「強み」で熱意を引き出す6つの方法 ~書籍『Character Strengths Intercention』より #18 ~
(本日のお話 3153字/読了時間5分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は、ある企業のマーケティングチームの皆様を中心にした、
ストレングス・ファインダー研修の2日目の実施でした。
関係性が素晴らしいチームで、関わらせていただいている私自身も、とても温かい気持ちになりました。また、リーダーの影響力の大きさも改めて感じた次第です。
ご参加いただきました皆様、ありがとうございました!
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さて、本日のお話です。
「性格の強み」について詳しく語られた書籍『Character Strengths Intervention』を読み解きながら、強みの活かし方のアクションプランについて、先日よりご紹介しております。本日も続けてまいります!
今日のテーマは「強みを活用して、意義と熱意(Meaning and Engagement)を見出す方法」について。それでは早速まいりましょう!
■強みで「意義と熱意」を高める方法
今回のテーマあ「強みを活用して、意義と熱意(Meaning and Engagement)を見出す方法」です。このことについて、6つのアクションリストが紹介されていました。
○「意義と熱意」がなぜ大事なのか?ウェルビーイングの観点から
さて、急に、意義と熱意(Meaning and Engagement)というキーワードが出てきましたが、この重要性について述べてみたいと思います。
強みの活用の背景にある学問・ポジティブ心理学の考え方として、「PREMA理論」というものがあります。PREMA理論とはウェルビーイングを高めるための5つの要素のことです。
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<PREMA理論 ーウェルビーイングを高める5つの要素>
P (Positive Emotion):ポジティブ感情
E (Engagement):エンゲージメント(熱意)
R (Relationships):関係性
M (Meaning):意義
A (Achievement):達成
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上記でE (Engagement):エンゲージメント(熱意)とM (Meaning):意義と挙げられているように、両者は私達の幸福にも影響していることが示されています。
また組織でもエンゲージメントが注目されているように、組織行動の領域でも、強みを活用することが、仕事に意義を感じさせエンゲージメントを高めパフォーマンスに影響を与えることがわかっています。
○意義と熱意を高める6つのアクションリスト
以下、紹介を紹介いたします。順番に全部行うわけではなく、必要に応じて活用する、というイメージです。
(ちなみに、主観ですが個人的に使いやすい・使いやすそうと思ったワークを「★」で1~3で示しています。ご参考くださいませ)
(1)強みの整合(★★)
「仕事におけるエンゲージメントを向上させる」事ができるワークです。簡単に言えば、「仕事でよく行うタスクに対して自分の強みが使えないかを検討する」というワークです。具体的には、以下の3つのステップで進めていきます。
1, 仕事で最も頻繁に行う5つのタスクをリストアップします(例:ファイルの整理、チーム会議の主催、クライアントへのメールなど)。
2, VIAアセスメントの性格の強みプロフィールで上位5つの強みを見直します。
3,各5つのタスクごとに、上位の強みの1つを使用する方法を1つ書きます(例:チーム会議をリードするために創造性を使用するなど)そのタスクにおいて性格の強みをどのように発揮するかを説明します。
シンプルなワークではありますが、研究によると、これを行うことによって、6ヶ月後のCalling(天職と感じること)の改善と、3ヶ月後の人生満足度の向上が見られました。また、これは「強みを活用したジョブ・クラフティング」と言い換える事もできるワークです。
(2)死の床テスト(★★)
自分にとって重要な「性格の強み」を活用すると、充実感が高まり、幸福度が高まることが知られています。そして、自分にとって重要な性格の強みを知る方法として「死の床を想像する」というワークがあります。以下のようなステップで進めます。
1, 自分が死の床に横たわっていると想像します。
2, この文を完成させます:「もっと○○に時間を使えばよかった」(例:人ともっと多くの活動をする、他の文化を探索する、子供たちともっと一緒にいる、人々に感謝を表現するなど)
3,ステップ2で書いたことを達成するために、どの性格の強みを使うかを考えます。
自分に残された時間を想像し(一時的な希少性)、どんな強みを使うと自分の充実感が高まるかを考えることは有効な手段と考えられています。
(3)人生の要約(★★)
こちらも、自分にとっての「意義」を考えるためのワークです。『「自分の孫に自分の人生をどう伝えたいか」を考えて、その物語の中に自分の強みがどう現れているかを考えてみる、というワークです。(7つの習慣』のミッション・ステートメントを作成するステップにも近いです)
例えば、以下のような形が例として挙げられています。
【管理職のジェイソン(25歳)の人生の要約】
「私の孫には、私は活動的でコミュニティに貢献していたことを知ってほしいです。軍隊での困難な時期や失業中の時期を経ても、決して諦めなかったことを知ってほしいです。最終的にはスタートアップ企業で仕事を見つけ、管理職に昇進し、家族を持ちました。良い父親であり、正しいと思うことのために立ち上がることに誇りを持っています」
※解説:物語の中で、次の性格の強みが見られます。熱意(「活動的」)、チームワーク(「軍隊にいる」)、忍耐力(「決して諦めない」)、愛と視点(「良い父親」)、勇敢さ(「正しいことのために立ち上がる」)
(4)何が最も重要か?(★)
これからの6ヶ月、1年後において「最も重要な領域」を心に描き、その領域が強化されるために、どのような強みが活用されるのかを考えるというエクササイズです。
「自分にとって、ほんとうに、何が重要なのか?」を問われることは日常ではあまりありません。その中で、特定の領域を想像し、その領域にフォーカスするために、自分の特徴的な強みを使ってみることで、楽観性や幸福感が高まることがわかりました。
(5)内なる自尊心を育む(★★)
自尊心と自信を高めるエクササイズで、個人的な「意味」(自分の周りの人の関係性や、自分の独自性、自分の成長、精神性)の価値を考えるというワークになります。
以下の質問を個人で考えたり、他者と議論をすることで「内なる自尊心」を育むことができます。
1, 関係性:あなたにとって誰が重要か?その人達はあなたの強みのどの部分をみているか?
2, 独自性:あなたを唯一無二のかけがえのない存在です。どんな強みの要素があなたの存在に貢献しているでしょうか?
3, 成長:あなたの成長を育む強みはなんですか?
4, 精神性:あなたが求める神聖なものはなんですか?(自然やより大きなものへの意識など)
(6)定義的瞬間エクササイズ(★★)
定義的瞬間(Defining Moments)とは聞き慣れない言葉ですが、「自分にとって、重要な影響を与えた瞬間」のことを意味します。
このワークでは、特に自分にポジティブな影響を与えた瞬間を思い出し、その瞬間を引き起こした自分の性格の強みを考えてみる、ということを行います。
このワークを行うことによって、自分のポジティブな経験とそれに繋がる自分の強みを理解し、強みの評価をすることができます。
■まとめと感想
今回は「意義と熱意」という観点から強みの活用方法を見てまいりました。全部を眺めてみると、やはり軸となるものは、「自分自身を振り返ること」であることがよくわかります。
それは、過去のポジティブ体験を思い出したり、未来を想像して何を残したいか考えたり、時間を超えて、自分自身に矢印を当てて自分を知っていくプロセス。
そうして理解した自己認識に、「性格の強み」の繋がりを見出していくというのが「意義と熱意」に繋がるのだろう、と感じました。
まだまだ強みの介入方法はありますので、引き続き、ご紹介させていただければと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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