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3843号 2024年9月2日

「GRPIモデル」を使って組織課題を検証した論文 ー南アフリカの研究ー

(本日のお話 2023字/読了時間2分)

■こんにちは。紀藤です。

本日、宮崎から東京に戻ってまいりました。
沖縄→宮崎と、約2週間ぶりの東京。
とはいえ我が家の居心地は、色々と最適化されていて(仕事環境とか)
やりやすいな、と思った次第です。



さて、本日のお話です。

「GRPIモデル」について、論文をいくつか読む中で、興味深いものを見つけました。
「南アフリカの学校の教育支援チームの現状を『GRPIモデル』で質的に研究する」というものです。

「GRPIモデル」を実践知として深める上で、参考になる論文でした。
ということで、早速まいりましょう!

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<今回ご紹介の論文>
THABO MAKHALEMELE and MIRNA NEL(2021)
“Investigating the Effectiveness of Institutional‐level Support Teams at Full‐service Schools in South Africa.”
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

***
<目次>
本論文の概要
本研究の進め方
「GRPIモデル」の枠組みから見えてきた課題
Goals(目標)
Roles(役割)
Processes(プロセス)
Interaction(関係性)
まとめ
***

■本論文の概要

この論文は「南アフリカの教育」をテーマにした内容です。
南アフリカにおける教育を推進する機関である「学校の教育機関におけるサポートチーム(Institutional-Level Support Teams: ILST)」なるものがあるとのこと。
このILSTなる機関は、学習者や教師、あるいは学校のニーズを特定し、適切に支援サービスを行う役割を持つそうですが、実際にこれらの機関が機能しているのか? その有効性を検証しようというのが、本論文の主目的でした。

その中で、使われた分析のための枠組みが「GRPIモデル(1977)」でした。具体的には、この支援機関に関わる人たちのグループ・インタビュー結果を、GRPIモデルに当てはめて分析をしてみた、という内容になります。

無機質に感じられやすいこうした枠組みを、インタビュー結果見えてきた、組織の課題等に当てはめることで、温度感がある実践モデルとして感じられました。ということで以下、GRPIに基づいた課題の整理として、論文に記載されてことをご紹介いたします。

■本研究の進め方

●本研究の目的:
南アフリカの学校における支援サービス提供におけるILSTなるの有効性を探ること。
●対象者と方法:
南アフリカの2つの州になる学校におけるILSTのメンバーを対象にインタビュー調査を行った。複数事例研究デザインを用いた質的研究方法を用いた。
具体的には、1つの州から4つの学校、もう1つの州から3つの学校を選び、フォーカスグループインタビューを行った。

■「GRPIモデル」の枠組みから見えてきた課題
そして上記のインタビュー内容を、GRPIモデルに当てはめて分類したところ、以下のような課題が分類されました。要素のみ、ご紹介いたします。

<Goals(目標)>
●チームの主目的の明確化:
・参加者52名中42名が、チームの持つ目的をや理解していた。

●望ましい結果についての合意:
・参加者51名中38名が、結果を出すことにほとんd,あるいは全く注意が払われていないことを指摘した。メンバーがチームの目標よりも自分の要求を優先する傾向があることを述べた。

●主な仕事を理解する:
・参加者51人中49人が、主なタスク(仕事)を理解していた。ただし、実現した仕事や決められた仕事のいずれかを実行することに抵抗を示すメンバーもいることがわかった。

●基準と期待に関する合意:
・参加者の多くは(人数は不明)、学校で支援を提供する際に維持すべき基準について、各チームが合意をもっていないことを述べた。またその基準は高くないことが指摘されていた。

●優先順位と期限の明確化:
・参加者の一部から、期限は守らず、サポートをすることを優先することを重視していることが語られた。そして「殆どの場合、期限に間に合わない」ということを述べる参加者がいた。

●境界線の理解:
・また参加者から、業務を遂行する際の境界が考慮されていないことが述べられていた。たとえば、校長がチームをコントロールする、権限を超えた決定を下す、など。

<Roles(役割)>
●チームリーダーの受諾:
・参加者からコーディネーター(リーダー)が適切な指導と支援を提供できていると感じるものは26名。一方、リーダーと人間関係が悪いと答えたものが25名いた。リーダーの受け入れ体制に対して、複雑な感情をいだいている人もいた。

●メンバー全員の役割を理解する:
・参加者の多くは、それぞれの役割を認識し、また受け入れていることがわかった。

●個人の責任:
・参加者の51名中47名が、個人の責任や説明責任を超えて仕事をすることに対して、抵抗感があると述べた。参加者の中に「「他のメンバーの責任を取ることを受け入れないものがいる」という言葉が見られた。

●責任分担:
・職務を遂行する上で、校長やリーダーが「チームを所有している」と感じており、仕事を共有したり、貢献を考慮してくれていないと感じる、と述べていた。

●ギャップを特定し、埋める:
・チームの長所や短所、才能を鑑みた時に、問題に対して対処する事ができていないと参加者が述べていた。

<Processes(プロセス)>
以下、プロセスと関係性については要素のみのご紹介とします。
●チームプロセス
●作業プロセス(手順やワークフローなど)

<Interaction(関係性)>
●他のチームメンバーとの関係
●信頼
●互いに対する感受性と柔軟性
●良好なコミュニケーション
●問題解決におけるコラボレーション
●対立に対処するための効果的な方法

■まとめ

GRPIモデルは、シンプルで使いやすいものではある一方、単純なモデルがゆえに「GRPIモデルの中含まれる概念」については様々な解釈ができると感じるものでした。

今回、一つの組織において、GRPIモデルを参照に課題の分類をすることで、よりリアルなGRPIの下位概念がわかったような感覚がして、興味深く思いました。たぶん、他の組織で見ると、また違った内容が出るのでしょうね。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

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