感謝制度が多いほど、感謝は増える ~読書レビュー『感謝と称賛』#7~
(本日のお話 1520字/読了時間2分)
■こんにちは、紀藤です。
昨日は終日マネジメント研修の実施でした。
またその後は会食への参加でした。
スマフォを白黒にして面白くなくす方法(SNSから距離を取る方法)を学びました。
いやー、これは便利。
*
さて、本日のお話です。
先日より『感謝と称賛』(正木郁太郎 (著))書籍からの学びを共有させていただいております。
今日は第7章の「感謝を促す方法」をテーマに、ポイントをまとめて見たいと思います。本章では、「日本企業において、どのような制度や機会が感謝の頻度や強度を高めるのか」を調査した、興味深い研究内容となっています。ということで早速内容をみてまいりましょう。
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<目次>
感謝を促す方法「日本企業版」
研究の概要
研究の結果_わかったこと
(1)感謝制度があると、感謝は増える
(2)感謝制度は多いほど、感謝は増える
まとめ
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■感謝を促す方法「日本企業版」
「感謝日記」という有名な研究があります。これはポジティブ心理学を軸にした研究で、1週間の終わりに「今日感謝したい3つのことを数える」という行動がウェルビーイングを高める、といった研究です。
他にも「感謝の訪問」といって、感謝を伝えたい人に、感謝の手紙を渡すことで、これまたウェルビーイングが高まるという研究もあります。
なるほど、これらの研究は確かにウェルビーイングを高めるようです。
しかし、「日本企業」において、感謝の訪問や感謝日記を推進するのも、少しむずかしいような気もします。
その代わりに、日本では「サンクスカード」「ポジティブフィードバック」など「感謝を促す制度」がある企業が存在しています。
では、「感謝を促す制度」があると実際に感謝の頻度や強度が高まるのか?
このことがわかれば、これらの制度の有用性を示すことになると思われます。(感謝行動の効果については、前の記事を参照ください)
ということで、実際に調査をしてみた結果が示されています。
■研究の概要
本研究では、ウェブを通じて様々な企業で働く1200名を対象に調査をしました。
そして、「感謝を促すと予想される制度や習慣の有無」を聞き、実際にそれらが感謝行動の頻度や強度に影響するのかを確認したのでした。感謝に関わる制度は以下の6項目としました。
<感謝に関わる各種制度>
1,感謝制度(報酬なし)(サンクスカードやイベントなどの機会)
2、感謝制度(報酬あり)(共に少額の報酬やポイントが得られる)
3,感謝を伝える時間(朝礼や部署の会議等、感謝・称賛を伝え合う機会)
4,顧客と接する機会
5,上司からのフィードバック
6,同僚からのフィードバック
これに加えて、「仕事の相互依存性」も感謝行動に影響を与えるのではないか、ということで調査項目に加えています。
■研究の結果_わかったこと
(1)感謝制度があると、感謝は増える
感謝制度のあり・なしと、感謝の強度、頻度で相関を分析したところ、いずれの制度も「あり」のほうが「なし」に比べて、感謝の強度・頻度が高いことがわかりました。
特に平均値の差が大きかった項目は、3,感謝を伝える時間を設けること、5,上司からのフィードバック、6,同僚からのフィードバック、1、報酬を伴わない感謝制度でした。
(2)感謝制度は多いほど、感謝は増える
次に、感謝制度の数と、感謝の頻度・強度の繋がりを調査しました。
すると、「感謝制度が多いほど、感謝は増える」ことがわかりました。
(データでは、6個以上の感謝制度がある会社は下がっていますが、対象者が1021名中9名のみだったため、外れ値の可能性が想定されます)
■まとめ
非常にシンプルな話ですが、「感謝をする機会があるほど、感謝は増える」ということです。感謝の気持ちは、伝える機会があってこそ表に出てくることになるのでしょう。
とすると、サンクスカードも、全社で表彰するのも、感謝を伝え合うミーティングを開くのも、それが感謝行動を促し、ひいては援助行動に繋がるわけですので、決して無駄であることはない、そのように思う次第です。
こうした制度も、このような研究データがあることで、ぐっと説得力があるものになるなと感じる、ありがたい調査でした。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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