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81号 2013年6月27日

クラムチャウダーを薄めるな

■おはようございます。紀藤です。

先日、とあるアミューズメントの会社様にご訪問しました。
そこで、興味深いお話を聞かせて頂きましたので、
本日はそのお話を共有いたします。


■その会社様は、創業50年以上の老舗企業で、
地域の方の支持を集め、着実に成長してきました。

その会社の店舗責任者の評価対象は、

「お店の利益をいかに出したか」
ではなく、
「お客さんにいかに長時間遊んでもらえたか」

という点で判断している、と仰っていました。


■少し生々しい話になりますが、
もしお店が、パチンコ台から玉を出ないように調節して、
お客さんへの還元率を下げたなら、当然ながら、利益が増えることになります。

「今月の目標数字が足りないから」
「決算が近づいているから」
「評価に関わるから」

と、目先の利益を得ようと、
「少しぐらいならいいだろう」と、
玉を出ないようにしたらどうでしょうか。

当然、負けるお客さんは増えていきます。

今月は良くても、これを繰り返していけば、
やがてお客さんは気がつきます。
「このお店は勝てない」となります。
そして、だんだんと客足が遠のいていきます。

この会社様は、歴史の中で
お客さんに楽しんでもらうことが、何よりも重要な要素で、
ひとつの「商売の原則」として、培ってきたそうです。

その結果、半世紀にわたって、繁栄し続けることができたのでしょう。


■書籍『7つの習慣』においても、
このことは「P/PCバランス」という原則として紹介しています。
これは別名「効果性の原則」とも呼ばれている原則です。

効果性とは、望む結果(P:目標達成)を生み出しながら、
その望む結果を繰り返し生み出す資源と能力(PC:目標達成能力)を維持し、
増強させることを意味します。

※ちなみに「P」は、Production(目標達成)
 「PC」は Production capability(目標達成能力)の略です。


先にご紹介した会社様は、
「P(目標達成)= 利益」を継続的に生み出すためには、
「PC(目標達成能力)= 顧客の信頼」が欠かせない、
という考えを代々受け継がれてきたのでしょう。


■よりわかりやすくお伝えするために、
書籍『7つの習慣』から、逆の例を一つご紹介いたします。

”毎日大混雑で、常に満席の
クラムチャウダーのお店が町にありました。

ある日、お店のオーナーが変わりました。
新しいオーナーは目先の利益に集中していました。
具を減らし、全体的に薄めて提供するようにしました。

結果、始めの一か月はコストが少なくなり、
売り上げは一定していたので、利益は急増しました。

しかし、徐々にお店の評判が落ち、
売り上げは、ほとんどなくなってしまいました。”


■これは、先の例と違い、
「P」(目標達成 = 今の利益) に集中するあまり、
「PC」(目標達成能力 = 顧客の信頼)を疎かにしてしまった結果、
お店の売り上げがなくなりました。

そして、この「P/PCバランス」は、クラムチャウダー店だけでなく、
私達、個人にも働く原則です。

例えば、

「仕事の成果(P)」を出したいという一心で、
寝る時間も削り、ご飯を食べることも忘れ、
仕事に没頭し続けたとしたら・・・。

しばらくは頑張れるかもしれませんが、
いずれは「健康(PC)」を損ない、病気をしてしまい
治療により多くの時間を割かれることになるかもしれません。

また、
長年の付き合いがある取引先に、
「今回だけ、頼みますよ」と相手の優しさに甘えて、
自分の要望ばかり押し付け続けてしまったら・・・。

しばらくは今までの関係で応じてくれるかもしれませんが、
いずれは「信頼(PC)」を失い、取引自体がなくなってしまうかもしれません。


■スピードが必要とされる今のビジネス環境では、
短期的な成果を出すことが求められがちです。

もちろん、仕事では成果を出すことは、
とても大切なことで、決して疎かはできないこと。

しかしながら、

「今」だけでなく、
「長期・継続的に成果を出し続ける」ために、
私たちはPCを意識して行動できているだろうか、
と考えてみることも、同様に大切なことです。

ふと立ち止まって、

「クラムチャウダーを薄めていないだろうか」

と自問自答してみると、
自分の望む結果を生み出し続けるヒントを得られるかもしれませんね。


■今日のお話は、

・ある老舗アミューズメント企業は、評価の指標を
 「お客様の滞在時間」にしている。

・それが長期的に反映してきた一つの要因になっているようだ。

・世の中の原則として「P/PCバランス」(効果性の原則)がある。

・Pは目標達成、PCは目標達成能力。

・長期継続的に発展するためには、Pだけでなく、
 PCも意識して行動することが大切。

・Pにばかり集中すると、「クラムチャウダーを薄める」ことになり、
 長期的に利益を得続けることができなくなる。

・自分は、Pにばかり集中していないだろうか。と
 自らの「P/PCバランス」を考えてみてはどうか。

というお話でした。


今日も皆様にとって良い一日になりますように。

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