「組織のツボ」はどこにあるか
■おはようございます。紀藤です。
週末は、凄まじい暑さでしたね。
今日も引き続き、真夏のような日が続くようです。
外出の際は、皆様十分のお気を付け下さいね。
さて、今日も、
ある本から印象だったお話を一つ、
共有したいと思います。
テーマは「コミュニケーション」について。
■あるグローバル企業での話。
その企業のX国の業績が振るわず、
本社から人事担当がその原因究明と、
問題解決に出向いた。
まず、最初に行ったことは、
現場でどんなことが起こっているかを確かめようとした。
リーダー以外の社員を集め、
質問をぶつけていった。
彼らが感じている課題、問題点、
業績が振るわない理由を答えてもらい、
フリップチャートに書きだしていった。
そして、30分後、質問が出そろった。
■そしてリーダーを呼び、
その挙がった質問に対しての答えを、
社員に対して話してもらった。
リーダーは、
出そろった質問に対して、
実にきれいに答えていった。
それを、社員たちは黙って聞いていた。
チーム全体の雰囲気は、
重苦しく、沈んでおり、
まるで「お葬式」のようだった。
■この状態を見た、
問題解決に出向いたその人事は、
このように言った。
「わかりました。リーダー。
あなたは正しいことを言っています。
部下の皆さんが出した質問に対して、
正しく応えています。
けれども、あなたには、
部下の話を聞く姿勢がなく、
だからチームでのコミュニケーションが一方通行になっています。
もっと柔らかいコミュニケーションスタイルを心がけて下さい。
部下から意見が出てこないようであれば、
あなたの方から聞き出すようにしてください。
それから、あなたの知っていることを
もっと丁寧に部下に対して話してください」
そして、最後に一言。
「あなたのチームは、
リーダーと部下の意思疎通が出来ていない。
リーダーのあなたが、まず改善してください」
■そして、その後、
このリーダーは、自らのコミュニケーションのスタイルを
完全に変えるように努力し、
行動に移していった。
結果、X国の業績は
赤字だった業績から、2ケタの黒字に転じていった。
戦略を変えたわけでも、
外部環境が変わったわけでも、
人を入れ替えたわけでもなく、
ただ「組織のツボ」をちょっと押すだけで、
人々がやる気をだし、
業績がよくなっていった。
(『戦略人事のビジョン』著者:八木洋介、金井嘉宏 より)
■このお話を見て、どう感じられましたでしょうか。
これは、
別の本でも書いてあったことですが、
”「人のやる気」に火をつける以上に
生産性を高めるものはない”
そうです。
優れた設備を入れて
生産性を105%、110%にするよりも、
やる気が出るリーダーの下で、
社員一人一人が、主体的に働くことができれば、
その成果は、200%、300%にも成り得る、
という話で、
このような結果は
多くのV字回復を遂げた企業において
幾度となく証明されています。
■そして、その
「やる気に火をつける」ベースとなる、
大きな要因の一つが、
どうやら
【コミュニケーション】
であるということが、
先にご紹介したお話からも
感じられるのではないでしょうか。
■「7つの習慣」では、
人間関係での成功のための原則が、
【第五の習慣 理解してから理解される】
という習慣であるといいます。
「俺の言っていることは正しいんだから、理解しろよ!」
ではなく
「相手がどう思っているのか、をまず理解しよう」
という方が、
相手に影響を与える上では、
数倍、数十倍効果的。
■人は理屈でなく、
何だかんだ感情で動く生き物です。
だから、
”たかがコミュニケーション”
と侮れない力が、
人との対話の中にはある、
と思えてなりません。
多くの場合、人は、
「自分のことが理解されている」と感じられて、
・相手を心から信頼でき、
・相手からのメッセージで、モチベートされ、
・相手の言う事を聞いてみよう、
と思えるそうです。
そう考えると、
”急がば回れ”の発想で、
まずは身近のコミュニケーションを考えてみることが、
相手に影響を与え、結果的に成果を出すための
近道になるのかもしれませんね。