おすすめの一冊『話し方の戦略――「結果を出せる人」が身につけている一生ものの思考と技術』
(本日のお話 3960文字/読了時間7分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は、終日3ヶ月間にわたって参加をしてきた「出版ゼミ」のプレゼンの1日目でした。
合計5つの出版社の7名の編集者が審査員となり、16名の参加者(私含む)の出版企画を聞いて、TOP5を投票していく、という審査会です。
これで選ばれれると、出版すごろくのマス目が一つ進むことになります。
参加者の仲間の皆さんの企画とプレゼンが素晴らしくて、非常に刺激になりました。
その中で、想像よりも手を挙げていただけたので、大変嬉しかったです。
2日目も頑張りたいと思います。
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さて、本日のお話です。
毎週日曜日は、おすすめの一冊をご紹介させていただくコーナーです。本日ご紹介の書籍は「話し方」についての一冊です。
「話し方の要素」を分解し、体系化した一冊。
非常にわかりやすく、実用的で、面白い本でした。
ということで、早速中身を見てまいりましょう!
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<今週の一冊>
『話し方の戦略――「結果を出せる人」が身につけている一生ものの思考と技術』
千葉 佳織 (著) /プレジテント社
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<目次>
「話し方の戦略」とは
(1)「3つの原則」
(2)「言葉」の戦略
「コアメッセージ」をフレーズ化する
「話の構成」を考える
「目的」に関連することを厚く話す
「冒頭・締め」の工夫をする
「ストーリー」で共感を呼ぶ
(3)「音声・動作」の戦略
声の大小
声のスピード
声の高低
間の確保
フィラーの削減
身体表現
まとめと個人的感想
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■「話し方の戦略」とは
私ごとですが、通っている出版ゼミで「3分間のプレゼン」を行うことになりました。”3分”という時間は、冗長にしゃべってしまうと、びっくりするほど、あっという間に終わるもの。
「なにか効果的に伝える方法ないかな・・・」と思いつつ、月次ですがYoutubeで参考動画を探していると、上品な女性が、超わかりやすいスピーチで話をしている動画が流れて、惹き込まれてしまいました。
それが今回ご紹介する書籍の『話し方の戦略』の著者である千葉さんの動画でした。それもそのはず、日本のスピーチ競技における「弁論」で3度の優勝経験を持たれており、スピーチライティング・トレーニング業務のプロとして活躍されており、「ああ、この方は本物なんだな」と伝わってきました。
さて、そんな本書の内容ですが、以下のように説明されています。
(ここから)
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話し方の要素を分解、徹底的に体系化。
だから、“伝わり方”が全然違う。
本書では、感覚・才能で語られがちな「話し方」について、その構成要素を分解し、一つひとつを徹底解説。
1,「誰に何を伝えたいか」を明確に定めるための考え方(戦略の立て方)と、
2,それを実現するためのさまざまなメソッド・トレーニング法を提示します。
ビジネスにおける取引先との商談やプレゼン、上司・部下との〝報連相〟、会議、就職や転職の面接、結婚式の祝辞まで、「話して伝える」場面のすべてにおいて役立つ、話し方本の決定版です。
著者の千葉氏が経営する株式会社カエカは、東洋経済「すごいベンチャー100 2023年最新版」Forbes JAPAN「JAPAN START-UP OF THE YEAR 2024」に選出されるなど注目度が急上昇中。
直近では、2023年の芦屋市長選で高島崚輔氏のスピーチライターを務め、最年長首長の誕生に貢献。
※Amzaon本の紹介より引用
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(ここまで)
とのこと。改めて、本書の魅力的なポイントは、「話し方の要素を分解、体系化されていること」、そして「話し方の要素を高めるためのメソッドが明確化されていること」です。
■(1)「3つの原則」
では、具体的に、「話し方の戦略」とはどのようなものなのか。大きく3つの軸があります。
1つ目が、『3つの原則』です。そもそも話し始める前の前提です。
2つ目が、『言葉の戦略』です。どう言葉を編み上げ、構成をつくるのか。
3つ目が、『音声・動作の戦略』です。どう表現をするのか、です。
それでは、1つ目の「3つの原則」をみていきましょう。
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<話し方の戦略の『3つの原則』>
1、「話す目的」を明確にする
2、「対象者」を分析する
3、「話し言葉」の意識をする
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1ですが、話す前に「話す目的」を明確にすることです。
当然ですが、目的がないと、話の焦点を絞ることもできません。
そして「何がいいたいのかわからない、やたら長い校長先生のスピーチ」のようになってしまいます。
2は、「対象者」を分析する必要があること。
当然、対象者のレベルにより、使う言葉も、構成も変わってきます。
その対象者に対して、「どんな行動を起こしてほしいのか」、あるいは「どんな考え方を理解してほしいのか」という目的を往還させるから、話す構成が固まってきます。
最後に3は、「書き言葉」と「話し言葉」は違う、と理解することです。話し言葉は、”一文を短くする”必要があります。長くなるほど、意味がわかりにくくなる傾向があります。
そして、これらのものを、しっかり準備をして、そして準備したように聞こえないように練り上げていくのがポイントです。
