優秀なスタッフが辞めていく理由
■おはようございます。紀藤です。
週末に散歩をしていると、
近所に「すき屋」があるのですが、
そういえば前から工事中になっていることに
ふと気が付きました。
そうです。
「すき屋」が深刻なバイト不足により、
約2000店舗のうち、
123店舗が閉店、または営業時間短縮になった、
という、話題になったあのニュースの影響です。
その話の詳細を聞いたときに、
飲食で働いていたことがある私は、
何だか他人事とは思えませんでした。
■今から10年程前ですが、
居酒屋に勤務していた当時のお話です。
そこには、
「あっくん」という心優しい、
20歳の学生のアルバイトがいました。
深夜の〆作業(営業終了後の片づけ)などを
嫌がるアルバイトがたくさんいる中で、
「あっくん」はお願いをすると
いつも協力をしてくれました。
ちなみにこのお店、オープンしたばかりで、
全然人が足りませんでした。
常にカツカツで、回すのが精一杯という状態。
なので、いつもお願いを聞いてくれる
あっくんの力に頼ってしまいます。
「いつもありがとう!」
「あっくん、ほんとに頼りになるよね!」
「アルバイトリーダーもお願いしてよいかな?」
店長を含め社員一同、あっくんに
どんどんどんどん、仕事を任せていきました。
あっくんは忙しくなります。
給料も上がりますが、シフトに入る数も増えます。
そして結果、どうなったかというと、
あっくんは最終的に辞めてしまいました・・・。
■もちろん、
「あっくん」が辞めたのは
多くの理由があったようです。
しかしながら、
後日聞いたところによると、その大きな理由の一つは
【終わることのない忙しさ】
であったようです。
私たち社員は、当時、
・あっくんをたくさん「褒め」、
・あっくんにたくさん「権限を与え」、
・あっくんの「時給を上げて」、
あっくんが満足してくれるよう、
頑張っていたつもりでした。
しかしながら、蓋を開けてみれば
あっくんが長く働く、という意味では
それだけでは足りなかったわけです。
冒頭の「すき屋」でも、
時給は競合より高く、
給与だけ考えれば、決して悪い条件ではなかったそう。
しかし、あのような事件が起こりました。
■飲食店の労働の実情は非常に深いものです。
ですから、簡単に論じることができない、
ということは重々承知しています。
しかし、敢えて考えてみると、
ここから学ぶべきことは、
【何事もバランスが大事】
ということではないか、
とも思うのです。
良いチーム、良い組織を作る上で、
『リーダーの4つの役割』というプログラムでは、
こんな事を言っています。
成果を出すリーダーは、
1、方向性を示す (ビジョン・戦略を創造する)
2、組織を整える (人事、構造、情報など仕事の仕組みを創造する)
3、エンパワーメントを進める (メンバーのやる気を引き出す)
4、模範になる (自分自身が信頼される存在である)
という4つの側面の、
【バランスをとること】が出来るそうです。
どれか一つの側面だけに集中するのではなく、
それぞれの側面をバランス良く満たすことができる。
■先ほどの「あっくん」に対する
私たちの行動は、
あっくんに、「方向性を示したり、
あっくんに、「エンパワーメントを進めたり」、
あっくんの、「模範となって」、信頼されるリーダーとしての背中を見せる、
などをして、
やる気を引き出してきました。
しかし、
【組織を整える】(人材を整える)
ということは全く疎かな状態で、
あっくんに頼り続けていました。
そのようなアンバランスな状況では、
どこかで歪みがでるのは当然のこと。
飲食店だけでなく、全ての組織において、
長期的に考えた上で、
「今、自分たちのチームは何をすべきか」
「自分たちの組織には何が足りないのか」
を冷静に分析し、
<バランスをとること>を考え続けることが、
あっくんのような優秀なスタッフに活躍し続けてもらい、
長期・継続的な成果を得続ける上で大切なのではないか、
と思う次第です。
今日も皆様にとって良い一日になりますように。