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3853号 2024年9月12日

称賛がチームワークと新人定着に与える影響とは? ~読書レビュー『感謝と称賛』#11~

(本日のお話 1759字/読了時間2分)

■こんにちは。紀藤です。

さて、先日より『感謝と称賛』(正木郁太郎 (著))書籍からの学びを共有させていただいております。残すところ、あと2章・・・!

さて、本日は第9章より「称賛がチームワークと新人の適応に与える効果」からの学びを共有させていただきます。以前の章で「感謝はエンゲージメントや援助行動を高める」という研究結果が明らかになりましたが、「称賛」はどうなのでしょうか?

本章では、「称賛」がチームにもたらす結果を、分析、考察しています。それでは早速中身をみてまいりましょう!

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<目次>
研究1:称賛とチームワークの良さに関係はあるか?
研究2:称賛は新人の定着に役立つのか?
まとめ
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■研究1:称賛とチームワークの良さに関係はあるか?

さて、本章でも引き続き、B社における「PRAISE CARD」という称賛を従業員間で伝えるカードの送受信数データを軸に、調査を進めています。(詳しくはこちらの記事をご参考ください)

「称賛」の行動として、PRAISE CARDを「送る」「受け取る」というデータを分析する上で、以下の3つの方法で「称賛が多い職場」を定量的に定義することとしました。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<職場ごとの「称賛の多さ」を得点化する方法>
1,送受信枚数の「平均値」
(同じ職場に所属するメンバーのカード送信(受信)枚数の職場平均値。ただし、部署外から送受信も含まれるため、職場内での称賛をカウントするには2,3の検討が必要になる)
2,送受信の「密度」
(送る人・受け取る人が偏っていないか。例えば、4人いたら、4人それぞれに送受信をし合っているかを数える)
3,称賛の「件数」
(2の密度に「交わされた称賛の数」をかけ合わせて、何往復称賛のやり取りがされたかもカウントする。このことで、「部署内での称賛」を数えることができる)

※P196-197より著者編集
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

そして、この「19の職場」を単位にして、「越境行動」「チームワーク」「ワークエンゲージメント」との相関分析を行いました。

研究の結果、以下のことがわかりました。

1)「平均送受信枚数が多い」ほど「チームワークの得点が高い」傾向がある
2)「密度が高い」ほど「チームワークの得点が高い」傾向がある

特に、「送受信枚数」よりも、「密度」のほうが、より「チームワーク」と相関が高く、また比例関係も強いことがわかりました。

■研究2:称賛は新人の定着に役立つのか?

次に、「称賛」が「新入社員の定着(オンボーディング)」に役立つのか、という研究も行いました。

B社の新入社員148名(大きく「技術系」「営業系」の職種にわかれている)の、PRAISE CARDの送信枚数が、経時的にどのように変化をしていったのか?、これを1~60日まで、15日おきにデータ取得をしていきました。

それらのデータから、「称賛のやりとり」がどのように変化してきたのかを、ネットワーク分析し、コミュニケーションのクラスタの形の変化を調査しました。また、新入社員に対して、「PRAISE CARDを導入した変化」をアンケート調査しました。

ネットワーク分析の結果、15日後、30日後、45日後、60日後と時間が経つに従って、個を中心とした「疎」な繋がりが、「密」な繋がりへと進化していく(つまり称賛のコミュニケーションの数と量が増えていく)ことが可視化されました。

またアンケート調査の結果では、「感謝や称賛を伝えるようになった(65%)」「同期のコミュニケーションが活発化した(59%)」「同期との繋がりが広がった(35%)」などの回答が得られました。

■まとめ

これらの結果から、以下のことが言えるようです。

・「称賛」はチームワークに良好な影響を及ぼす
・「称賛」は、新入社員にコミュニケーションを促すことでコミュニティづくりを促す。(そのことによる新入社員の定着に一定程度の影響があると考えられる)

いずれにせよ、称賛も感謝同様、望ましい影響を与える行動であることが、調査から改めてわかりました。特に「職場内」「新人同士」など、あるコミュニティの中で称賛のコミュニケーションを促すことはポジティブな影響を及ぼす可能性が高い、と言えそうです。

私も、「強みのワークショップ」などで、お互いに感謝や称賛をし合うことをすると、場の結束が強くなる感覚を覚えますが、まさにそういうことなのかもしれないな、と思った次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

※本日のメルマガは「note」にも、図表付きでより詳しく掲載しています。よろしければぜひご覧ください。

<noteの記事はこちら>

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