滅びから学べ
(今日のお話 2135字/読了時間3分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は、新入社員研修ディスカバリーの立ち会い、
並びに戦略実行プログラムを、
ご導入いただいている企業様のミーティングに参加など。
4月のこの頃は比較的落ち着いており、
今後のための第二領域活動を行うことができています。
今後の戦略に思いを巡らす上で、
ふと思い出すことがありました。
本日は、
”過去の私の失敗”をご紹介しつつ、
「滅びから学べ」
というテーマで、
思うところを皆さまにお伝えさせていただきたいと思います。
それでは、どうぞ。
■こんな格言があります。
『勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし』。
これは江戸時代の大名でもあり、
文人、武人でもある松浦静山が言った言葉です。
言葉通り、
「なんかうまくいくなぁ、理由わかんないけど」
「なんか風が来ているなぁ、ついているなぁ」
という、どうして勝ったのかわからない、
という”不思議の勝ち”はある。
しかしながら、
「なんでかわかんないけれど売れないなぁ」
「なんでかわかんないけれどいつも勝てないなぁ」
という事はなく、
”負けたときには必然がある”、
いう教訓を示した言葉です。
■確かに、想像してみると、
スポーツで言えば、
・たまたま相手の調子が悪かった、とか
・クジ運で勝てた、
などありますし、
営業であれば、
・たまたま良いお客様を引き継いだ、
・競合がヘマをして仕事が流れてきた、
などなど、実際あります。
勝ちは様々な要因が絡んで、
「たまたま勝つ」ことはある。
しかしながら、でも、
いつも勝てない、
いつも負け続けている、
というときには、
大抵の場合、地力不足だったり、
行動量が足りていなかったりと、
ミスをした、とか
「負け」については、
これこれこういう理由で負けたな、
ということは分析できるものです。
■しかし、恐ろしいかな。
人は、”勝っているとき”、
つい天狗になってしまい、
「不思議の勝ち」なのに、
その波が続くと勘違いしてしまうこと、あるようです
実は、私自身、数年前、
前職で営業していたときに、
こんな失敗をしたことがありました。
*
当時、私は、求人広告を販売する営業でした。
その頃、お付き合いをしていた、とあるお客様。
大変な出店ラッシュで、かなり大スペースの、
しかもたくさんの求人広告を買ってくれていたのです。
もう、売上が毎週上がって上がって仕方ない。
最初の1ヵ月間は、その状況に慣れなくて、
「運がいいなあ、流れが来てるなぁ」
位だったのですが、
2ヶ月経ち、3ヶ月経ち、4ヶ月経ち、
それでも”売れ続ける”と、やがて麻痺して、
勘違いが始まったのです。
「売れて売れて仕方ねぇなぁ」
「この流れ、止まる気がしねぇなぁ」
と。
しかし、それは私の実力があったわけではなく、
たまたま流れが来ていた、
いわゆる「不思議の勝ち」だったのです。
そんな絶頂の最中、
お客様とあるトラブルが発生。
その瞬間、その大手顧客との取引はゼロになり、
そして広告の出向も途絶えたのでした。
結果、ずっと達成し続け、
鼻高々になっていたヒーロー的状況が一転。
達成率30%という、
目も当てられない燦々たる結果に陥ったのです。
その時の痛々しい気持ちは、
今でも忘れられません。
そして、それからと言うもの、
『”一社依存”という状態には、金輪際なるまい』
と固く心に誓ったのでした。
■さて、この話から、何が言いたいのか?
それは、人は、
「勝っているときは、気づかない」
ということ。
勝ちに「不思議の勝ち」があるにもかかわらず、
有頂天になっているときは、
そのことに気がつかない、
その愚かさが、やっぱり人にはあるのではないか、
と改めて思ったのです。
私だけでなく、
歴史でも同じようなことが証明されています。
東京都知事の小池百合子氏が推薦している、
第二次世界大戦における日本軍の敗北を分析した名著、
『失敗の本質』では、
”第2次世界大戦において、日本軍が負けた理由は、
「これまで勝っていたから、これからも勝てるだろう」
という、大本営の楽観的観測が原因であった”
などと言われています。
はたまたもっと身近になると、
誰もが知るバブル経済だってそうかもしれません。
「これ、土地の価格どんどん上がるんじゃね?」
という、楽観、すなわち
「勝ちの不思議さ」に、
人が本質を見失い、見えなくなっていたがゆえ、
起こったのではないか、とすら思います。
■悲しいかな、人は調子に乗る生き物であり、
しばしば、「不思議の勝ち」に溺れてしまうことがあるようです。
だからこそ、私たちが注目すべき事は、
”「不思議な勝ち」を漫然と受け止めること”ではなく、
「何故負けたのか?」という
”負けた理由”にもっと注目すること、
すなわち、自分他人問わず、
【滅びから学ぶ】
姿勢こそが、
ビジネスにおいても、
またこれから不透明な世の中で生きていく上でも、
”人生を勝ち続けるため”に、
大変重要なの要素なのではないか、
そう思うのです。
だからこそ、私たちは
「歴史」を学ぶべきなのです。
自分自身が何度も滅ぶわけにはいかないから、
”ごく近い同僚の失敗”を学ぶべきだし、
もっと普遍的な「滅びの法則」を知る上では
”歴史の中ので繰り返されてきた滅びの事例”
を学び、誤ちを繰り返さないことが、
大切になるのでしょう。
「不思議の勝ち」に有頂天になってはいけません。
【滅びから学ぶ】
という姿勢こそが、継続的な勝ちのために、
必要なことなのです。
(と、自分に戒めた次第です)
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって素晴らしい1日になりますように。