「刺さる強みのフィードバック」の2つの条件
(本日のお話 2935字/読了時間5分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は5件のアポイント。
また研修の準備などでした。
*
さて、本日のお話です。
先日より、ストレングス・ファインダー・VIAなど、
強みのワークショップを行っていますが、その際に「刺さる強みのフィードバック」とそうではないものがあるように感じています。
今日はその理由について考えてみたことを言葉にしてみました。
少し長いのですが、よろしければお付き合いくださいませ。
それではまいりましょう!
タイトルは、
【「刺さる強みのフィードバック」の2つの条件】
それではどうぞ。
■「久しぶりに、褒めてもらった気がする」
「強みのフィードバックは、照れくさいが嬉しい」
ストレングス・ファインダーのワークショップにて「強みの相互フィードバック」を行った際に、頻繁に耳にする言葉です。
強みのフィードバック、大きく言えば、ポジティブなフィードバックは「相手を承認する行動」です。受け取った相手が、嬉しいか嬉しくないかで言えば、基本的に「嬉しいもの」。このことに異論を唱える人は少ないはず。
特に、社会人になって、しかも上の立場になると、「承認の言葉(褒めてもらう)」ことは少なくなります。強みのフィードバックをされた管理職野方で「数年ぶりに褒めてもらった気がする・・・(涙)」という方もお見かけしました。
■心に響く or 響かないの違い
さて、そんな基本的に嬉しい「強みのフィードバック」。
しかし、よくよく見てみるとそれでもなお、「心に響くフィードバック(刺さるフィードバック)」と「あんまり響かないフィードバック」にわかれる印象があります。
「心に響くフィードバック」は、言葉どおり心を揺さぶり、受け取った本人が涙を浮かべる様子すらあります。
数十年来の戦友に感謝の言葉を述べた(述べられた)とき。
会社の代表から強みのフィードバックをもらったとき。
尊敬する上司から褒められたとき。
先にお伝えすると、心に響くための条件の一つはまず、「誰から言われたかフィードバックか」は、非常に大きいといえそうです。
一方「あんまり心に響かないフィードバック」は、「へー、そうなんだ」「意外だった!」という言葉で表現されますが、あんまり感動・嬉しいという感情の揺れは少ないように見えます。
その強みのフィードバックにより、新しい視点の驚きはあるし、まあ嬉しい。でも、なにか引っかかっているところがあるような感じです。
「誰から言われるか」というのは極めて大きな要素ですが、それ以外の要素を考えた時に、「何が心に響くor 響かないを分かつのか」が気になって、個人的に考察をしてみたのでした。
■心に響くフィードバック
まず、「心に響くフィードバック」について考えてみたいと思います。(ちなみに、ここでのフィードバックは「強みのフィードバック編」と限定します)。
◯「自分の願い」に沿うものである
最初はここです。「自分の願い」(こうありたい、ここをこだわっていると自分が意識しているもの)に触れたフィードバックは、非常に嬉しいと思われます。
逆に言えば、強みのフィードバックをされても、自分の願いがあるわけではない領域は、褒められてもあまり響かないことがある気がします。
たとえば、私の場合。ストレングス・ファインダーで「最上志向」があり、”もっともっと、まだまだという飽くなき向上心”を褒められることがあります。あるいは「個別化」という”それぞれの人の強みや特徴に目を向ける”という態度を褒めていただくことがあります。
それらのものを承認されるのは嬉しいのですが「ありがたいです」となるものの、「めちゃくちゃ嬉しい」とはなりません。
では、どういう褒め言葉だと嬉しいかというと「たとえ話、めっちゃわかりやすかったです」「話が上手ですね!」というように「コミュニケーション」の資質(言葉にする強み)を褒めてもらうと、非常に嬉しいのです。
これは何が違うかというと、全社の「最上志向」や「個別化」は、自分にとって当たり前の思考・感情・行動のパターンですが、「こうありたい」という願いがダイレクトに反映されているものではありません。
一方、「コミュニケーション」(=言葉で人を動かす、人に書いたものや喋ったものをすごいと言われることが嬉しい)というのは、「そうありたい(もっと喋りをうまくなりたい)」と思う『私の願い』が反映されているからこそ、その部分を褒めてもらえると「めっちゃ嬉しい」となるのです。
