書籍『Character Strengths Interventions』を読み解く #13 ~「強み介入の適用方法」(第7章)~
(本日のお話 2756字/読了時間5分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は2件のアポイント。
その他、VIAを用いた研修プログラムの開発、
そして夜は大学院の仲間のプロジェクトの壁打ちでした。
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さて、本日のお話です。
本日も強みシリーズ「書籍『Character Strengths Interventions』を読み解く」をお届けいたします。
さて、今回のお話は第7章の「強み介入の適用方法」です。ここまでの章では、強みについての概念の説明や、強みをどのように実践に活かすのかという全体的な戦略、また強みを活用する上で注意すべきことなどをが、研究的な文脈で語られてきました。
7章からは、具体体に「強みの介入」(=強みを活用して成果を得る)ための枠組みが明示されていきます。そして続く8章で、強み介入のアクティビティ70種類が紹介されています。
多くの強みを活かしたい人、また強みを引き出す実践者にとって、そのまま使える大変有益な内容になっていると感じました。
ということで、それでは早速みてまいりましょう!
■強みの介入で高められる8つのカテゴリー
強みの介入で高めることができる代表的なものは「ウェルビーイング(幸福感)」とされます。一方、組織的な目的のためには、強みの介入は8つのカテゴリーに分けることができる、としました(ちなみに、そのカテゴリーそのものが目的であり、成果となるものです)。以下のものです。
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<強みの介入で高められる8つのカテゴリー>
1,性格の強みの認識
2,性格の強みの活用
3,意味と関与
4,特定の性格の強み(例:感謝、愛情、スピリチュアリティ)
5,ポジティブな関係
6,レジリエンス(問題管理)
7,目標設定/達成
8,マインドフルネス
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ただ、強みの介入のワークは、まだその精緻さについては発展途上である、と述べられています。たとえば、ある介入が「認知的な幸福感」にはポジティブな影響を与えるが「感情的な幸福感」には影響を与えない、というような細かな介入効果のニュアンスの違いには、言及できるほどではない、ということです。
■強みの介入を成功させるための最適条件
強みの介入には、様々な方法があります。ただし、それらの介入をやったからといって、すべてが効果を発揮するとは限りません。その介入効果を最大限に得るための「条件」があると述べています。
その条件とは「個別化と文脈化」です。
つまり、クライアント個人個人の独自性を理解し、その文脈に合わせた介入を選択するということです。以下のような問いに肯定的な回答が得られるような、そのような介入が効果を発揮しますです。
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<クライアントに合わせた介入を選択する視点>
1,自然 (この活動は、やっているうちに自然に身につくものだと思いますか)
2,楽しさ(この活動は楽しいと思いますか?面白い、楽しい挑戦と感じますか)
3,価値(この活動がもたらす結果ではなく、その活動自体に価値を感じていますか)
4,罪悪感(この活動に参加する理由は何ですか? そうでなければ、不安や罪悪感、恥ずかしさを感じるものですか ※逆評価)
5,状況(強制されていると感じたり、誰かを喜ばせたいと思ったりして、この活動をしていますか? ※逆評価)
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ある能力を獲得する上で、個人に対する縦断研究の結果によると、個人内の要因として「動機づけと努力(意思と方法)」の両方が必要であるとわかりました(Lyubomirskyら, 2011)。
またLavous(2013)は、介入方法とクライアント個人が、ポジティブな相互作用を生み出すために以下の3つが必要であると述べました、
1)活動自体の特徴(投与量・多様性・順序)
2)本人・クライアントの特徴(意欲・努力・自己効力感・信念・社会的支援・性格)
3)本人と活動の適合
Lavous(2013)
■強みのアクティビティと研究のエビデンス
そして、ここから具体的に強みのアクティビティについて述べることになるのですが、非常に興味深いところがありました。本書の特徴は「強みの研究者による強み介入の著書」です。
ゆえに「強み介入のアクティビティ70種類」に対して、長所や応用可能性、研究結果や理論的な根拠について「研究のエビデンス」を併せて示しているところです。そのことによって、実践する上での信頼性も高まると感じます。
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<強みアクティビティと研究のエビデンス>
1,対照介入研究による介入
(例:CSI 20:強みの整合性)
2,強みに関する対照研究から成功した介入のバージョン
(例:CSI 16:ホリスティックな強みの使用)
3,対照研究からの介入。ただし性格的強みを統合要素として使用した
(例:CSI 64:最高の自己)
4,ピアレビュー、または学術論文で議論された介入
(例:CSI 43:強みを他者指向にする)
5,相関研究から推定された介入
(例:CSI 41:性格的強みの評価)
6,理論的概念から推定された介入
(例:CSI 59:あなたの強みのホットボタンを管理する)
7,研究サポートを持つ全体的なプログラム内の介入
(例:CSI 70:強みガーサ)
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■オーダーメイドの介入パッケージ
また、本章では70あるアクティビティについて、「目的に応じた介入パッケージ15選」が紹介されていました。
アクティビティを複数組み合わせて、また順序立てることで、様々な目的を達成することができる、という大変ありがたい提案です。たとえば、このようなパッケージがあります。
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<オーダーメイドの介入パッケージ例>
・VIAの紹介と性格的強みのワークが初めてのクライアントのために
・VIAのプログラム”強みに基づくマインドセットの創造”要約版
・幸福感を高めるワーク集
・気づくー探るー応用する
・一般的な強みの使い方 ーあなたのロードマップー
・強みのリフレクション
・あなたの性格的強みを広げる
・強みを学ぶ人々のためのワークショップを指導する(forベテラン実践者)
・怠惰の代償(気だるさから抜け出す)
・強みをより深く掘り下げる
・管理職として従業員をサポートする
・学校で生徒と強みを学ぶパッケージ
・健康を完全する
など
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■まとめ
いよいよ本書も、盛り上がってきました!という印象です(浅い感想でごめんなさい)。しかし、実際に研究データもよいのですが、それで得られる「果実(成果)」にこそ興味があるのは正直なところ。
そして、まだ日本の書籍では「強み介入のアクティビティ」について研究の背景を含めて明示している書籍は、私の知る限りお見かけしたことがありません。ゆえに、ここからのアクティビティの紹介が非常に楽しみです。
いよいよ次は第8章です。期待が高まります。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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