今週の一冊『サハラ砂漠に通う:世界一過酷なマラソン大会、サハラマラソン10大会連続出場・完走の記録』
(本日のお話 2835/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は大学院のランニング部の開催(10kmラン)&忘年会でした。
大学院の仲間と、また先生と年の最後に会えて、楽しく、刺激をもらった時間でした。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!!
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さて、本日のお話です。
毎週日曜日は、最近読んだ本をご紹介する「おすすめの一冊」のコーナーです。
本日は、私の好きな「ランニング」に関するこちらの本です。
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<今週の一冊>
『サハラ砂漠に通う: 世界一過酷なマラソン大会、サハラマラソン10大会連続出場・完走の記録』
牟田口 玲奈 (著)
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「世界一過酷なマラソン大会」とも言われるサハラマラソンに10大会連続で参加・完走された方のノンフィクションの記録で、「サハラマラソンってこんな感じなんだ」とイメージが膨らむ一冊でした。
結論から申し上げると、読んでみて「サハラマラソンに出たい」と思いました。
今日は本の感想と、走ることについて思うことを行き来しながら、思うことを書いてみたいと思います。
■「サハラマラソン」とは何か
さて、まず本書の主題の「サハラマラソン」について、少し解説したいと思います。
一言でいえば「世界で一番過酷なレース」の一つともいわれる有名なウルトラマラソンです。まず、サハラマラソンの概要を調べると、このようにありました。
(ここから)
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<サハラマラソンとは>
・サハラマラソンは、毎年3月下旬から4月上旬にかけて南モロッコのサハラ砂漠で開催される、世界で最も過酷なウルトラマラソンの一つです。
・このレースの主な特徴は以下の通りです:
(1)距離と期間:約230-250kmを6ステージ7日間で走破します。
(2)自給自足:参加者は水以外の全ての物資(食料、寝具など)を自ら背負って走ります
(3)過酷な環境:
・気温:日中は50°Cを超えることもあり、明け方は15-18°Cまで下がります
・地形:砂丘、干上がった川や湖、石がゴロゴロした丘など、変化に富んだコースです。
(4)ステージ構成:
・第1〜3ステージ:25-40km程度
・第4ステージ(最長):70-85km
・第5ステージ:42.2km(フルマラソン距離)
・第6ステージ:10-20km
(5)制限時間:通常ステージは12時間以内、最長ステージは34時間以内に完走する必要があります
(6)参加者数と完走率:2024年の第37回大会では、1,085名が参加し、764名が完走(完走率70.4%)しました
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(ここまで)
ただ、今回本書を見て、このマラソンイベントは著者や参加者にとって「お祭りである」ということが、読んでいて伝わってきました。
スポーツとしてガチで戦うというエリートランナーはそんなに多くなく、どちらかというと「挑戦したい普通の人(変わっているけど普通の人)」が、準備と練習を重ねて参加するという印象を受けます。
暑さへの耐性、特に極度に乾燥した環境で走るというのは、普通では考えられないため、単純な走力だけではなく、内臓の強さ、皮膚の強さなども試されるのでしょう。
一方、「250kmを6ステージに分けて、約1週間で走る」というのは、ペースとしては極端に早いスピードが求められるわけではありません。
特に、書籍の中では「眠くてツラい」という話は書かれていなかったため、走力を問われる以外の部分が大きいのだと感じます。
■なぜ、ツラい思いをして走るのか?
さて、本の紹介ではないのですが、私も長い距離を走破するウルトラランナーの端くれとして、長い距離を走ることのツラさと面白さは理解しているつもりです。
ちなみに、これまで一番ツラく、そして一番最高だったランニングの記憶は、「みちのく津軽ジャーニーラン」(263kmラン、50時間で完走)でした。ただこういう話をすると、必ずと言ってよいほど聞かれるのが、
「なんで、わざわざツラい思いをして走るんですか?」
という質問です。
あまりにもよく聞かれるため、自分でも考えていて、いくつかの理由が浮かびました。その中で「これは絶対そうだ!」と思ったひとつの答えは、
『ランニングを通じて、思い出を刻みたいから』
というものでした。
なぜわざわざランニングで思い出を刻むのか?
やや遠回りのようですが2つの理由があります。
まず、前提として、1つ目の「体験の思い出は人を幸せにする」というものがあります。
モノは買った瞬間から価値が低減します。
しかし、記憶は時を経るごとに、その価値は逓増していきます。
「小学生の”あの夏休み”の思い出」とか「高校の”あの修学旅行の夜”」、「新婚旅行の楽しかった思い出」などは記憶に刻まれています。
そうした思い出は、不思議と年を経るごとに美化されて、美しく輝きを放ちます。そして思い出すたびに幸せになれます。
つまり、体験の思い出は、人を幸せにしてくれるのです。
ただ、大人になると、なぜだかそういった「刻まれる記憶」は少なくなりがちのようにも思います。それは忙しいけど、「象徴的なイベント」が少なくなるからなのかもしれません。
▽▽▽
そこで次に、ランニングの2つ目の理由になります。
それが「痛みを伴う思い出は、記憶に刻まれるから」という話です。
急にヤバイ匂いがしますが、ウルトラランニングは、乱暴に言えば、肉体的・精神にもツラさ(痛み)を伴います。ただ、これがよい(!)のです。
たとえるならば「彫刻刀で肉体や精神にタトゥーをいれるようなもの」だと感じています。走りたくない、気持ち悪い、吐きそう、眠たい・・・こうした苦しさは、肉体を貫通して、精神入れ墨を入れている感覚です。
しかし、一番不思議なのが、「ツラさと痛みは、振り返ってみると、その傷跡がキラキラと金色や虹色に輝き始める」ということです。かつ、その刻み方(痛み)が大きいほど、記憶に残るし、輝きは益々大きくなる(と感じる)のです。
・あの、坂道で、眠すぎて、フラフラになりながら走った。
・仲間からもらった「カフェインタブレット」が嬉しすぎた。
・ツラい80km地点で、目の前の人の背中だけ追いかけようと頑張った。
あの日、あの時、あの場所で、あのときの体感覚を伴って、スナップショットを何枚も残すように、記憶に刻まれると、素敵な思い出がどんどん増えていきます。
そう、様々な場所で、様々な人との出会いもある、ウルトラランニングは「大切な思い出」を作るのにぴったりなのです。
■目標:2026年4月サハラマラソンに出る
結論、この本を読んで「サハラマラソン出たい!」と思ってしまいました。
というか、出ます(笑)
理由は「めちゃくちゃいい思い出になりそうだから」です。
最短が来年9月の募集なので、まずは2026年4月に「サハラマラソン」を目指したいと思いました(完全な思いつきです)。
ただし、私の場合の一番の難点は、肌が弱いことです。
極度の乾燥肌なので、乾燥地帯に耐えられない可能性もあります。この部分を含めて最終確認は必要になると思います。
それ以外は、暑さへの耐性は慣らせばよいし、睡眠は多分大丈夫そう。あとは、これをきっかけに英語を再学習することでしょうか。
もし、こうした経験を実際に得たとしたら、きっとまた楽しいネタになるでしょうし、更に見える世界が変わりそうだな、と感じます。
想像するだけで、ワクワクします。
ということで、この件については、また進捗があれば共有させてくださいませ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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