つまり、「そこそこ!そこを突いてほしい!」というところ(=自分の願いが現れた部分)を、ピンポイントで突いてもらえると、感情が揺さぶられるのではなかろうか、と考えたのでした(仮説です)。
■心に響かない「強みのフィードバック」
次に、心に響かないフィードバックの考察です。私の考えですが、「こういうのよくある気がする」という例を紹介いたします。
◯「表面の結果」を褒められてもあまり響かない
表面の結果より、深い部分(アイデンティティ)を褒められたほうが嬉しい、というのはあるかもしれません。
「私は『親密性』が強みだと思っていたけど、周りからは『コミュニケーション』が強みだとフィードバックをもらった」
「私は『向学心』が強みだと思っていたけど、周りは『自律心』が強みだとフィードバックをもらった」
このような「自分の強みの認識」と「他者からの強みの認識」が違っているパターンがありますが、これはあまり心に響かないように見えます。なぜかというと、その理由は2つあるように思いました。
1つは、「表面の結果」を褒められるからではなかろうかと思います。
たとえば、その人がが『親密性』(=相手と親密な関係を気づきたい)という動機から出てきた「表面の結果」が、「相手に話しかける」「相手に質問をしたり、多くの言葉を交わしている」として表出したとします。
すると周りは「コミュニケーションの強みがあるね」と認識したとします。これは、自分が認識している強みと他者から承認される強みが、微妙にズレることになり、受け取りづらいように感じるものです。
「その言葉が自分の認識と当てはまっていない、ちょっと違うと感じる」となり、心にはあまり響かない(そのまま受け取れない)となるのかもしれません。
◯「強みの言葉の概念」が相手と違っている
また似ている話ですが「強みの言葉の概念が相手と違っている」こともあるでしょう。
先ほどのように「コミュニケーションの強みがすごい」と言われたとします。しかし「コミュニケーション」という言葉は抽象度が高く、解釈の幅を持っています。
ストレングス・ファインダーでいう『コミュニケーション』の資質は「話しながら考えられる、比喩が上手、言葉で相手を動かすと嬉しい」など「話して伝える強み」とされます。
しかし、こういう言葉の認識を持っている受け手と、そうではなく「話を聞くのが上手・リアクションが上手・表情が豊か」=「コミュニケーション」と定義している人では、その「コミュニケーション」の言葉が意味する内容が、自分と相手でズレることになっています。
そうすると、「(ストレングス・ファインダーでいう)はコミュニケーションには自分は当てはまらないと思うけど、皆はどういう定義で強みといっているんだろう?」と気になり、そのまま受け取ることができない、となるように思われます。
■まとめ
と、マニアックな話でしたが「心に響くフィードバック・そうでもないフィードバック」の理由を、自分なりに考察してみました。
ポジティブなフィードバック、強みのフィードバックは、基本メリットが大きく、リスクも少ないです。しかし、相手の心に響くものになるかどうかは、色々な条件がありそうです。改めてまとめるとその条件とは
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<心に響く強みフィードバック>
1、フィードバックの相手を、自分が尊敬している・慕っている(「何を言うかより誰が言うか」ですね!)
2、フィードバックが「自分の願い」に沿ったものである
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
というのが一つの仮説です。一方、心にあまり響かない強みのフィードバックの条件は
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<心にあまり響かない強みフィードバック>
1,表面の結果を褒められていると感じること
2,強みの言葉の概念が相手とズレていること
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
があるのではなかろうか、というお話でした。
繰り返しますが、あくまで私の仮説です。ですが、なんでなんだろうなと考えたことを、言葉にしてみたの巻でした。上手くまとめられた気もしませんが、少しでもニュアンスが伝わっていたら嬉しく思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
※本日のメルマガは「note」にも、図表付きでより詳しく掲載しています。
よろしければぜひご覧ください。
<noteの記事はこちら>