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3754号 2024年6月4日

書籍『Character Strengths Interventions』を読み解く #15 ~強みの研究に基づく介入策(第8章_前半)~

(本日のお話 3541字/読了時間6分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は、初めての「VIAを活用した強み発見ワークショップ」の企業版でした。
色々と実施をさせていただく中で気づいたこともあり、有意義な時間でした。
強み活用のアンケート等もしっかり取って頂く予定なので、
強みの注目などがどれくらい変わるのかが興味深く、結果が楽しみです。



さて、本日のお話です。

今回で15回目となりました強みシリーズ「書籍『Character Strengths Interventions』を読み解く」。いよいよ実質の最終章
第8章にやってまいりました。

本章では「強みの研究に基づく介入策」として、「強みを活用するための70のアクティビティ」をその目的・進め方・注意点についてどんどん紹介するという肉厚な内容となっています。

さすがに70のアクティビティを全部紹介は難しいのですが、その中で王道とされるパッケージを、本日は抜粋してご紹介させていただければと思います。

それでは早速まいりましょう!

■目的別15の強み介入プログラム

以前の記事で紹介していましたが強みの介入は、「目的別のプログラム」として、著書において15の組み合わせパターンが紹介されていました。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<強み介入パッケージ ー70のアクティビティの組み合わせで実現可能ー>
1,VIAの紹介と性格的強みのワークが初めてのクライアントのために
2,VIAのプログラム”強みに基づくマインドセットの創造(要約版)
3,幸福感を高めるワーク集
4,気づくー探るー応用する
5,一般的な強みの使い方 ーあなたのロードマップー
6,強みのリフレクション
7,あなたの性格的強みを広げる
8,強みを学ぶ人々のためのワークショップを指導する(forベテラン実践者)
9,怠惰の代償(気だるさから抜け出す)
10、強みをより深く掘り下げる
11、管理職として従業員をサポートする
12,学校で生徒と強みを学ぶパッケージ
13,健康を改善する
14、ストレスに対処する
15、自己啓発に取り組む
https://note.com/courage_sapuri/n/n6547518a555a
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

■初めての方向け「強み介入プログラム」の例

15のパッケージ、どれも実に気になるところですが、今回はこの中で、最も基本となる「1,VIAの紹介と性格的強みのワークが初めてのクライアントのために」について紹介したいと思います。

このプログラムは、以下の5つのアクティビティで出来上がっています。(「CSI(Character Strengths Intervention)」というのが、本書で紹介されているアクティビティの番号となります)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<1,VIAの紹介と性格的強みのワークが初めてのクライアントのために>
CSI1:はじめに:性格の強みの紹介と探求
CSI 2:VIAを受ける
CSI 3:自分の強みを肯定する/大切にする
CSI15:領域をまたがる特徴的な強み
CSI11:新しい方法で特徴的な強みを使用する
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

では、実際にどのような内容なのか、各CSIの概要・目的・ステップを簡単にまとめてみたいと思います。

◯CSI1:はじめに:性格の強みの紹介と探求

【概要】
強みの実務家は、クライアント、従業員、または学生に性格の強みを紹介する方法やそのタイミングを検討するところから始めます。ここでは性格の強みを紹介し、探求するための方法を紹介します。

【目的】
・強みの探求の作業の準備をする
・クライアントの性格の強みの理解を助ける
・性格の強みを紹介するためのフレームワークを使用する
・会話を開き、強みの探求に入るための重要な質問を理解する

【ステップ】
1、「なぜ強みなのか」に答えることから始める:一般的に、なぜ強みや性格の強みが重要なのか?強みのポイントは何か?を説明する
2、「クライアントに焦点を絞る」:この特定のクライアントにとって性格の強みが重要な理由は何か?を探求する
3,「強みは何か」を説明する:性格の強みとは何か?について説明する
4,「どうやって」を説明する:強みベースのアプローチをどのように取るのか?キャラクター強みを使ってクライアントをどのように助けるのか?を説明する(VIAの受検方法など伝える)

◯CSI 2:VIAを受ける

【概要】
自分の最良の資質、つまり性格の強みを理解することは、ポジティブ心理学の中心であり、実務家とクライアントが自分自身とお互いをよりよく知るための出発点です。2004年以前は、これらのトピックについて話す共通言語はありませんでした。しかしVIA研究所は、これらのポジティブな属性を評価するための科学的に生成された、文化を超えた言語を世界にもたらしています。

