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3994号 2025年1月31日

MBTIのNGワード ~「強い」と言っちゃダメな理由~

(本日のお話 2408文字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

引き続き、沖縄に来ております。
さて、先日より『MBTI』の認定ユーザーの資格取得講座を受講しています。

これまで合計オンラインでの4日間と、かなり長い時間をかけて受講。
4日目の最後は朝9:30~夜22時までという長丁場でした。たいへん・・・。



さて、そんなMBTIの講座の中で、考えさせられたことがあります。
その一つが「MBTI(タイプ論)のNGワード」というお話です。今日はこのことについて、書いてみたいと思います。

それでは、どうぞ!

■MBTIと「タイプ論」

「MBTI」とは、世界中で使われている性格検査の一つです。人の「認知スタイル」は、4つの軸(外向(E)-内向(I)、感覚(S)-直観(N)、思考(T)-感情(F)、判断(J)-知覚(P))のいずれかに分かれるとし、その組み合わせで、人は16タイプに分かれる、とします。

元々、ユングのパーソナリティ理論が先にあり、これを多くの人が使えるように性格検査として確立した、という歴史があります。
もともとユングの理論があり、それが『タイプ論』として「人は、必ず2つのどちらかのタイプに分かれる」と考えました。
(参考:ユングの心理学と影響(ChatGPT要約))

そして、人が自分のタイプにいるときは「エネルギーがチャージされる感覚」があるとし、利き手を使っているように自然とできる、とします。

たとえば、私(紀藤)は「外向」が私のフィットする指向の一つですが、「他者に話をしている時にエネルギーの高まりを感じる。一方1人でじっくり考えるとエネルギーはやや消耗する」のですが、これが「外向」の特徴だそうです。(そして、内向の人は逆に、一人でじっくり考えたほうがチャージされる感覚があるそうです)

よって、質問方式も「強制選択式」をとります。
たとえば、「あなたは大抵の場合、1)「気持ち」を優先させる方か 2)「考え」を優先させる方か」みたいな質問が特徴です。
(しかし、このやり方は、心理測定学的には広く認められている方法ではないため、様々な批判があるというのも事実です)

■VIAと「特性論」

「二律背反」で「人はどちらかに必ずわけられる」としているところ。タイプ論の根幹です。そしてタイプ論の考え方が、他の心理検査の「特性論」と最も違っており、最も理解が難しい、とされるところのようです。

「特性論」は、たとえば性格の強みの「VIA」なども当てはまります。
たとえば、特性論では、VIAの結果(結果図参照)のように、「24の性格の強み」が、自分の中にそれぞれ存在していると考えます。

そして、「特性論」は、強さ・頻度・行動を見ます。よって、リッカート5件法のような尋ね方をします。たとえば、「わたしは新しいことを学ぶことが好きである 5)とても自分らしい 4)やや自分らしい 3)どちらでもない 2)あまり自分らしくない 1)自分らしくない」みたいな質問です。

そのため、私の場合は「向学心(4.5点)」「社会的知性(4.5点)」「スピリチュアリティ(4.25点)」「感謝(4.25点)」みたいに得点がならびます。そして、自分の中に特に”強く働く特性”があり、VIAでは、その中の上位5つを”自分らしい強み(シグニチャーストレングス)”などと考えます。

■MBTI(タイプ論)のNGワード

さて、前置きが長くなりましたが、今回のMBTIの資格コースにおいて、非常に印象的だったのが、「タイプ論のNGワード」という話です。

講師の先生が、しばしば「NGワード」について触れるのです。たとえば、

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「今、外向が”強い”とおっしゃいましたよね?それはNGワードです。
”強い”は特性論の言葉です」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

というようなイメージです。

「強い・弱い」という強度を表す言葉、あるいは他にも「よく使っている・いつもそうである」という頻度を表す言葉も、タイプ論ではNGワードとして、念を押されていました。

「タイプ論」は、先述のように「人は16のタイプに分かれる」というユングの理論の前提に立っています。「あなたは”そういう存在”であることが、タイプである」と考え、「あなたがその思考や行動をよくするとしても、そのタイプとは限らない(=役割特性の場合もある)」とするため、こうした強さ・量などの言葉を意図的に遠ざけようとしているようにも思えます。

■「使う言葉」が、スタンスを決める

ちなみに、タイプ論は特性論を否定しているわけではありません。

講師の先生のお話から「タイプ論は、そういう考え方である」という立場を明確にしているに過ぎない、と私は感じました。

そして、これらのことから思ったこと。
それが「使う言葉が、スタンスを決める」ということです。

使う言葉に私たちはひっぱられます。ほとんどの心理検査・テストは「特性論」で作られているので、何も意識をしなければ、自然と特性論的な考えによっていきます。

しかし、先述の通り「MBTIはタイプ論」です。それを一ユーザーとして受検するだけならよいですが、もし伝える側である専門家として扱うのであれば、その理論に立脚した言葉を使わなければいけない。
そうしなければ、MBTIの歴史と、そこ流れる思想的な背景を伝達する事はできない、そんなメッセージも、私は密かに感じていました。

▽▽▽

ビジネスの世界には、ビジネスの世界の「言葉」がある。
アカデミックな世界には、アカデミックな世界の「言葉」がある。
子どもとの関係の世界には、子どもの世界の「言葉」がある。

それが、VIAでも、ビッグファイブでも、ストレングス・ファインダーでも、MBTIでも、自分がいる立場によって、その言葉を意識的に使えるようになることは、必要なスキルなのかも知れない、、、そんなことを思った次第です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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