■(2)「言葉」の戦略
次に「言葉の戦略」について、いくつか本書で紹介されていたです。
具体的なポイントをご紹介します。
◯「コアメッセージ」をフレーズ化する
コアメッセージとは「話す目的を明確にした上で、つまり、何がいいたいのか?をフレーズ化する」ことです。目的を、わかりやすく、端的にすることです。
コアメッセージを伝えるには、
1、「類語」を用いる(例:継続は力なり→持続、続ける、続行など)
2、「マイナスワード」を組み合わせる(例:憧れるのは”やめましょう”)
3、「言葉を重ねる」(例:信頼に信頼を重ねる)
などの工夫が効果的です。
◯「話の構成」を考える
話の構成とは「どういう順番で、どのように話をすると、最も効果的に、話の目的を達成できるのか?を考えること」です。結論から伝えていくのも使える方法です。
しかし、結論を先に話をしても、途中の結論に関係ない話の量が多くなると、結局伝えたいことが不明瞭になるため、注意が必要です。
◯「目的」に関連することを厚く話す
何を伝えたいのか、という目的に関連することを、話の量としても多く話すようにします。関係がない挨拶や、余談を多く話すと、目的が伝わりづらくなります。「情報比率」が重要です。
◯「冒頭・締め」の工夫をする
その他「冒頭で引き込む」「締めで余韻を残す」など構成の工夫を含めることで、よりメッセージが伝わりやすくなります。
また「問いかけ・呼びかけ」で、参加者を巻き込むことも重要です。「問いかけ」は、シンプルに問いを用いて考えさせること、「呼びかけ」は実際に参加者に手を挙げてもらうなど、実際にアクションを促すことを意味します。
◯「ストーリー」で共感を呼ぶ
また、ストーリーは共感を呼びます。「自分にしかできない物語を話す」事が重要です。強みを語るときは”運と感謝”を、弱みを語るときは”決意と成果”をセットで話すと、相手は受け取りやすくなるそうです。
「人は強みで尊敬され、弱みで愛される」と言われますが、こうした人間臭さを出すことも大事なのですね。
■(3)「音声・動作」の戦略
そして、3つ目の軸が「音声・動作」の戦略です。
話す目的を明確にし、伝えたい言葉を作ったら、それをいかにわかりやすく表現していくのか。そのために、声やジェスチャーなどを用いることで、堂々と、はっきり伝えることができます。
著書では、”音声や動作ほど、「自分の認識」と「他者から印象」にギャップがあるものは他にない”と述べています。そして、音声と動作は「3倍くらいやってちょうどよい」と述べています。
この印象をコントロールしながら、メッセージを伝える重要キーワードが「抑揚」です。そして、この抑揚は5つの要素に分解できるとします。
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1,声の大小
2,声のスピード
3,声の高低
4,間の確保
5,フィラー(えー、あのー)の削減
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◯声の大小
1の「声の大小」ですが、「声のボリュームは、デフォルト:大」にすることだそうです。目的を達成する上では、声を大きくするほうが好まれ、価値があるとします。ポイントは、腹式呼吸(お腹をへこませる)ことです。
◯声のスピード
2の「声のスピード」ですが、最初に一定のスピードで話し始める練習をしましょう、と述べています。正しい速さは存在しないのですが、「一定ふつう」(257モーラ ※音の数)「一定はやい」(398モーラ)があり、自分がどこなのかを認識することが重要です。
これを、相手と状況に合わせて使い分けます。たとえば、「強調したいときは0.8倍速にする」、「躍動感を生むために”躍動はやく”する」などです。
◯声の高低
3の「声の高低」です。「高い声」は盛り上げたいとき・情熱を表すときで、「普通の声」は基礎になる声、「低い声」は落ち着き・冷静さを表すときなどの役割があります。
大事なポイントとして「1オクターブの振り幅をもつこと」「高い声から始めて低い音に着地する」「伝えたい重要な言葉に差し掛かったら、声を最初の高さに戻す」などがあります。
◯間の確保
話し方を劇的に変えるポイントは「間(沈黙)」です。
これにより、聞き手は、話したことの理解と、これから話すことの期待が高まります。句点(。)の後を、意識して間を確保する事が重要です。
◯フィラーの削減
そして、フィラー(えー、あのー)はできる限り削減することがポイントです。なぜならば、「この人考えまとまってないな、と信頼感を下げてしまうから」です。
では、どうすれば削減できるのか。
まず「フィラーを認識すること」。意外と自分で認識できていないものです。また「話速を意識すること」。早口過ぎて、自分の思考が追いついていない人は非常に多いそうです(たいへんよくわかります・・・)。
◯身体表現
話をしているときの足の動き、重心の位置、表情、立ち位置、ジェスチャーなどを意識することで「信頼が体現」されます。
「手」の位置は、「おへその前で手を組む」「足のラインに沿って手を置く」の2種類がおすすめとのこと。
「視線」も、聞き手と目が合うような(合っていなくてもあったような)振る舞いをすることで、配慮が伝わります。
「立ち位置」も動くことで上手に伝えることができます。中央・左・右・前後の6つのフィールドで動くこともおすすめです。
「ジェスチャー」は、目の高さに、大きく堂々と行うことがポイントです。
■まとめと個人的感想
言われてみたらたしかに!と思う内容ですが、こうして「話し方」を要素分解して整理をすると、現状を認識し改善もすることに繋がりそうだ、と感じました。
同時に、これらのことは「事前準備」が必要ですし、スポーツのように「練習」も必要な内容だと感じます。私は人前で話す仕事なので、もっと工夫して、親しみと信頼感がどちらも伝わるように努力したいと思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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