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3817号 2024年8月7日

思い入れがあるものは、憂鬱なのである

(本日のお話 1956字/読了時間2分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は、OJTトレーナ向けの研修実施。
そして明日からもストレングス・ファインダー研修で2日連続大阪です。
楽しみです。



さて、本日のお話です。
先週、「謎の会」と勝手に呼んでいる、友人とも知人とも、仲間とも違う”謎のつながりの方々”と、お食事をする機会がありました。

「謎の会」のメンバーの共通点は「哲学」を持っていること(私は含まれるかわかりませんが)。おひとりは、ご自身の豊富な経験から編み出された骨太の人生哲学をお持ちである熟練された方。もうお一人は哲学の専門家として、海外の大学院でアカデミックにも研究されているという学術的な観点から深く考えられている若き哲学者。
 哲学とは「前提を疑う」というスタンスが主要な考えだそうですが、まさにそのお二人と合う時間は、自分にとっての前提を揺さぶられて、こだわっていたことがどうでもよく思えるなど、思考がリセットされるかけがえのない時間になっています。

そんな中で、つい私がお二人に相談をした話が「好きなことなのに憂鬱である」というお話でした。

すると、それに対するコメントが、たった一言でしたが、自分のモヤモヤをスッキリさせてくれたギフトのような言葉で、自分の胸に残っております。

・・・ということで、今日はそのお話についての気づきを、皆さまに共有させていただければと思います。



■好きな研修が「憂鬱」なのはなぜか

私事となりますが、私は「研修講師」という仕事の役割を持っています。

元々人に対して「教える」ということをやってみたいという思いがあり、独立・起業をしました。そして未だに、研修登壇の機会というのは、大好物で、実際にやっているときは非常に楽しいのです。

脳が活性化し、気持ちもポジティブになり、界王拳(byドラゴンボール)のように全身のエネルギーが倍増する感覚。終わった後は、ビールが美味しく、気持ちも最高。ああ、こんな仕事をしてお金をいただけるなんて、なんて幸せなんだ!と思ったりするほど。「研修を実施することは大好き」なのです。

・・・ですが一方、正直な話を申し上げると「研修は憂鬱でもある」のです。

研修前は、研修日が近づくにつれストレスが高まっていく。研修中は、やるしかないので、突っ走る。研修後は、もっとできたと反省する。

そして「好きなんだけど憂鬱」という気持ちになるのです。



■好きな趣味が「楽しめない」のはなぜか

もう一つの憂鬱は、趣味のピアノ。

先日、人前で弾くことが機会があり、皆さんにいい感じでリアクションをしてもらえた、とも言える一方、「ミスだらけの曲だった」という忸怩たる思いがあることも、事実でした。

謎の会のお二人は、「とはいっても褒めてもらえたわけでしょ?そこに注目すればよいのでは」いう一方、「・・・ですが、そういう場だと、まあみんな本音は言わないものですよね」とのこと。その通り、まさにそうなのです。まさに注目してしまうのは、後者の人前で弾いたら「すごいね」と言わざる得ない、”その背景にある本音”が気になるわけです。

プロではないので、全員が感動するようなものを弾けることは難しい。それでも少なくとも自分で自分が認められる程度のレベルでは弾けて、その上ですごいと言ってもらいたい、そんなことを思う自分がいたのでした。

まあ結局、認められたいだけなのですが。



■思い入れがあるから憂鬱なんでしょ

さて、その話を聞いて、謎の会の若き哲人が、一言このようにまとめてくれました。

「思い入れがあるから、憂鬱なんでしょ」

・・・と。

「たぶん、どうでもいい他のことだったら、モヤモヤもしなければ、憂鬱にも思わないんじゃないですかね」。

そう言われて、「確かに・・・」とハッとしたのでした。

そうなのです。「自分の思い入れがあること」だから「ここまではやりたいという自分の基準」をクリアしたい。そして、そのことについて、「本音でベースの評価」も(自分が)感じたい。

評価とか承認を手放そうとか、そういった話はここでは置いておいて、純粋に大切にしていることは、自分で納得したいのです。「こだわっているからこその憂鬱」である。

そう考えると、ああ、自分は研修でもピアノでも、自分として正面から取り組んでいるんだな、と少しだけ認められる気がしたのでした。



■まとめ

日々色々な感情が起こって、それでモヤっとしたり、元気になったりします。その中で、その理由を知ると、ちょっと楽になったりすることもあるもの。

今回の「思い入れがあるから、憂鬱だった」という話は、言われたら当たり前ですが、自分を癒やしてくれる言葉だと気づいたのでした。

こうした自分の感情とその理由を紐解くことって、大事だよなあと思った次第。そして、それを気づかせてくれた尊敬すべき哲人たちにも感謝でございました。最後までお読み頂き、ありがとうございました!

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