「強み」はレジリエンスを高め、青少年の健全な発達を促す ー「レジリエンシー理論」よりー
(本日のお話 2065文字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は、1件のアポイント。
他、週末にある出版ゼミのプレゼン練習会への参加など。
様々な経歴の方が、3分間で自分の出版の企画を話をする、
というものでしたが、皆さん想いを込めてお話をされており、
たいへん刺激をいただきました。
・・・といいつつ、なんだか真剣になれないのには、
様々な理由があるのですが、このあたりはまたおいおい
言葉にしてみたいと思います。
どんなことでも、外に出て、
普段と違うことをすると、感じることがあるものです。
*
さて、本日のお話です。
今回は、「強み」に関する論文のご紹介です。
「強みはレジリエンス(回復力)を高める」。
しばしばいくつかの研究の冒頭で、強みの効果として言及されているのを目にしてきました。
そこで「強み×レジリエンス」でGoogleScholarで検索したところ、引用数 909(※2024年10月現在 Google Schloar)の論文として出てきたのが、今回ご紹介の論文となります。
VIAなどの「性格の強み」とは、また違った強みの定義となりますが、それも含めて興味深い論文でした。それでは、早速まいりましょう。
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<目次>
今回の論文
30秒でわかる本論文の概要
「レジリエンシー理論」とは
促進要因に注目する「強みベースのアプローチ」
促進要因がリスクに影響を与えるメカニズム
まとめと個人的感想
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<今回の論文>
Resiliency Theory: A Strengths-Based Approach to Research and Practice for Adolescent Health(レジリエンシー理論:青年の健康に関する研究と実践のための強みベースアプローチ)
Marc A. Zimmerman
Health Education & Behavior, 2013年
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■30秒でわかる本論文の概要
本論文は、青年期の発達に注目した論文です。具体的には、青年がリスクに晒される中でも、健康な成人に成長する理由を探求しました。
その枠組みとして用いられているのが、強みベースのアプローチである「レジリエンシー理論」と呼ばれるものです。
レジリエンシー理論は、成長に肯定的な要因(個人の資産と資源)と、リスクとなる要因をモデルとして洗い出しました。
その結果、個人の自尊心(資産)、強みとしての家族のサポート・メンター(資源)が、青年期のリスクを緩和し、健康な発達に寄与することがわかりました。
という内容です。
レジリエンシー理論、なんてものがあるんですね。
でも読んでみると、なるほどー、と思いました。
■「レジリエンシー理論」とは
さて、タイトルにもなっている重要キーワード「レジリエンシー理論」とはそもそもなにか? についてお伝えしたいと思います。
定義がいくつかありましたので、論文を参考に以下まとめます。
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<レジリエンシー理論とは>
・レジリエンス(回復力)とは、リスクから立ち上がるための概念である。
・リスクに晒されているにもかかわらず、健全な大人に成長する青少年がいる理由を理解するための、概念的な概念的な枠組みを示したのがレジリエンシー理論。
・この理論は、ポジティブな文脈的・社会的・個人的変数を促進要因として注目する。この促進要因が発達を妨げる負の影響・リスクを和らげると考える。
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というものです。
◯促進要因に注目する「強みベースのアプローチ」
本論文で「強みベースのアプローチ」とサブタイトルのようについているのは、リスクに対抗し、負の影響を軽減する役割を果たす”促進要因に注目する”のことを「強みベース」と考えるからです。
では、具体的にレジリエンシー理論の中核をなす”促進要因”とは何なのか。こちらは、以下の2種類があると説明されます。
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<レジリエンシー理論における「促進要因」>
●Assets(資産)
”個人の内面的な強み”である。例えば、自己効力感(self-efficacy)や自尊心(self-esteem)などが含まれる。これらの資産は、個人がリスクに直面したときにそれを克服する力を与える。
●Resources(資源)
”個人の外部にあるサポート”である。親のサポートやメンター、青少年プログラムなどが含まれる。これらの資源は、青年がスキルを学び、実践する機会を提供し、健康な発達を支える要素となる。
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◯促進要因がリスクに影響を与えるメカニズム
そして、これらの促進要因が、リスクに対して影響を与えるとします。
以下の3パターンです。
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<レジリエンシー理論のモデル ー促進要因がリスクに影響を与えるメカニズムー>
●補償モデル:促進因子がリスク要因を打ち消すことで、リスクの影響を軽減する。促進要因が、リスクと独立して、発達結果に正の影響を与える。
●保護モデル:促進因子がリスクの影響を修正し、リスクと発達結果の関係を弱める。促進因子がリスクに対する防護作用を持つことを示す。
●チャレンジモデル:適度なリスクにさらされることが、後のリスクに対処する能力を育むと考える。初期のリスクが挑戦的である場合、後の困難を乗り越えるための対処メカニズムが発達すると考える。
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■まとめと個人的感想
論文を「強み(Strengths)」という検索キーワードで調べると、様々な言葉が出てきます。これまで「性格の強み(Character Strengths)」を中心に調べていましたが、「強み」といっても様々な考え方があります。
今回は、”リスクに対抗する、ポジティブな促進要因に注目しよう”というアプローチを「強みベースのアプローチ」と考えたところが、私にとっては発見でした。
そして、その観点では「資産(個人の内部)」と「資源(個人の外部)」の2つに強みはわけられる、というのも、なるほどな、と納得した次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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