【目的】
・性格の強みを評価する
・自分の最強の資質を認識する;性格の強みの言語に精通する。

【ステップ】
1,VIA研究所のウェブサイトにアクセスし、希望するテスト(VIA 大人版or ユーズ版)を選択し、24の性格の強みを評価する質問に回答する。
2,テスト完了後、結果を印刷し、性格の強みのランキングを1から24まで提供します。結果に最も驚かされた点に注目し、行動を起こす意欲を感じたら、特にその点に留意します。
3,オプションで、VIA調査結果に関する個別の解釈レポートを取得することを検討してください(より詳しく知りたい場合、有料で解釈レポートを取得することができる)

◯CSI 3:自分の強みを肯定する/大切にする

【概要】
人は自分自身を善良で、道徳的で、能力のある人間として世界的に見たいと思うものです。VIAサーベイを受け、結果のランク付けを受けることは一つのことであり、その資質(強み)が自分という人間を表現していることを理解し、認め、自分のような人間におけるそれぞれの重要性を評価することです。

【目的】
・自分の最高の強みを自分の人生における価値として捉える
・自分の最高の強みを支持し、肯定し、自分の人生における強みの重要性を理解する。

【ステップ】
1. あなたが大切にしている性格上の強みを1つ挙げる。
2.その性格の強みが、なぜあなたの人生にとって意味があり、重要なのかを書く。
3.オプション:ストレスの多い状況やプレッシャ ーのかかる状況に入る前に、すぐにこの活動を行うことを検討してみる。

◯CSI15:領域をまたがる特徴的な強み

【概要】
人は自分の得意分野を狭く使う傾向があり、それが潜在能力を制限してしまいがちである。ある人は、自分の強みである「思慮深さ(慎重さ)」を仕事に生かす方法をたくさん見つけるかもしれない。しかし家族関係や社会関係の領域では、その応用を見出すことに苦労することがある。これとは対照的に、家族や友人との 関係では「愛情」の強みを生かす方法を見つけられるが、職場では生かせないと主張することがある。

【目的】
・自分の上位の強みを実践し、応用する。
・強みが発揮されるシチュエーションの幅を広げ、特徴的な強みの意識と使い方を強化する。

【ステップ】
1,自分の得意分野を1つ選ぶ。あなたがもっと理解し 、向上させたいと思う強みを選んでみる。
2,.あなたの生活の中で、定期的に取り組んでいる領域を3つ選ぶ。
(例:家族、人間関係、社会、精神活動、コミュニティ、スポーツ、学校 、仕事など)
3,このうち1つの領域で、この特定の強みをどのように使うことができるかについて書く。
(書く内容 は、その領域での過去の使い方を反映したものもかもしれないし、強みを使う新しい方法、再構築した方法もあるかもしれない。それぞれの場面で強みを行動に移すための具体的な計画を立てる。行動を起こす期間を決める)

◯CSI11:新しい方法で特徴的な強みを使用する

【概要】
特徴的な強みの特定と使用は、ポジティブ心理学の真髄ともいえる訓練である。研究によると、特徴的な強みを持つグループは、文化や集団を超えて成功することが示されている。

【目的】
・強みの自覚を次のレベルに引き上げる
・自分の最高の資質に関する知識と活用の幅を広げ、ありのままの自分に従 って行動する

【ステップ】
1,VIAアンケートまたはVIAユース・アンケートに答える。
2,順位をつけた結果を確認しながら、自分の強みを 1つ選ぶ。
3,1週間、毎日新しく異なる方法で力を使う。
(それぞれの強みをどのように使い、いつ、どこで、どのようにその強みを使ったかに注意する。そうすることで、自分の行動、感情、文脈をさらに関連づけることができる)

※自分の強みを新しい方法で生かす方法を 思いつかない人もいる。そのような場合は、24 の各項目について、その例を示した資料を配布するとよい

■まとめと個人的感想

自分自身が行っている強み介入のワークショップと照らし合わせてみると、CSI1:性格の強みの紹介と探求、CSI2:VIAを受ける、などは同じですが、その後の探求を、強みの解釈レポートの読み解きや対話で深めるようにしています。

これも一人ずつ行うのもよいのですが、グループで行うことで、自分の強みの独自性も明らかになり、「自分の強みが特別なものであり、肯定する」ことに繋がるようにも思っています。

こうした指標があることで、全体の王道の流れも理解でいますし「こういうアクティビティも、今回の目的に対して機能しそうだな」ということもイメージが広がると感じました。

実際の書籍では、英語版ですが各CSIごとに1枚のPDFでまとめられている内容が別でダウンロードができる仕様になっています。こうした内容がもっと日本でも広がり、活用されると、教育現場で、地域コミュニティで、職場で、もっともっと使える様になりそうだな、そんなことを感じさせられた章でございました。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

※本日のメルマガは「note」にも、図表付きでより詳しく掲載しています。
よろしければぜひご覧ください。

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