の可能性を感じるものでもありました。

こうした授業が広がると、クラスの関係性もしかり、子ども同士の多様性を認めるきっかけにもなるとも感じます。ぜひ、もっと多くの学校に広がってほしいなあ、そんなことも感じる研究でございました。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

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よろしければぜひご覧ください。

<noteの記事はこちら>

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<本日の名言>

私は社員をほめて、ほめて、ほめ抜く。
そうすることによって、ほめられた人はよりレベルの高い自分にチャレンジするのです。

リチャード・ブランソン
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